2025年4月からの「残業免除制度」の対象者とは? みなし残業代はもらっても大丈夫?
そこで本記事では、残業免除制度について解説していきます。
行政書士
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2級ファイナンシャルプランナー
大学在学中から行政書士、2級FP技能士、宅建士の資格を活かして活動を始める。
現在では行政書士・ファイナンシャルプランナーとして活躍する傍ら、フリーライターとして精力的に活動中。広範な知識をもとに市民法務から企業法務まで幅広く手掛ける。
残業免除制度とは
所定外労働の制限(残業免除)とは、育児・介護休業法にて定められている制度です。2025年4月1日より施行された改正育児・介護休業法では、小学校就学までの子を養育する従業員、または、要介護状態の家族を介護する従業員から請求があった場合、会社は原則として所定外労働(いわゆる残業)をさせてはならないという制度です。
なお、育児・介護休業法には、「所定外労働の制限」に似た制度として、「時間外労働の制限」というものもあります。所定外労働が定時以外の時間に働くことを指すのに対して、時間外労働とは、法定労働時間を超えて働くことを指します。本記事では、いわゆる「残業免除」の制度として、「所定外労働の制限」について解説します。
残業免除制度の請求方法
残業免除の請求は、1回につき、1ヶ月以上1年以内の指定した期間において、残業免除の効果が継続します。対象となる従業員であれば残業免除の請求は何度も行うことができるため、必要に応じて分割して何度も取得するといったことも可能になります。なお請求は、開始予定日の1ヶ月前までに、書面等で行う必要があります。
ただし、請求した方の業務内容や業務が繁忙期であるか否か、代替要員の配置ができる可能性など諸般の状況によっては、「事業の正常な運営を妨げる」として、希望通りに残業免除制度を利用することが認められない場合があります。
請求に当たっては希望する時期よりも早めに事業主と相談しておくことをおすすめいたします。
残業免除制度の対象となる労働者は?
残業免除の対象となる労働者は、小学校就学までの子を養育する従業員、要介護状態にある対象家族を介護する従業員です。ここでいう従業員に雇用形態は問われません。正社員はもちろん、契約期間が定められている契約社員なども対象となります。
ただし、日々雇用される日雇い労働者の方や、労使協定により適用除外とされた労働者(勤続年数1年未満の労働者や週の所定労働日数が2日以下の労働者)は残業免除制度の対象となりません。
みなし残業代はもらっても大丈夫?
残業免除制度を利用していたとしてもみなし残業代が受け取れるかどうかは就業規則などに賃金の支給規定がどのように定められているのかによって異なります。一律にみなし残業代を支給すると規定されているのであれば支給されるみなし残業代を受け取っても問題ないでしょう。
みなし残業代とは固定残業代ともいわれる制度であり、実際の残業時間が基準となる残業時間未満でも関係なく一定の残業時間分の残業代が支払われる制度です。そのため、勤務先の定める賃金規定に沿って支給されるみなし残業代は、残業免除制度を利用しているときでも受け取ってよいでしょう。
しかし、勤務先によっては就業規則などでみなし残業代の適用除外の対象者として残業免除制度を利用している場合などと決められていることがあります。そういった場合はみなし残業代を受け取ることができない点にご注意ください。心配であれば勤務先に確認しておくのがよいでしょう。
育児や介護と仕事の両立は残業免除制度の活用を!
残業免除制度を利用することで、残業の制限を受けることができ、育児や介護と仕事の両立がしやすくなります。会社の規定にもよりますがみなし残業代を受け取れる場合もあります。
育児・介護と仕事を両立したいと考えているのであれば、ぜひ残業免除制度の利用も検討してみてください。
執筆者 : 柘植輝
行政書士
