住んでいる自治体の「指定ごみ袋」は「1枚70円」です…「市販の袋OK」の地域と比べて“年間2万円”も差がつくって本当ですか?
今回は、ごみ袋の制度や価格差の背景を解説し、指定袋と市販袋を比較した年間コストの違いや、節約につながる日常の工夫について紹介します。
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自治体によって違う「ごみ袋」の値段
なぜ自治体ごとにごみ袋の値段が大きく違うのでしょうか。その背景には、ごみ処理に関する「受益者負担」という考え方があります。これは、ごみの収集や焼却といった行政サービスにかかる費用を、サービスを受ける住民がその量に応じて公平に負担するというものです。
指定ごみ袋を有料化し、その収益をごみ処理費用に充てることで、ごみを多く出す人ほど多くの費用を負担する仕組みになっています。また、ごみ袋の価格を高く設定することには、住民一人ひとりに「ごみ袋代がもったいないから、ごみを減らそう」という意識を持ってもらい、地域全体のごみ減量を促進する狙いもあります。
さらに、近年の原材料費や人件費、輸送費の高騰も、ごみ袋の価格に影響を与えています。実際に、2025年4月から茨城県潮来市では、指定ごみ袋の価格が従来よりも引き上げられるなど、ごみ処理コストの増加を背景に値上げに踏み切る自治体も見られます。
年間コストはどのくらい違う?全国の事例で比較
それでは、指定ごみ袋の価格差は、年間の家計にどれほどの違いを生むのでしょうか。具体的なモデルケースで計算してみます。
・ごみ出しは週に2回
・年間は52週として計算
・指定ごみ袋は「1枚70円」、市販袋は「1枚10円」(市販ポリ袋は10枚100円程度で入手可能なため)
一般的な4人家族の家庭(週に合計4袋を使用)
・指定ごみ袋(1枚70円)の場合: 70円 × 4枚/週 × 52週 = 年間1万4560円
・市販ごみ袋(1枚10円)の場合: 10円 × 4枚/週 × 52週 = 年間2080円
・差額:1万2480円
子どもが小さいなど、ごみの量が多い家庭(週に合計8袋を使用)
・指定ごみ袋(1枚70円)の場合: 70円 × 8枚/週 × 52週 = 年間2万9120円
・市販ごみ袋(1枚10円)の場合: 10円 × 8枚/週 × 52週 = 年間4160円
・差額:2万4960円
このように、ごみの排出量が多い家庭では、年間のコスト差が2万以上になることもあります。ただし、今回の試算はあくまで目安であり、実際の使用枚数や地域の制度によって金額は変動しますので、参考程度にご覧ください。
なお、自治体によっては、紙おむつを使用する世帯などを対象に、指定ごみ袋を無償で配布するなどの支援策を設けている場合もあるようです。
高いごみ袋代も工夫次第!今日からできる節約術
指定ごみ袋の価格そのものを変えることはできません。しかし、ごみを出す「量」を減らし、使う袋の枚数を少なくすることで、ごみ袋代を効果的に節約することは可能です。
まず、ごみの中で大きな割合を占める「生ごみ」のかさを減らす工夫です。調理くずや食べ残しは、捨てる前に水気をしっかり絞るだけで、重さもかさも大きく減ります。臭いの防止にもつながるため、一石二鳥です。
また、買い物の段階からごみを減らす意識も大切です。過剰な包装は断る、なるべく詰め替え用の商品を選ぶといった工夫で、家に持ち込むごみの量を減らすことができるでしょう。
賢い工夫で家計の負担を軽くしよう
自治体によるごみ袋の制度や価格の違いは、年間で見ると家計に無視できない影響を与えます。ごみの排出量が多い家庭では、その差は2万5000円近くになることもあり、これは決して小さな金額ではありません。
しかし、その背景には、ごみ処理費用の公平な負担と、環境問題への意識向上という大切な目的があることも事実です。
ルールは自治体ごとに異なりますが、日々の暮らしの中でごみを減らす工夫はどの地域でも実践できます。まずはご自身の住む自治体のルールを正確に知り、その上で分別を徹底したり、買い物の仕方を見直したりすることが大切です。家庭から出るごみの量や出し方を少し見直すだけでも、結果的に家計の負担軽減につながるかもしれません。
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
