「カップ麺=節約」はもはや過去の話!? 昔は「100円台」でしたが、約10年でどれだけ値上げしたのでしょうか? 栄養価で見るとお得ですか?
物価高騰が続く中で、カップ麺を節約の手段として頼ることは、ベストな選択なのでしょうか。栄養価やほかの節約メニューと比較しながら、現代の「節約食」を探ってみましょう。
ファイナンシャルプランナー2級技能士・夫婦カウンセラー
10年で56円の値上の影に
2015年に180円だったカップヌードルは、小麦価格の高騰やエネルギーコストの上昇を理由に、段階的に値上げされてきました。特に2019年以降は加速し、2022年に214円、2023年には236円へと急上昇。公正取引委員会が価格維持の圧力について調査に乗り出すほどの状況です。
図表1
筆者作成
2024年の総務省の家計調査によると、日本の平均的な世帯(2人以上)の1食あたりの食費は999円。単身世帯は536円です。236円のカップ麺は、この平均値と比較すればまだ「安い」と言えるでしょう。
栄養価で見た「お得度」
しかし、栄養面から見ると話は変わります。カップヌードル1食に含まれるたんぱく質は約10グラムです。1グラムあたり約24円という計算になり、これは鶏むね肉(1グラム3~5円)と比べて割高です。
ちなみに、厚生労働省によると、日本人のたんぱく質の1日の摂取推奨量は30歳代以上で50グラム~65グラムとなっています。
もう1点注目したいのは、食塩相当量です。カップヌードル1食あたり(スープ含む)に4.7グラム含まれ、これは1日の推奨摂取量の63~72%に相当します。2食をカップヌードルで済ませてしまうと、推奨される摂取量を超えてしまい、たんぱく質の不足も懸念されます。
真の節約食「納豆ご飯」の実力
実は、もっと経済的で栄養価の高い選択肢が存在します。その代表が「納豆ご飯」です。
炊いたご飯150グラム(約40円)に納豆1パック(約30円)で、合計約70円。たんぱく質は約10グラムと、カップ麺と変わりません。さらに、納豆には腸内環境を整える納豆菌や、食物繊維、ビタミンKなどの栄養素も豊富です。準備時間は、ご飯を盛って納豆をかけるだけの1分程度で済みます。
物価高騰下の賢い節約術
現在の物価高騰下では、次のような工夫が効果的です。
1. 業務スーパーなどでの計画的なまとめ買い :5キログラムの米が1500~2000円で購入でき、約35食分になります。1食あたり43~57円という驚異的なコストパフォーマンスです。
2. 夕方の見切り品狙い:19時以降のスーパーでは、弁当や総菜が30~50%引きになることがあります。調理コストのかからない食事が300円程度で手に入ります。
3. 季節の野菜を活用:もやし(1袋20~40円)、キャベツ(1玉150円程度)など、安価で栄養価の高い野菜を組み合わせることで、満足感のあるメニューが200円程度で作れます。
まとめ
236円という現在の価格を考えると、カップヌードルはもはや「節約食」とは言えないかもしれません。栄養価、健康への影響など見えないコストパフォーマンスを考慮すれば、納豆かけご飯や、米を中心とした簡単な自炊のほうが圧倒的に優れています。
カップ麺は「時間がない時の便利食」に位置づけ、日常的な節約手段としては、より健康的で経済的な選択肢を検討する必要があるでしょう。
出典
日清食品株式会社 価格改定のお知らせ~2023年6月1日(木)出荷分から~
総務省統計局 家計調査報告[家計収支編〕2024年(令和6年)平均結果の概要
執筆者 : 藤澤環奈
ファイナンシャルプランナー2級技能士・夫婦カウンセラー

