話題の「リベンジ退職」で報復のつもりが“訴訟リスク”に!? それなら「会社都合退職」を選ぶのが賢明な理由とは?“金銭面・精神面”のメリットをFPが解説

配信日: 2025.07.12 更新日: 2025.07.14
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話題の「リベンジ退職」で報復のつもりが“訴訟リスク”に!? それなら「会社都合退職」を選ぶのが賢明な理由とは?“金銭面・精神面”のメリットをFPが解説
最近、会社への不満や怒りを晴らすために、あえてトラブルを起こして退職する「リベンジ退職」が話題です。
 
2025年には、LED大手企業の元従業員が退職時に職場のファイルを故意に削除し、570万円あまりの損害賠償を命じられる事例もありました。判決では「232個のフォルダー内のファイルを故意に削除し、会社の利益を侵害した」と認定され、そのリスクの高さが明らかになっています。
 
それでは、会社に強い不満がある場合、どう対処すればよいのでしょうか。
 
ファイナンシャルプランナーの視点からは、感情的な行動で賠償リスクを負うよりも、「会社都合退職」という制度を活用し、感情的な対立を避けながら“合理的にけじめをつける”方法をおすすめします。
 
本記事では、「会社都合退職」がなぜ賢明な選択なのか、そのメリットを解説します。
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退職理由は「自己都合退職」と「会社都合退職」の2つ

退職時には、「自己都合退職」か「会社都合退職」のどちらかに分類されます。この区分は、雇用保険の受給条件や転職時の印象にも影響する重要な要素です。自己都合退職とは、本人の意思による退職で、例えば以下のような理由が該当します。

●転職やキャリアアップを目指す
●結婚、出産、育児、介護など家庭の事情
●病気や体調不良 など

一方、会社都合退職は、企業側の事情で本人の意思に反して退職せざるを得ないケースです。例としては以下のような場合が該当します。

●倒産や事業縮小による整理解雇
●契約更新の打ち切り(雇い止め)
●パワハラ、いじめ、過重労働による退職 など

会社都合退職と聞くと、倒産や解雇といった明確なケースを思い浮かべがちですが、実際には「パワハラ、いじめ、過重労働」などいわゆるグレーな理由でも、会社都合と認められる可能性があります。
 

会社都合退職者を出すと企業側のデメリットが大きい

ファイナンシャルプランナーの立場から見ると、“リベンジ退職”よりも「会社都合退職」を選ぶほうが賢明である理由は、大きく2つあります。
 
1つ目は、企業に金銭的・制度的なデメリットが生じる点です。
 
例えば、会社都合退職者を出すと、「キャリアアップ助成金」や「トライアル雇用助成金」など、各種助成金の一定期間の支給停止や減額の対象となることがあります。
 
厚生労働省の「各雇用関係助成金に共通の要件等」では、助成金加算の条件として「直近一定期間に会社都合による解雇等を行っていないこと」が求められます。退職勧奨や整理解雇も該当するため、会社都合退職が1件でもあれば、企業の助成金活用に大きな制限がかかる可能性があるのです。
 
このように、会社都合退職は企業にとって無視できないダメージとなり得ます。
 

会社都合退職は雇用保険の給付条件が大幅に優遇される

「会社都合退職」を選ぶべきもう1つの理由は、雇用保険の基本手当(失業手当)の受給条件が大幅に優遇される点です。
 
例えば、離職時の年齢が35歳以上45歳未満、被保険者期間が10年以上、基本手当日額を6395円と仮定した場合、自己都合と会社都合では以下のような違いが生じます。

自己都合退職

●支給開始まで:待機7日+給付制限1ヶ月
●給付日数:120日間
●受給総額:76万7400円(6395円×120日)

会社都合退職

●支給開始まで:待機7日のみ(給付制限なし)
●給付日数:240日間
●受給総額:153万4800円(6395円×240日)

 

まとめ

リベンジ退職を考える理由はさまざまですが、感情に任せてトラブルを起こすと、訴訟リスクなど思わぬ不利益を招くおそれがあります。
 
もし、パワハラやいじめ、過度な残業など理不尽な働き方を強いられているのであれば、会社都合退職を選び、正式な形で“けじめ”をつけるほうが賢明です。何より、雇用保険の給付条件が優遇され、金銭面のメリットも大きい点は見逃せません。
 
今、同じような状況にある人は、一度立ち止まって冷静に考えてみることをおすすめします。
 

出典

ハローワークインターネットサービス 特定受給資格者及び特定理由離職者の範囲の概要
厚生労働省 適切な労務管理のポイント
厚生労働省 各雇用関係助成金に共通の要件等
厚生労働省 雇用保険の基本手当日額が変更になります~令和6年8月1日から~
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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