パートとして7年間働いた職場で「就職」を考えています。「5年勤めると使える制度がある」と聞いたのですが、何のことなのでしょうか?

配信日: 2025.07.11
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パートとして7年間働いた職場で「就職」を考えています。「5年勤めると使える制度がある」と聞いたのですが、何のことなのでしょうか?
パートで7年勤めた職場にそろそろ就職したいと考えている方がいるかもしれません。
 
実は、パートとして5年以上勤めた職場には「無期転換ルール」が適用され、希望すれば期限なしの雇用契約に転換することが可能です。
 
今回は、無期転換ルールの概要やメリット・デメリット、3つの特例について分かりやすく解説します。
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無期転換ルールとは?

無期転換ルールは、パートや契約社員などで働いている人の契約期間が合計5年を超えた場合、本人が希望すれば期間の定めのない雇用契約に変更できるというルールです。
 
このルールは契約社員・パート・アルバイトなど、期間が決められた雇用契約で働いている人が対象となります。労働者が「無期契約にしてください」と申し込めば、会社はその申し出を断れません。ただし、正社員になるわけではなく、雇用期間に定めがなくなるだけです。
 
無期転換ルールは2013年4月1日から本格的に適用が始まっており、多くの有期雇用労働者が対象となっています。
 

無期転換ルールのメリット・デメリット

無期転換ルールのメリットは、雇い止めの心配がなくなる点です。雇い止めとは、契約期間の満了時に会社が契約を更新しないことを指します。無期転換後に会社が一方的に雇用を終了する場合は解雇となり、正当な理由がなければ解雇は無効となるため、雇用の安定性が大幅に向上するでしょう。
 
一方で、無期転換ルールにはデメリットも存在します。無期転換後の労働条件は原則として転換前と同じですが、会社が別段の定めを設けている場合は、勤務時間の変更や転勤義務の追加、賃金の減額などが実施される場合があります。
 
また、無期転換したからといって正社員と同じ待遇になるわけではありません。例えば、正社員にはボーナスが支給されても、無期転換した労働者には支給されないこともあります。無期転換の権利を行使する際は、転換後の労働条件を事前に確認することが重要です。
 

無期転換ルールにおける3つの特例

無期転換ルールには3つの特例が存在します。1つずつ見ていきましょう。
 

年収1075万円以上で高度な専門知識などを有する場合

年収1075万円以上の高度な専門職の人には特別なルールが設けられています。以下の条件を満たした場合、10年間無期転換を申し込む権利が発生しないという特例が認められています。

・労働者が年収1075万円以上で、法令で定められた高度専門職の要件を満たしている
 
・会社が適切な雇用管理計画を作成しており、都道府県労働局長から認められている
 
・高度な知識が必要な業務で、5年を超える特定のプロジェクトに所属している期間である

厚生労働省によると、高度な専門職には、公認会計士やシステムエンジニアなどが挙げられます。高収入で特別な専門性を持つ人が長期プロジェクトに携わる場合に限り、通常より長い期間働いても無期転換の権利は発生しません。
 

60歳以上で継続雇用の高齢者の場合

定年後も同じ会社で働き続ける高齢者については、以下の条件を満たした場合、定年後に継続雇用されている期間は無期転換を申し込む権利が発生しないという特例が適用されます。

・会社が適切な雇用管理計画を作成しており、都道府県労働局長から認められている
 
・定年に達した後に引き続き雇用される従業員である

大学などの教員・研究者の場合

一定の要件を満たす大学の研究者や教員が任期付きで雇われている場合、無期転換を申し込む権利が発生するまでの期間は5年から10年に延長されます。
 
この特例は「10年特例」と呼ばれており、研究開発の強化や教育の活性化につなげるための特例です。
 

通算の契約年数が5年を超えた場合、「無期転換ルール」を使って労働者は企業と期限なしの雇用に転換できる

無期転換ルールは、同じ会社で契約社員やパートなどで働く人の契約年数が合計5年を超えた場合、本人が希望すれば期間に定めのない雇用契約に変更できる権利が生じるルールです。
 
労働者が申し込めば会社はその申し出を断れませんが、正社員になるわけではなく、雇用期間に定めがなくなるのみなので、待遇面には注意が必要です。無期限の雇用契約を希望する方は、ぜひ一度会社に相談してみてください。
 

出典

厚生労働省 無期転換ルールについて
厚生労働省 平成24年8月10日付け基発0810第2号「労働契約法の施行について」
厚生労働省 高度専門職・継続雇用の高齢者に関する無期転換ルールの特例について
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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