冷房28度設定でも“電気代が安くならない”のはなぜ? 夏のエアコン代をムダにする要因とは

配信日: 2025.07.29
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冷房28度設定でも“電気代が安くならない”のはなぜ? 夏のエアコン代をムダにする要因とは
夏の電気代が気になる季節、エアコンの設定温度を28度にしたものの、思っていたほど電気代が下がらないと感じていませんか。それは、設定温度だけに注目して、エアコン本体のメンテナンスや室内環境、運転モードなど他の要素を見落としている可能性が高いからです。
 
本記事では、設定温度と電気代の仕組みを解説し、「なぜ電気代が下がらないのか」「何が原因なのか」を明らかにしたうえで、すぐに実践できる具体的な節電策をご紹介します。
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「28度設定=節電」は本当? その仕組みと現実のギャップ

エアコンの電力消費は、外気温と設定温度の差が大きいほど高くなります。エアコンの設定温度を上げることで、外気温と設定温度の温度差を小さくし、冷房にかかる負荷を軽くして、消費電力が抑えられるという仕組みです。
 
環境省によれば、冷房時の設定温度を1度上げるごとに、約13%の消費電力量の削減が期待できます。そのため、普段から冷房の設定温度を25度や26度などにしている場合、28度まで上げることで、冷やしすぎによる体への負担を防ぎながら、電気代の節約もできる可能性があるのです。
 
しかし実際には、「28度にしているのに電気代が全然安くならない」「かえって高くなっている気がする」という風に感じているご家庭も多いのではないでしょうか。これは設定温度以外の条件が整っていないことが考えられ、知らず知らずのうちに電気代をムダにしてしまっている可能性があります。
 

電気代が下がらない5つの要因:設定温度以外に注意すべきこと

エアコンを28度に設定していても電気代が下がらない主な理由には、以下のような「見落としがちなポイント」が考えられます。
 
まず1つ目は、フィルターの汚れです。エアコンのフィルターにホコリが詰まっていると、空気の吸い込みが悪くなり、冷やすために必要以上の電力が必要になります。
 
その結果、消費電力が増え、月々の電気代が高くなる原因になります。一般的に2週間に1度はフィルターを掃除することが推奨されていますが、実際には季節の変わり目まで掃除していないというご家庭も少なくありません。
 
2つ目は、室外機の状態です。室外機は冷房時に熱を外に逃がす役割を担っていますが、その周囲に植木鉢や自転車などが置かれていると、風通しが悪くなって熱がこもりやすくなります。
 
また、直射日光が長時間当たる場所に設置されている場合、室外機の温度が上昇して効率が落ち、エアコン全体の性能が下がることになります。室外機周りを整理し、日陰をつくるだけでも電気代のムダを抑える効果が期待できます。
 
3つ目は、部屋の断熱性の低さです。古い建物や断熱性能の低い窓ガラスを使用している住宅では、冷気がすぐに外へ逃げてしまいます。
 
とくに大きな窓から日差しが差し込む場合、室温が思うように下がらず、エアコンが常にフル稼働になってしまうのです。断熱カーテンや遮熱フィルムを使うことで、外の熱を遮り、エアコンの効率を高めることができます。
 
4つ目の原因は、運転モードや湿度の設定です。冷房運転にしているつもりでも、風量を「弱」に固定していたり、除湿モードで長時間運転していたりすると、かえって電気代が高くつくことがあります。
 
また、湿度が高いと体感温度が上がりやすいため、室温は28度でも不快に感じて設定温度をさらに下げたくなってしまいます。自動運転モードや除湿機能を上手に組み合わせ、風の流れをサーキュレーターなどで調整することで、効率よく冷やすことが可能になるでしょう。
 
最後の5つ目は、エアコンのオン・オフの頻度です。電気代を節約しようとしてこまめに電源を切る人も多いかもしれませんが、短時間の外出であれば、つけっぱなしの方がかえって効率が良い場合もあります。
 
エアコンは起動時に最も電力を使うため、日中10~30分程度の外出であれば電源を切らず、風量や温度設定を調整してそのまま運転した方が電気代を抑えられる可能性があるのです。
 

ムダを防ぐ! すぐにできる節電対策

まず、フィルターのこまめな掃除が基本です。そして、室外機周りを片付けて風通しを良くし、可能であれば直射日光が当たらないようすだれや日よけでカバーしてあげましょう。
 
窓からの熱を遮るためには、断熱カーテンや遮熱フィルムを設置するのが効果的です。とくに南向きの窓がある部屋では、日中に室温が急上昇することもあるため、遮光対策は欠かせません。また、サーキュレーターを使って部屋の空気を循環させれば、冷気が部屋全体に行き渡り、体感温度も下がります。
 
さらに、電力会社の料金プランも見直してみましょう。例えば、昼間は家に人がおらず、夜間の電力使用量が多いご家庭の場合、時間帯別に料金が異なる「時間帯別料金プラン」などへの変更も、長期的な節約につながります。
 

まとめ:28度設定に頼るだけでは不十分な場合がある。総合的な使い方の工夫が重要

エアコンを28度に設定しているだけでは、電気代の節約は十分に達成できない場合があります。設定温度はあくまで第一歩であり、その効果を最大限にするためには、室内外の環境、エアコンの使い方、メンテナンスの有無など、さまざまな工夫が必要です。
 
面倒に感じるかもしれませんが、日頃から少しずつ意識を変えることで、快適さと省エネを両立した暮らしに近づくことができるでしょう。今年の夏は、エアコンの「正しい使い方」を見直すことから始めてみてはいかがでしょうか。
 

出典

環境省 家庭部門のCO2排出実態統計調査 家庭のエネルギー事情を知る エアコンの使い方について
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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