都内で“家賃最安”は「青梅市」の3.2万円と聞きました。新宿まで「約1時間」なら、節約のために引っ越すべきでしょうか? 現在は“大田区・家賃7万円”に住んでいます
「節約のために遠くに引っ越すべきか?」「実際にどれくらい節約になるのか?」といった疑問に応えるため、本コラムでは、東京都内で家賃が比較的安いエリアに焦点を当て、都心へのアクセス時間や交通費とのバランス、遠距離通勤がもたらすメリット・デメリットを考えていきます。
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント
都内の「ワンルーム」家賃相場、最安値は「青梅市」。最高値は?
不動産情報サイト「SUUMO関東版」が発表しているデータによると、東京都内のワンルームマンション家賃相場が最も安いのは、西多摩地域に位置する「青梅市」で、平均3万2000円となっています。最高値の「港区」は同条件で11万3000円と、金額にして8万1000円、割合で約3.5倍の開きがあります。
また、青梅市において最安値の「家賃月額3万円」のワンルームマンションでも、最寄りの駅(青梅線・河辺駅)から徒歩6分と、決して駅から遠くありません(※執筆時の2025年7月上旬時点)。
仮に港区から青梅市に住居を変えれば、単純計算で毎月8万円以上の節約になります。収入がまだそれほど多くない一人暮らしの人にとっては、非常に魅力的にうつるでしょう。
青梅市と聞くと、「都心から遠いのでは?」と感じるかもしれません。しかし、東京23区内の主要駅へのアクセスを調べてみると、意外な利便性が見えてきます。例えば、青梅線の主要駅である「青梅駅」から「新宿駅」までは、平日の朝ならば乗り換えなしで「1時間14分」で到着する見込みです。
もちろん、時間帯や乗り換えによって変動はありますが、片道1時間強であれば、都内在住のビジネスパーソンにとっては珍しくない通勤時間と言えるかもしれません。
遠距離通勤のメリット・デメリットとは
実際に現在23区内、例えば大田区に住んでいて、家賃を毎月7万円支払っている人が青梅市に引っ越した場合、家計的にどのような変化があるのでしょうか。
もし、大田区で家賃月額7万円を支払っている人が青梅市の平均家賃である3万2000円の物件に引っ越した場合、月々約3万8000円の家賃削減になります。年間で計算すると、約45万6000円もの大きな節約になる計算です。
一方で、通勤時間と交通費はどう変わるでしょうか。大田区の中央部に位置する「蒲田駅」から「新宿駅」までは、約30分程度と、青梅駅と比べて圧倒的に短い時間で都心にアクセスできます。
これに対して、青梅駅から新宿駅までは前述の通り1時間以上かかるため、片道で約40~50分、往復で毎日1時間半程度は通勤時間が増えることになります。
交通費についても見ていきましょう。蒲田駅から新宿駅までのJRの定期代(6ヶ月)は4万6290円、1ヶ月あたり約8000円程度です。一方、青梅駅から新宿駅までの定期代は、6ヶ月で12万40円、1ヶ月あたり約2万円となり、その差は1ヶ月あたり約1万2000円です。
家賃の削減額に比べれば交通費の増加は小さく、年間では差し引き約31万2000万円の家計改善になる見込みです。
以上の通り、単純に家賃と交通費だけを考えれば、都心部から青梅市への引っ越しは大きな金銭的メリットがありますが、毎日の通勤時間と交通費、それに伴う身体的・精神的な負担が増加することも理解しておく必要があります。
都心部から郊外に引っ越すメリット・デメリットをまとめると、以下の図表のようになるでしょう。
図表1
筆者作成
これらを総合的に考え、全体としてメリットが大きいと判断するのであれば、郊外への引っ越しをためらうべきではありません。周囲の友人や専門家のアドバイスも聞き、しっかり計画したうえで判断をしましょう。
まとめ
東京郊外の青梅市ではワンルームマンションの賃貸料が安く、月の家賃が3万円台の物件も多くあります。青梅市から都心へ通勤する必要がある場合は、通勤時間が毎日片道1時間15分程度かかりますが、都心に住む場合と比べると家賃の節約幅が大きく、交通費の上昇を考えても「年間30万円以上」の家計改善が見込めます。
ただし、節約のために郊外への引っ越しを考える場合は、家賃の安さだけに目を奪われず、通勤時間の長時間化やそれにともなう体力消耗などのデメリットも考え、総合的に判断しましょう。
出典
SUUMO関東版
執筆者 : 山田圭佑
FP2級・AFP、国家資格キャリアコンサルタント

