「電力ひっ迫」でも“節電要請”は出ない? エアコンは「冷房よりドライが安い」は嘘? 電力にまつわる“誤解10選”を紹介

配信日: 2025.07.18
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「電力ひっ迫」でも“節電要請”は出ない? エアコンは「冷房よりドライが安い」は嘘? 電力にまつわる“誤解10選”を紹介
暑い夏に、エアコンなしで過ごすのはとてもつらいものです。電気代を浮かせるためにエアコンを使わないというわけにはいかず、電気代と体調管理をてんびんにかけている人は多いのではないでしょうか。
 
本記事では、エアコンや電力にまつわるよくある誤解と、上手なエアコン使用方法を解説します。
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エアコンや電力のよくある誤解10選

勘違いされていることが多かったり、必ずしも正解とは言えなかったりする、エアコンや電力にまつわる誤解を10個紹介します。
 

誤解1「異常気象で電力がひっ迫し、節電要請が出る」

最近、「電力ひっ迫」というタイトルで目を引くニュースがありましたが、実際には電力は足りています。
 
経済産業省によると、2025年の夏が「10年に一度の厳しい暑さ」になっても、電力の安定供給ができるとしています。林芳正官房長官は5月の記者会見で、「節電要請は出さない」と発表しました。ただし、自然災害や国際情勢の変化などのリスクがあるので、完全に安心できるとは言い切れません。
 

誤解2「除湿運転のほうが冷房より電気代は安い」

エアコンには冷房と除湿(ドライ)の機能があり、除湿(ドライ)のほうが電気代は安いと思っている人もいるのではないでしょうか。機能としては、温度を下げるか湿度を下げるかの違いなのですが、どちらの電気代が安いかはメーカーや機種によって異なります。
 
除湿には「再熱除湿」「弱冷房除湿」と種類があり、上位機種に多く搭載されているのが「再熱除湿」です。電気代が高い順に、「再熱除湿」「冷房」「弱冷房除湿」となっています。
 

誤解3「弱運転をずっと続けたほうが節約になる」

エアコンは弱運転を長時間続けるよりも、自動運転のほうが電気代は安くなります。
 
なぜなら、室温を設定温度に下げるまでの間が一番電気を使うので、室温が設定温度まで下がる時間が長いと電気代がかかってしまうためです。自動運転機能ではエアコン自体が強風と微風を使い分けてくれるので、効率的な運転ができます。
 

誤解4「設定温度を極端に低くすると早く冷える」

エアコンは、設定温度を低くするほど電気代がかかります。体感温度を下げたいなら、温度を低くするよりも風量を強くするほうが有効です。また、エアコンと併用して扇風機の風を自分に当てれば、早く体を冷やすことができます。扇風機にかかる電気代は、エアコンの10分の1以下です。
 

誤解5「エアコンの風は下向きのほうが部屋はよく冷える」

エアコンの風を極端に下向きにしていると、空気に温度むらができてしまいます。部屋の天井付近に熱い空気がたまり、エアコンが「部屋が冷えていない」と判断し、消費電力が増えてしまうのです。風向きは「上向き」か「水平」にして、サーキュレーターなどで空気を循環させましょう。
 

誤解6「エアコンは部屋を密閉すれば省エネになる」

エアコンを使う部屋を閉め切って外気を入れないのはもちろん大切なことですが、それだけでは省エネには足りません。
 
扇風機やサーキュレーターを使って室内の空気循環をよくすることも重要です。空気の循環が悪いと、エアコンが余計に働く可能性があります。また、遮熱カーテンで直射日光を遮ることも有効な手段です。
 

誤解7「お掃除機能付きエアコンなら、フィルター掃除はしなくても問題ない」

エアコンのフィルターが汚れていると運転効率が落ち、電力の消費量が増えます。空気の通り道がふさがれて、余分な電力が必要になるからです。お掃除機能付きのエアコンはフィルターのほこりを取ってくれますが、完全とはいえません。こまめにフィルターの掃除を行う必要があります。
 

誤解8「エアコンを頻繁にオンオフするほうが省エネだ」

エアコンの電源をこまめに切ることが正しいかどうかは、時間帯によって異なります。外気温が高い日中は、30分程度の外出であれば電源を切る必要はありません。
 
しかし、外気温が低い18時以降は、こまめに電源を切ったほうがいいでしょう。外気温とエアコンの設定温度の差が大きいほど、起動時の消費電力量が多くなるためです。
 

誤解9「大型エアコンのほうが効率は良い」

8畳の部屋に10畳用のエアコンを使えば、早く部屋が冷えて良いと思う人もいるかもしれません。しかし、部屋の広さに合わない大型エアコンは、電力を無駄に消費する可能性があります。
 
引っ越しなどでエアコンのサイズが部屋に合わなくなってしまった場合、大きいエアコンなら設定温度を控えめに、小さいエアコンならサーキュレーターで室温むらをなくすことで対応しましょう。
 

誤解10「新しいエアコンは今より省エネだ」

経済産業省資源エネルギー庁によると、エアコンは10年前と比べて約15%省エネになっています。
 
とはいえ最新のエアコンが今使っているものより必ず省エネになるかといえば、「使い方次第」といわざるを得ません。室外機を直射日光に当ててしまえば廃熱効率が下がりますし、設定温度を下げ過ぎて使えば消費電力量が増え、最新の省エネ性能以上に電気代がかかります。
 

まとめ

エアコンは消費電力の大きい家電です。夏の電気代を安くしたいなら、上手なエアコンの使い方を知っておきましょう。設定温度を下げずに体感温度を下げる方法を覚えれば、新しいエアコンに買い替えなくても節電ができるでしょう。
 

出典

経済産業省 資源エネルギー庁 省エネポータルサイト 機器の買換で省エネ節約
環境省 家庭のエネルギー事情を知る エアコンの使い方について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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