入社早々に会社の近くで「一人暮らし」をスタート。会社には「遠方の実家暮らし」と申請しているけど、すでに受け取った「6万円の定期代」は返還が必要…?
本記事では、不正受給に当てはまるパターンと不正受給が判明した場合に考えられる処分について解説します。
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申請と異なる住所からの通勤は「通勤手当」の不正受給になる恐れも
勤務先の近くに住んでいるのに、遠方の実家に住んでいると偽った申請は不正受給に当てはまる可能性があります。過去には、実際よりも遠方に住んでいると偽ったり、通勤ルートを偽ったりして通勤手当を申請したことが原因で懲戒処分を受けたという事例もあります。
また、昨年には東京都豊島区役所の職員84人が通勤手当を不正受給したニュースも話題になりました。不正受給しても必ず解雇になるわけではありませんが、後述する勤務先からの制裁や処分、差額分の返還を求められるリスクは大いにあります。
「通勤手当」の不正受給に該当する3つのパターン
ここでは、通勤手当の不正受給に当てはまるケースを、3つご紹介しましょう。
・住所を偽る
実際よりも遠い住所で申請し、本来よりも多く手当を受給する場合です。具体例として、今回のように勤務先の近くに住んでいるのに、遠方の実家に住んでいるものとして偽装する場合が挙げられます。
・通勤ルートを偽る
実際は申請よりも短い・安いルートで通勤しているが、長い・高いルートで通勤していると偽る場合です。具体例として、引っ越しによって通勤ルートが変わったのに、それを勤務先に申告せずに差額を得る場合が挙げられます。
・通勤手段を偽る
実際に使用していない通勤手段を使っていると偽り、その分の手当を得る場合です。具体例として、電車通勤として申請しているのに、実際は徒歩や自転車で通勤している場合が挙げられます。
なお、国税庁によると通勤手当はその通勤方法および経路が「最も経済的かつ合理的な経路および方法」に該当する場合に限り、1ヶ月あたり最大15万円まで非課税となります。合理的な理由もなく迂回(うかい)・寄り道して通勤する場合やグリーン車で通勤する場合などはこの要件に当てはまらないため、非課税とはなりません。
通勤手当の「不正受給」が判明した場合はどうなる?
不正受給が判明した場合、勤務先から懲戒処分などの制裁が下される恐れがあります。当然ですが、不正に受け取った通勤手当の返還を求められる可能性が高いでしょう。
就業規則に基づいて懲戒処分が下された場合は、戒告・けん責や減給、出勤停止、最悪の場合は論旨解雇や懲戒解雇の恐れもあります。不正受給の期間が長く、金額が多額になるほど処分は重くなる可能性があるでしょう。
意図性や悪質性が高く、勤務先を故意にだまして通勤手当を不正受給した場合は、詐欺罪に問われ、勤務先から訴えられる恐れもあります。
通勤方法および経路などが変更となった場合は、会社の規則に従い、速やかに必要な申請を行うようにしましょう。
まとめ
勤務先の近くに住んでいるのに遠方の実家に住んでいると偽った場合、不正受給に当てはまる可能性があります。不正受給が判明した場合、差額分の返還や懲戒処分などが下される恐れもあるため、今回の事例において、すでに受け取った6万円の定期代は勤務先に返さなければならないと考えられます。
また、不正受給を狙って勤務先をだました場合は悪質とみなされ、詐欺罪が成立する恐れもあります。最悪の事態を免れるためにも、速やかに勤務先に報告し、返す意思を伝えるとともに正しい住所で申請し直しましょう。
出典
国税庁 タックスアンサー(よくある税の質問) No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
