夫が「牛乳170円だった」と買ってきてくれましたが、実は「乳飲料」でした…どうして乳飲料は安いのでしょうか? 見分け方も教えてください
しかし、手に取ってよく見てみると、「牛乳」ではなく「乳飲料」と書かれている商品があります。パックの見た目が牛乳とそっくりで、牛乳と同じ売り場に並んでいるので、間違えて購入してしまったことがある人も少なくないでしょう。
この見た目がそっくりな「乳飲料」は、牛乳と比べてどのような違いがあるのでしょうか。また、どうして乳飲料は安いのでしょうか。本記事では、牛乳と乳飲料の違いと、それぞれのメリットについても解説していきます。
ファイナンシャルプランナー2級
「牛乳」と「乳飲料」の違いは?
牛乳パックの正面や横面には「種類別名称」という欄があり、「牛乳」、乳飲料」などと記載されています。また、このほかにもさまざまな種類の飲料があります。
図表1
| 牛乳 | 生乳100%。水などを一切加えず、そのまま加熱殺菌したもの |
| 乳飲料 | 生乳または乳製品に、ほかの成分を加えたもの |
| 成分調整牛乳 | 生乳から一部の成分(乳脂肪分など)を除いたもの |
| 低脂肪牛乳 | 乳脂肪分を減らした牛乳 |
| 加工乳 | 生乳に脱脂粉乳やバターなど乳製品を加えたもの |
株式会社明治 牛乳の種類 を基に筆者作成
牛乳は、牛から搾乳したミルクをそのまま加熱処理したもので、混ぜ物は一切入っていません。一方、乳飲料は生乳に水を加えたり、脱脂粉乳をベースに作られたりしています。つまり、「乳飲料」は生乳100%の「牛乳」とは別物で、さまざまな成分を加えて作られた「ミルク風飲料」と言ってもいいでしょう。
種類別で比べてみると、価格にも明確な差が
牛乳と乳飲料は、どれくらい価格差があるのでしょうか。2025年7月時点での一例として、大手通販サイト(Amazon)に掲載されている森永乳業の商品を参考に比較してみましょう(※PB商品や特売品を除く)。
森永のおいしい牛乳(1000ミリリットル):約290円
森永 あじわい便り(乳飲料・1000ミリリットル):約178円
同メーカーから販売されているものでも、牛乳と乳飲料では100円以上の差がありました。
この理由の1つは、原材料のコストです。生乳100%の牛乳は、搾乳から輸送、衛生管理まで多くの手間とコストがかかっています。一方、乳飲料は粉乳などの乳製品をベースに作られたり、水で成分調整されていたりなど、比較的コストを抑えられるため、安価で販売することが可能なのです。
安いだけじゃない? 乳飲料の意外なメリット
「安かろう、悪かろう」という言葉もありますが、乳飲料は牛乳と比べて品質が劣っているかというと、必ずしもそうではありません。むしろ、目的に合っていれば乳飲料のほうが優れていることもあるのです。
例えば、乳飲料の中にはカルシウム強化や鉄分添加といった栄養面での工夫がされているものもあり、子どもや高齢者の栄養補給に適しています。また、低脂肪タイプのものはダイエット志向の人向けといえるでしょう。味の好みやライフスタイルに応じて、牛乳と乳飲料を上手に使い分けるのがおすすめです。
牛乳と似て非なる「乳飲料」。価格と内容をチェックしよう
スーパーやコンビニで同じコーナーに売られており、見た目も似ている「牛乳」と「乳飲料」ですが、実は成分が異なります。値段が安いからといって飛びつくと、「いつもと味が違う」「料理に使ったけどうまく作れなかった」ということもあるかもしれません。買い間違えを防ぐには、「種類別名称」をしっかりチェックするようにしましょう。
また、一見するとパックはそっくりですが、牛乳に限っては、500ミリリットル以上の屋根型紙パック容器上端部、開口部の反対側に「切欠き」(扇状のくぼみ)がつけられているものが多く、見分けが付けられます。
なお、牛乳と比べると味が薄いと言われる乳飲料ですが、成分が調整されている分、体調や好みに合わせて選べるというメリットもあります。価格だけで良し悪しを判断するのではなく、その時々に合わせて牛乳と乳飲料を買い分けるようにしましょう。
出典
株式会社明治 牛乳の種類
独立行政法人国民生活センター 牛乳だと思って購入したら、加工乳だった
執筆者 : 渡辺あい
ファイナンシャルプランナー2級
