「エアコンは28度」にこだわる母。昨今の“酷暑”なら、電気代より快適さを優先しても「損」じゃないですよね?
本記事では、「エアコン28度」の本当の意味や、設定温度を変えるとどのくらい電気代が節約できるのかを解説します。
2級ファイナンシャルプランニング技能士
「エアコンは28度」に関するよくある誤解
政府が「クールビズ」などで推奨している「エアコンは28度」を、「エアコンの設定温度」だと思っている人は多いのではないでしょうか。政府が推奨している「28度」は実は「室温」のことで、「エアコンの設定温度」ではありません。
エアコンの設定温度は、設定した温度になるようにエアコンを運転させるためのもので、室温とは異なります。強い西日が差す部屋など、状況によっては室温が設定温度よりも高くなる場合があります。そのため、設定温度28度をかたくなに守っていると、熱中症にかかりやすくなる可能性もあるのです。
「28度」という温度もあくまで目安でしかなく、絶対的な基準ではありません。同じ室温でも、体質や体形など、人によって暑く感じたり寒く感じたりすることはよくあります。したがって、自分が不快に感じない範囲で設定温度を決めることが大切です。
エアコンの設定温度28度と26度ではどれくらい電気代が違う?
そもそも、エアコンの設定温度でどのくらい電気代が変わってくるのでしょうか。エアコンの設定温度を1度上げると、電気代を約10%節約できるといわれています。ここでは設定温度28度と26度で、8時間運転させた場合にどのくらい電気代が変わるのか比較してみました。
図表1
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ電子版リスト より筆者作成
図表1のように、2.2キロワット(6畳用)では25円、5.6キロワット(18畳用)では93円節約できます。8時間ではなく24時間稼働させたとすると、1ヶ月で節約できる電気代は下記のとおりです。
●2.2キロワット(6畳用):25×3×30=2250円
●5.6キロワット(18畳用):93×3×30=8370円
5.6キロワットではある程度節約できますが、2.2キロワットの節約額は意外と少ないと感じる人もいるのではないでしょうか。このことからも、節約できるといっても限度があるため、健康面を優先したほうがよさそうです。
エアコンの電気代を節約するコツ
設定温度以外で、エアコンの電気代を減らすにはどうすればよいのでしょうか? 簡単にできる方法をいくつか紹介します。
扇風機を併用する
冷たい空気は重いため部屋の下にたまり、逆に熱い空気は上にたまります。扇風機で部屋の空気をかき混ぜてやれば、冷たい空気が均一に広がるため体感温度を下げられます。設定温度を高めにしても、快適に過ごしやすくなるでしょう。
こまめにフィルターの掃除をする
エアコンのフィルターを、1ヶ月に1~2回清掃しましょう。定期的に清掃をしているとエアコンの運転効率が良くなり、節電につながります。
まとめ
よくいわれている「エアコン28度」は、「設定温度」ではなく「室温」です。設定温度を28度にすると、部屋の状況などによっては室温が28度以上になる場合があり、熱中症にかかる可能性が高まります。また、エアコンの設定温度を高くすると、ある程度は節約できますが、6畳用など小型エアコンではそれほど大きな差は出ません。
節約にいそしんでも、それで体調が悪くなってしまっては意味がありません。不快に感じない範囲で、エアコンの設定温度を決めることが大切です。
出典
政府広報オンライン 適正な室温で快適に!クールビズの提案
経済産業省 資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ電子版
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A
執筆者 : 山根厚介
2級ファイナンシャルプランニング技能士

