母のタンス預金が「500万円」に!家に置いておくのは危ないと思うのですが、銀行に預けたら税金がかかるの?

配信日: 2025.07.27 更新日: 2025.07.28
この記事は約 4 分で読めます。
母のタンス預金が「500万円」に!家に置いておくのは危ないと思うのですが、銀行に預けたら税金がかかるの?
コツコツと貯めてきたタンス預金。今回の事例における母親のタンス預金「500万円」のように、金額が大きくなるにつれて、「そろそろ銀行に預けた方が安全かも」と考える方もいるでしょう。
 
その一方で、「銀行に預けたら税金がかかるのでは?」という不安や疑問を感じる人も少なくありません。
 
そこで本記事では、タンス預金を銀行に預けたときに「税金はかかるのか?」という点について、分かりやすく解説します。あわせて、自宅に現金を保管し続けることによるリスクについてもご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

タンス預金と税金の関係とは

タンス預金そのものは銀行に預けても課税されませんが、預金して発生した利息は「利子所得」として、所得税・復興特別所得税と地方税が源泉徴収される形で自動的に納税されます。そのため、通常は追加で確定申告する必要はありません。
 
さらに、タンス預金は状況によっては所得税や相続税、贈与税の対象となる可能性もあります。次の章では、どのようなケースで課税のリスクが生じるのか、具体的にご紹介します。
 

所得税との関係

多額のタンス預金をまとめて銀行に預け入れると、そのお金の出どころについて税務署から疑念を持たれるケースがあります。
 
特に、申告されていない収入だと見なされると、調査対象になるおそれもあるため、正当な取得経緯を説明できるよう記録を整理しておきましょう
 

相続税との関係

タンス預金がある状態でその所有者本人が亡くなった場合、現金もほかの財産と同様に相続財産として扱われます。
 
この現金を相続税の申告から除外してしまうと、申告漏れと見なされ、後から追徴課税などのペナルティーを受ける可能性があります。
 
相続税は、遺産の総額から必要な控除などを引いたうえで課税額が決まるしくみです。国税庁によれば、以下のようなステップで計算が行われます。

1.相続などで受け取った財産の合計を出す
2.差し引けるものを引く(債務や葬式費用など)
3.加算の対象となる生前贈与の財産を加える
4.「基礎控除額(3000万円+600万円×法定相続人の数)」を引いて課税遺産総額を確定する

なお、基礎控除額以下であれば、相続税はかかりません。また、相続人の人数が多ければ基礎控除額も多くなるので、課税されにくくなるでしょう。
 

贈与税との関係

タンス預金も個人からの贈与により取得したものであれば、贈与税の対象となる財産です。
 
たとえタンス預金であっても、申告をしなかったり、実際に受け取った金額より少ない金額で申告したりすると、本来の贈与税に加えて「加算税」が課されることがあります。なお、年間110万円までは基礎控除があり、超える部分のみが課税対象です。
 
また、申告・納税が期限に間に合わなかった場合は延滞税もかかるため、忘れずに申告しましょう。
 

タンス預金で考えられるリスク

タンス預金を行うことで考えられるリスクは、以下の通りです。

●災害などで消失する可能性がある
●盗難や紛失で無くなる可能性がある
●家に保管するため利息や運用益がつかない
●遺産相続でトラブルを招く可能性がある

タンス預金は災害で失うリスクがあり、一般的に現金は火災保険や地震保険の保障対象外です。一方、銀行に預けていれば、災害時でも預金は守られ、通帳が焼失した場合の再発行も可能です。
 
また、空き巣や強盗による盗難のリスクもあるかもしれません。タンス預金をする本人が保管場所を忘れたり、家族に知らせないまま亡くなったりすると、現金が発見されずに処分されてしまうおそれもあります。
 
タンス預金を銀行預金や投資などに回せば、利息や運用益が期待できます。一方、タンス預金は現金を置いておくだけなので、一切の収益がなく、長期的には資産運用に比べて損をする可能性が高いといえるでしょう。
 
なお、タンス預金は、金額の証拠が残らないため、相続時にトラブルの原因になるリスクもあります。
 
銀行預金のように記録が残らないため、遺産が思ったより少ないと、ほかの相続人から「勝手に持ち出したのでは?」と疑われるケースもあるようです。「生前にこっそり贈与を受けていたのでは?」などの疑念から、相続人同士の争いに発展するケースも少なくありません。
 

タンス預金500万円を銀行に預けた場合、利息は税金の対象になる。所得税や相続税、贈与税などとの関係にも注意

タンス預金を銀行に預けても、適切に申告されたお金であれば、預貯金そのものに税金がかかることはありません。ただし、預けたことで発生する利息には「利子所得」として税金が課されます。
 
一方、タンス預金を自宅に保管し続けることにはさまざまなリスクがあります。例えば、盗難や災害で現金を失うおそれがあるほか、銀行預金や投資のような利息・運用益も得られません。
 
また、一度に多額の現金を銀行口座へ入金すると、税務署から「申告していないお金では?」と疑われる可能性もあります。さらに、将来的に相続が発生した場合、タンス預金も相続財産として課税の対象になるため、適切な申告が必要です。
 
安心・安全な資産管理のためにも、タンス預金のリスクを理解し、適切に銀行預金や資産運用を検討することをおすすめします。
 

出典

国税庁 パンフレット「暮らしの税情報」(令和7年度版) 財産を相続したとき
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問