3年前の「有給休暇」を会社に「1万円」で買い取ってもらったという友人。有給休暇の買い取りは「違法」ではないのでしょうか?
しかし、業務の都合や職場の雰囲気などから、なかなか消化しきれないという声も聞かれます。会社が未消化の有給休暇を買い取ってくれたらよいのに、と思ったことがある人もいるかもしれません。
本記事では、有給休暇の買い取りに関するルールや注意点についてまとめました。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
有給休暇の買い取りは違法?
労働基準法第39条で定められている有給休暇は、労働者が休息をとりゆとりある生活をすることを目的としています。この趣旨から、有給休暇の権利を金銭で買い上げること(=買い取り)は、原則として違法とされています。
もし、全面的に買い取りが認められると、会社側は有給休暇の取得促進よりも、安易な買い取りに流れやすくなるおそれがあり、有給休暇の本来の目的が果たせなくなる可能性があります。
買い取りが認められるケースとは
原則として違法とされている有給休暇の買い取りですが、法律の趣旨に反しない範囲で、例外的に適法と解釈されるケースが存在します。
法定日数を超える場合
労働基準法による有給休暇の付与日数(法定日数)は、勤続年数に応じて増加します。会社によっては、法定日数を上回る有給休暇を独自に付与している場合もあるでしょう。
この独自に付与した有給休暇については、その取り扱いを会社が任意に定めることができると解されているようです。
退職時に未消化の有給休暇がある場合
退職の際、有給休暇が残っていることもあるでしょう。当然ですが、退職後は有給休暇を消化する権利は消滅します。
この場合、買い取りが将来の取得を抑制することにはならないため、退職時の有給休暇の買い取りは、法律の趣旨に反していないとされています。
時効で消滅する有給休暇がある場合
有給休暇は2年間で時効を迎え消滅します。時効によって消滅する有給休暇の買い取りは、法律の趣旨に反しないとされるようです。
退職時のケース同様、時効後は消化する権利がなくなるため、買い取りが将来の有給休暇取得を妨げることにはならないと考えられるためでしょう。
有給休暇の買い取りは原則として違法だが、認められるケースがある
有給休暇の買い取りは原則として違法であり、労働者の休息権を侵害する重大な問題です。ただし、退職時の未消化有給休暇や法定日数超過分については、認められる場合があるでしょう。
企業には、労働基準法を順守し労働者が安心して有給休暇を取得できる環境を整備する責任があります。一方、労働者も自身の権利を正しく理解し、適切に行使することが求められます。
健全な労働環境を維持するには、有給休暇制度の適正な運用が不可欠です。法令順守はもちろんのこと、労働者の働きやすさと企業の発展の両立を目指すことが大切といえます。
出典
e-Gov 法令検索 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
