「120万円」かけて太陽光パネルを導入しました!元が取れるのは何年後ですか?

配信日: 2025.07.15
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「120万円」かけて太陽光パネルを導入しました!元が取れるのは何年後ですか?
太陽光パネルの設置当初は環境への貢献や電気代の節約を期待していたものの、実際の発電量や売電額を見て「このペースで本当に採算が合うのか」と不安に感じる方もいるでしょう。
 
本記事では、設置費用が120万円だった場合を例に、太陽光パネルの回収期間を解説します。ご自身の状況と照らし合わせながら、今後の参考にしてみてください。
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120万円かけて設置した太陽光パネルはどのくらいで元が取れる?

太陽光パネルは設置費用やメンテナンス費用などがかかります。しかし、太陽光パネルで発電した電気を売ったり自宅で使ったりすることで、その費用が回収できる可能性があります。では、120万円かけて太陽光パネルを設置した場合、どのくらいで元が取れるのか見ていきましょう。
 

120万円の太陽光パネルの年間発電量

まず、120万円の太陽光パネルの年間発電量を見ていきましょう。
 
太陽光パネルの設置費用は、1キロワットあたりで計算されることが一般的です。資源エネルギー庁の「太陽光発電について」によると、2023年設置の平均費用は28万8000円/キロワットでした。これを基に計算すると、120万円で設置できるパネルの大きさは120万円÷28万8000円/キロワット=約4.17キロワットと推定できます。
 
次に、この太陽光パネルが1年間でどのくらいの電気を生み出すのか計算してみましょう。
 
太陽光パネル1キロワットあたりのシステム年間発電量を約1000キロワットアワーとすると、約4.17キロワット×1000キロワットアワー=約4170キロワットアワーとなります。つまり、120万円の太陽光パネルは、1年間で約4170キロワットアワーの電気を起こす能力があるということです。
 

売電収入

太陽光発電は、発電した電気のうち家庭で使いきれずに余った分を電力会社に買い取ってもらうことで、売電収入が得られる場合があります。
 
同資料によると、一般的な家庭では、発電した電気の67.3%が余剰分として売電に回されているようです。年間発電量約4170キロワットアワーの67.3%なので、約2806キロワットアワーは電力会社に売れることになります。
 
2024年度の1キロワットアワーあたりの調達価格・基準価格は16円/キロワットアワーです。ただし、上記の価格はFIT制度を利用している場合の価格で、10年を超えるとFIT制度の期間が終了します。
 
FIT制度の売電価格は年度によって異なりますが、2024年度の価格を基に試算すると最初の10年間の年間の売電収入は約2806キロワットアワー×16円/キロワットアワー=約4万4896円になります。
 
11年目以降は、各電力会社が設定する単価で売電することになるのです。ここでは、ある電力会社の売電価格8.5円/キロワットアワーで計算すると、11年目以降の年間の売電収入は約2806キロワットアワー×8.5円/キロワットアワー=約2万3851円となります。
 

電気代の節約額

太陽光発電は、発電した電気を売るだけでなく自宅で使うことができます。電力会社から電気を買わずに済むため、電気代の節約につながります。では、どのくらい節約できるのか見ていきましょう。
 
太陽光発電で発電した電力の32.7%を家庭で使うとすると、電力量は約4170キロワットアワー×32.7%=約1364キロワットアワーです。公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会によると、電気代の単価は31円/キロワットアワーです。
 
約1364キロワットアワー分の電気代がかからなくなるため、約1364キロワットアワー×31円/キロワットアワー=約4万2284円が節約できます。
 

太陽光パネルにかかる維持費

太陽光パネルは機械なので、定期的な点検や修理に備える費用がかかります。この維持費を考慮し、売電単価が変わる条件で元が取れるまでの期間を計算してみましょう。
 
同資料によると、太陽光パネルの年間運転維持費は、5800円/キロワットでした。120万円の太陽光パネルは約4.17キロワットのため、年間で約4.17キロワット×5800円/キロワット=約2万4186円かかることが分かります。
 
最初の10年間の年間利益は、売電収入約4万4896円+節約額約4万2284円=約8万7180円となります。ここから維持費の約2万4186円を引くと、実質的な利益は年間約6万2994円です。10年間での回収総額は、約6万2994円×10年=約62万9940円となります。
 
10年たつ時点で、まだ回収できていない費用は、120万円-約62万9940円=約57万60円です。11年目以降の年間利益は、売電収入約2万3851円+節約額約4万2284円=約6万6135円です。
 
ここから維持費の約2万4186円を引くと、実質的な利益は年間約4万1949円に減少します。残りの約57万60円をこの年間利益で回収するのにかかる年数は、約57万60円÷約4万1949円=約13.6年です。
 
以上の計算から、合計の回収期間は、最初の10年+約13.6年=約23.6年となります。つまり、120万円の太陽光パネルの元を取るためには、およそ24年かかるといえるでしょう。ただし、これらの金額はあくまで目安です。調達価格や電気代の単価が変化すれば、元が取れるまでの年数も変化するでしょう。
 

120万円の太陽光パネルの元を取るまでには約24年かかる可能性がある

太陽光パネルの設置にはまとまった初期費用が必要ですが、発電による売電収入や電気代の節約によって、少しずつその費用を回収していくことが可能です。今回の試算では、120万円をかけて設置した太陽光パネルの場合、元を取るまでに約24年かかるという結果になりました。
 
ただし、電気の使用状況や売電価格、メンテナンス費用などによって回収年数は前後する可能性があります。ご自身の実際の発電量や光熱費と照らし合わせながら、どのくらいで元が取れるのか再確認してみてはいかがでしょうか。
 

出典

経済産業省資源エネルギー庁 太陽光発電について(37、39、41ページ)
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A カタログなどに載っている電力料金の目安単価とは何ですか?
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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