気温30度でも「電気代がもったいない」と、エアコンを使わない70歳の母。「まだ大丈夫」と言われるけど、熱中症が心配…昼間「12時間」つけると、電気代はいくらかかる? 1ヶ月の電気代を試算
しかし、最近の夏の暑さは過去とは異なります。東京都でも6月末には30度を超える真夏日が連日続いており、気温や湿度の高さから家の中にいても熱中症になることも考えられます。特に高齢者は暑さを感じにくく、体温調節機能も低下しているため、知らぬ間に命の危険にさらされているかもしれません。
本記事では、熱中症の搬送状況や昼間の電気代を紹介しつつ、高齢者の親にどうやってエアコンをつけてもらえるように説得すればよいのかを解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
熱中症による搬送者の半数以上が高齢者
総務省の「令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況」によると、2024年の5~9月にかけて全国で9万7578人が熱中症で救急搬送されました。この人数は2008年の調査開始以来、最も多い数字です。
また、このうち65歳以上の高齢者が全体の約57%を占めています。さらに、搬送場所の内訳では「住居」が最も多く、38%におよびます。
つまり、熱中症は特に高齢者が要注意で、外出中だけでなく自宅にいる間にも起こり得るといえるでしょう。
エアコンは何度からつけるべき?
環境省によると、エアコンを使うときは室温28度を目安に設定することが推奨されています。これは、使用する人の快適性を損なわず、かつ省エネを目指すための指針であり、「28度を超えたら必ず冷房をつけるべき」というわけではありません。
一方で、28度を超えたらエアコンをつけるというのは1つの実用的な目安にはなるでしょう。
また、高齢者は暑さやのどの渇きに気づきにくく、室温が28度を下回っていても熱中症のリスクが高まることがあります。そのため、温度のみならず、「暑い」「息苦しい」「なんとなく体がだるい」と感じたら、早めにエアコンを使用することが重要です。
エアコンを昼間つけたままにするといくらかかる?
エアコンをつけたほうが快適とはいえ、「エアコン代がもったいない」と思ってしまうこともあります。今回は次の前提で、昼間の間ずっと6畳用エアコンをつけた場合の電気代を試算してみます。
・消費電力:400ワット
・電気料金単価(円/キロワットアワー):31円
・使用時間:1日12時間
この前提では、1ヶ月の消費電力量は0.4キロワットアワー×12時間×30日=144キロワットアワーです。そして、1ヶ月の電気代は144キロワットアワー×31円=4464円となります。
決して安くはない金額ではありますが、命を守る対価としては十分に許容範囲ではないでしょうか。
電気代よりも健康と命が大事
高齢者がエアコンをつけない理由は、「もったいない精神」や「昔はなくても大丈夫だった」という感覚が多いと考えられます。しかし、今の日本の猛暑を我慢すると命に関わります。
たとえ月に4000~5000円の電気代がかかったとしても、熱中症での救急搬送や入院費用、後遺症のリスクに比べれば微々たる負担です。
もし親がエアコンを使うことをためらうなら、熱中症のリスクやエアコンの電気代について話し合い、必要であれば電気代を支援するなど、無理のない形で安心して使ってもらえる環境を整えることも検討しましょう。
まとめ
高齢の親にとって、毎日の電気代は大きな問題かもしれません。しかし、1ヶ月5000円以下の冷房代で、熱中症のリスクを大幅に減らせるのなら、それは価値ある支出の1つといえます。
「まだ大丈夫」は危険なサインです。親の健康と命を守るためにも、室温や湿度を見ながら、適宜エアコンを利用してもらうようにしましょう。
出典
総務省 令和6年(5月~9月)の熱中症による救急搬送状況
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
