親の「タンス預金500万円」を防犯のために銀行に預けたいです。「贈与税逃れ」や「脱税」を疑われるでしょうか?

配信日: 2025.07.31
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親の「タンス預金500万円」を防犯のために銀行に預けたいです。「贈与税逃れ」や「脱税」を疑われるでしょうか?
まとまった金額のタンス預金を、防犯の観点から銀行に預けることは、大切な資産を守るための賢明な判断といえるでしょう。しかし、まとまった現金を銀行に預けると「贈与税」や「脱税」を疑われないか、心配する声も少なくありません。
 
今回は、500万円という高額な現金を預け入れる場合、税務署や銀行からどのような対応を受けるのか、また適切な手続きや注意点についてまとめました。
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タンス預金とそのリスク

一般的にタンス預金とは、銀行などの金融機関に預けず、自宅の金庫やタンスなどで現金を保管することを指します。
 
いつでもお金を使えるほか、銀行が破綻したときのリスク回避や、口座凍結対策にもなるなどの理由で行われていると考えられますが、以下のようなリスクもともないます。

●災害や火災、盗難、紛失によるリスク
●インフレによる価値の目減り
●運用益が得られない
●相続時の申告漏れや税務調査リスク

最も大きなリスクは、自宅に保管している現金が盗難に遭ったり、災害などで紛失したりするおそれがあることです。大きな地震や火災、水害などが発生した場合、現金が焼失したり、水浸しになったりするかもしれません。
 
また、預金していないことで利息が付かないため、インフレが進むと現金の価値が実質的に目減りしていくリスクもあるでしょう。
 
相続発生時にタンス預金の存在がほかの相続人に知らされなかった場合、遺産分割協議でトラブルになることもあります。税務調査でタンス預金の存在が発覚した場合、相続税の申告漏れとして追徴課税の対象となる可能性もあるので注意が必要です。
 

500万円の預け入れ、税務上の問題は?

500万円のタンス預金を銀行に預け入れる際、贈与税の発生や脱税を疑われるのではないかと心配になる人もいるかもしれません。しかし、資産を銀行に預け入れる行為自体が贈与や脱税とみなされることはないでしょう。
 

贈与税の対象となるケース

贈与税は、個人から個人へ財産が無償で移転した場合に課される税金です。親が自身のタンス預金を、親名義の口座に預け入れるのであれば、財産の所有者が変わるわけではないため、贈与税は発生しません。
 
ただし、親が子(または孫など)の口座に親自身の現金を預け入れる場合は、子や孫への贈与とみなされる可能性が高くなるでしょう。国税庁によると、贈与とみなされた場合1月1日〜12月31日までの1年間で、贈与された金額の合計が基礎控除額(年間110万円)を超える場合に贈与税が課税されます。
 
また、現金を直接手渡しで贈与した場合も、金額が年間110万円を超えれば贈与税の対象となります。
 

脱税を疑われる可能性

「脱税」とは、故意に税金をごまかして少なく収めたり、支払わずに逃れたりする行為を指します。例えば、所得を意図的に申告しない、架空の経費を計上するなどが該当します。
 
一方、タンス預金そのものは違法ではなく、誰でも自宅に現金を保管することはできます。また、親が自身の現金を自身の名義の銀行口座に預ける行為も、合法的な資産管理の一環であり、これ自体が脱税とみなされることはありません。
 
ただし、金融機関に多額の現金を預け入れた場合、税務署がその資金の出どころに疑問を持ち、調査対象となることがあります。
 
また、金融機関には「マネーロンダリング(資金洗浄)対策」の一環として、不審な取引を当局に報告する義務がありますが、正当な理由と出どころが説明できれば問題ないでしょう。
 

タンス預金を銀行に預ける際の注意点

500万円を銀行へ持ち込む際、銀行側に現金の出どころを確認されたら、例えば「長年の貯金」など、明確に説明できれば通常は問題なく入金できるでしょう。ただし、説明が曖昧だったり、明確な根拠がなかったりすると、一時的に入金が保留されることもあります。
 
多額の現金の入金は「贈与や相続で得た現金ではないか」と疑われるきっかけになります。
 
贈与税や相続税の課税対象とみなされないためには、入金の際に「自分でためたお金である」と証明できる資料や説明が必要です。
 

500万円のタンス預金を預け入れする際は、正当な理由と資金の出どころを明らかにする必要がある

タンス預金を銀行に預け入れることは、防犯上のリスクを解消し、将来の資産管理を円滑にする選択といえます。正当な理由と出どころを説明できれば、贈与税や脱税を疑われるのではないか、と過度に不安になる必要はないでしょう。
 
タンス預金が長年の貯金である場合は、過去の収入や生活費の記録、家計簿などを証拠書類として用意しておくと安心です。
 
不明な点や不安があれば、金融機関の窓口や専門家に相談しながら進めるのもよいでしょう。
 

出典

国税庁 No.4402 贈与税がかかる場合
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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