50代独身で貯蓄は「1500万円」ありますが、老後資金は足りないでしょうか?50代はどのくらい貯蓄があるのが一般的ですか?

配信日: 2025.07.15
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50代独身で貯蓄は「1500万円」ありますが、老後資金は足りないでしょうか?50代はどのくらい貯蓄があるのが一般的ですか?
50代になると、定年後の生活資金についてさまざまな心配が出てくるかもしれません。老後資金がどれくらい必要かは、個人によって異なります。
 
しかし「老後2000万円問題」などの言葉がニュースで飛び交っているのを見て、おおまかに2000万円を意識する人も少なくないでしょう。
 
今回のケースでは、50代単身世帯の人が1500万円の貯蓄を有しているとのことです。本記事では50代の平均貯蓄額をご紹介し、1500万円が老後資金として現実的な額かどうか解説します。
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50代の平均貯蓄額

50代単身世帯の平均貯蓄額がどれくらいか見ていきましょう。金融広報中央委員会 知るぽるとの「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」によると、50歳代の金融資産保有額状況は表1の通りです。
 
表1

金融資産保有額 全体に対する割合(%)
非保有 38.3
100万円未満 11.2
100~200万円未満 5.2
200~300万円未満 2.7
300~400万円未満 3.6
400~500万円未満 3.8
500~700万円未満 4.6
700~1000万円未満 5.5
1000~1500万円未満 4.9
1500~2000万円未満 4.1
2000~3000万円未満 4.4
3000万円以上 9.3

出典:金融広報中央委員会 知るぽると「家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](令和5年)」を基に筆者作成
 
表1によると、金融資産が1500万円未満という人は、金融資産非保有の人もあわせて全体の8割ほどであることが分かりました。また、50歳代の金融資産保有額の平均値は1391万円、中央値は80万円です。そのため今回の相談者は、単身世帯の50代で比較すると、貯蓄額は多い部類に入るといえます。
 

平均的な年金受給額と毎月の平均支出額

貯蓄1500万円で老後生活していけるかどうかは、定年後に受給できる年金の額や支出額などに左右されます。
 
シミュレーションのために、平均的な年金額および支出額を見ていきましょう。なお便宜上、相談者は65歳で定年を迎え、老齢厚生年金受給を開始するものとします。
 
厚生労働省年金局「令和5年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、令和5年度末時点における厚生年金保険(第1号)受給者の平均年金月額は、併給する老齢基礎年金額を含めて、「14万7360円」でした。
 
また総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要」によると、65歳以上の単身無職世帯における総支出額は、月平均15万7673円です。
 
仮に今回の相談者が前述の年金収入と平均支出で生活する場合、毎月の収支バランスはマイナス1万313円です。この収支状況が続くと、1年で12万3756円、10年(75歳時点)で123万7560円、25年(90歳時点)で309万3900円、35年(100歳時点)で433万1460円のマイナスが発生します。
 

貯蓄1500万円で老後生活していける?

今回のケースでは貯蓄が1500万円あるため、少なくとも100歳を迎えるまで不足額をカバーし続けられる計算です。もし相談者が定年時に退職金を受け取れるのであれば、老後資金にはさらに余裕が生まれるでしょう。
 
しかし受給できる年金が国民年金のみの場合、収支バランスが大きくマイナスに傾くおそれがあります。この場合、貯蓄の切り崩し額が大きくなり、老後資金が枯渇する可能性も考えられます。
 
あるいは病気や事故などによって大きな出費が出る場合も、老後資金の不足につながりかねません。
 

貯蓄と年金で生活費を賄えない場合どうするのか

貯蓄と年金収入を合算して生活費が不足することが想定される場合、あるいは不測の事態に備えてもっと余裕を持たせたい場合は、貯蓄を増やせないか検討できます。
 
50代で貯蓄を増やす方法として、以下のような手段が取れるかもしれません。

●固定費など支出を減らして毎月の貯蓄額を増やす
●生活費の決済などでポイントを貯めて現金支出を減らす
●税制優遇制度(NISAやiDeCoなど)を活用して資産運用する

定年前の早いうちから取り組めば、老後資金への安心感を得やすいです。
 

1500万円の貯蓄がある場合、平均的な年金収入と支出状況であれば老後資金に余裕はあると考えられる

50代単身世帯の平均的な貯蓄額は1391万円であり、金融資産が1500万円未満という人は、金融資産非保有の人もあわせて全体の8割ほどであることが分かりました。そのため今回の相談者は、単身世帯の同年代で比較すると、貯蓄額は多い部類に入るといえます。
 
平均的な老齢厚生年金の受給額があり、かつ支出を平均的な額におさえられる場合、毎月の収支状況はわずかにマイナスになる計算です。貯蓄が1500万円あれば、不足分をカバーするのに十分であるといえるでしょう。
 
しかし国民年金のみの受給であったり、平均を大きく超える支出があったりすれば、貯蓄1500万円でも心もとなくなるかもしれません。
 
急な出費が出る場合も同様です。少しでも余裕を持たせるためには、50代の今から貯蓄を増やす努力をするようおすすめします。
 

出典

金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[単身世帯調査](平成19年以降) 各種分類別データ(令和5年) 統計表の番号4 金融資産保有額(金融資産を保有していない世帯を含む)
厚生労働省年金局 令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 II. 厚生年金保険 (2)給付状況 表6 厚生年金保険(第1号) 受給者平均年金月額の推移(8ページ)
総務省統計局 家計調査年報(家計収支編)2023年(令和5年)結果の概要 <参考4> 65歳以上の無職世帯の家計収支(二人以上の世帯・単身世帯) 図2 65歳以上の単身無職世帯(高齢単身無職世帯)の家計収支-2023年- (18ページ)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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