マンションの「エアコン」が故障…! 費用が入居者負担に“ならない・なる”ケースとは? 賃貸契約書で確認すべき「2つのポイント」を宅建士が解説
慌てる前に、まずは契約内容を確認してみましょう。場合によっては、修理や取り替えの費用を入居者が負担しなくてもよいケースもあります。
本記事では、賃貸契約書で確認すべき2つのポイントについて、現場経験のある宅地建物取引士の視点から解説します。
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契約書で確認すべきポイント(1):エアコンは「付帯設備」か「残置物」か
賃貸物件に設置されているエアコンの扱いは、「付帯設備」か「残置物」かによって大きく異なります。契約書で「付帯設備」として記載されていれば、エアコンは貸主(大家さん)の所有物であり、物件の設備として提供されています。通常使用による故障や経年劣化であれば、修理や交換は貸主が負担するのが原則です。
一方で「残置物」とされている場合、そのエアコンは前の入居者が管理会社や貸主の了承を得て置いていったものと考えられます。このような場合、エアコンは「使用してもよいが、故障時の対応は自己責任」といった位置づけで提供されていることが多く、貸主は修理や交換の責任を負わないのが一般的です。
なお、たとえ新品であっても、将来的なトラブルを避けるために、あえて「残置物」として扱われることもあります。
契約書で確認すべきポイント(2):特約条項の内容
エアコンが「付帯設備」として確認できた場合でも、必ず「特約条項」の内容を確認しましょう。エアコンの修理や交換費用の負担については、契約書の基本的な内容とは別に、特約条項で異なる取り決めがされていることがあります。
特約条項とは、一般的な契約内容とは異なる個別のルールで、契約書の末尾や別紙に記載されていることが多いです。例えば、エアコンが「付帯設備」であっても、「故障時の修理費は借主が負担する」といった特約がある場合、その内容が優先される可能性があります。
このように、通常の契約条件と異なる特約が設けられていることもあるため、特約条項の確認は重要です。
故障時に役立つ判断材料:エアコンの耐用年数をチェック
エアコンに不具合が生じた際は、貸主の判断を仰ぐ必要があります。宅建士として現場に立ち会う中で、貸主側からはまず「修理で対応できないか」という声をよく聞きます。しかし、実際には、エアコンの法定耐用年数は6年とされており、製造から10年以上経過している機種では、部品の供給が終了していて修理が難しいケースも少なくありません。
そのような場合には「修理よりも交換が妥当」といえます。耐用年数を超えていることを根拠にすれば、スムーズに交渉を進めることができるでしょう。
まとめ
エアコンが故障したときは、まず契約書や重要事項説明書を確認しましょう。「付帯設備」とされていれば、修理や交換費用は貸主負担となるケースが一般的です。
ただし、特約条項で別の取り決めがあることもあるため、内容には十分注意が必要です。また、「残置物」とされている場合でも、賃貸物件である以上、自己判断は避け、念のため管理会社に相談しておくと安心でしょう。
出典
国土交通省 「賃貸住宅標準契約書(改訂版)」解説コメント
国税庁 主な減価償却資産の耐用年数表
公益社団法人不動産流通推進センター 残置エアコンの修理義務に関するトラブルとその未然防止策
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
