扶養内パートで「月収8万円」ですが、今月は繁忙期で「月収10万円」を超えそう! お店に「来月も出勤を増やして」と言われていますが“2ヶ月だけ”収入が増えても大丈夫? 扶養でいられる要件を解説

配信日: 2025.07.15
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扶養内パートで「月収8万円」ですが、今月は繁忙期で「月収10万円」を超えそう! お店に「来月も出勤を増やして」と言われていますが“2ヶ月だけ”収入が増えても大丈夫? 扶養でいられる要件を解説
扶養の範囲をキープしたいと年収96万円(月収8万円)に抑えている人が、繁忙期に月収10万円超えになり来月も出勤日増を頼まれたという状況では、どんな選択をすれば良いのでしょうか。
 
収入増は働き方と家計への影響を見直す、よい転機になるかもしれません。本記事では、扶養の仕組みや2025年度税制改正によってどのような影響が起こりそうか解説します。
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「扶養」は2通り、それぞれ「年収の壁」が違う!

パート勤務で気になる「年収の壁」は、単純に扶養から外れるかどうかだけではなく、自身の将来の働き方や老後資金にも影響が出てくる重要なポイントです。一般的な「扶養」には、社会保険上の扶養と所得税上の扶養の2種類があります。
 
(1)社会保険上の扶養
 
配偶者の健康保険と厚生年金に加入できるかの基準です。年収の壁には「106万円」と「130万円」の2つがあり、年収106万円以上で一定の条件を満たすと、社会保険への加入が義務付けられるケースがあります。
 
年収130万円を超えると、配偶者の扶養から外れて自身で健康保険料・年金保険料を負担する必要があります。
 
(2)所得税上の扶養
 
配偶者が、所得税の配偶者控除や配偶者特別控除を受けられるかの基準です。所得税上の扶養から外れると、配偶者控除・配偶者特別控除が段階的に受けられなくなり、配偶者の所得税負担が増えます。
 
2025年度の税制改正により、所得税上の扶養でいられる年収の壁が103万円以下だったのが「123万円以下」に拡大しました。
 

今月・来月だけ収入が増えても大丈夫?

今回の「繁忙期で一時的に年収が増えそう」というケースでは、扶養を続けられるのでしょうか。この状況だと「年収の壁・支援強化パッケージ」制度の対象になる可能性があります。
 
この制度は、年収の壁が原因での働き控えによる人手不足に対応するために創設されました。一時的に年収が扶養の範囲を超えても、勤務先からの「事業主の証明」があれば、最長2年間は社会保険の扶養でいられます。
 
この制度を賢く利用すれば、「扶養内にとどまる」だけでなく「もっと働いて収入アップしたい」「将来の年金受取額を増やしたい」と将来を見据えた働き方を検討できる猶予期間として2年間を活用できるでしょう。
 
それでは、「年収の壁・支援強化パッケージ」制度が使える2年間のうちに、どのくらいの年収なら扶養でいられるのでしょうか。段階的な年収目安の例を挙げます。

<年収目安の例>

100万円:月収8万円×10ヶ月+繁忙期10万円×2ヶ月=100万円(扶養範囲内、自治体によっては住民税がかかる)
 
123万円:月収約10万2500円(所得税上の扶養は維持可能、要件を満たすと社会保険に加入)
 
126万円:月収約10万5000円(繁忙期での一時的な所得増を含める、所得税上での扶養から外れる)
 
129万円:月収約10万7500円(社会保険上の扶養上限ギリギリ)

上記の数字を目安に「どの月にいくら稼ぐか」を調整してみましょう。半年単位でチェックして、年間収入見込み額がどのくらいになりそうか把握しておくことがポイントです。
 

優先順位を明確にしよう

今、自身が最も重視したいことは何でしょうか? 「とにかく扶養内でいたい」であれば、年収の壁・支援パッケージ制度を活用しつつ、2年間の猶予期間が過ぎる前に月ごとの収入調整を検討してみましょう。
 
「少しでも多く稼ぎたい」であれば、積極的に収入を増やしつつ、自身で社会保険に加入して扶養から外れることも視野に入れていきましょう。
 

まとめ

扶養の範囲内とは、大きく分けて「社会保険上の扶養」と「所得税上での扶養」の2つに分かれています。社会保険上の扶養は「年収の壁・支援パッケージ制度」で2年間の猶予期間があり、2025年度から所得税上での扶養でいられる年収範囲がひろがりました。
 
「繁忙期に出勤日を増やしてほしい」という勤務先の要望は、キャリアアップと収入アップのチャンスかもしれません。自身のライフプランと家計の状況に合わせて、どのように働くかを選択することが重要といえるでしょう。
 

出典

厚生労働省 「年収の壁」への対応
厚生労働省 年収の壁・支援強化パッケージ
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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