物価が食卓に与える影響を表す「カレーライス物価指数」が「過去10年」で「最高値」に!? 指数を最も押し上げた食材はなに?
「カレーライス物価指数」は、物価上昇が日常の食卓に与える影響を示す指数で、株式会社帝国データバンクによると、2024年度は133.6を記録し、前年度より18.4%上昇しました。1食あたりの平均費用は365円に達し、2015年度以降で最高値を更新しています。
本記事では、カレーライス物価指数の概要と価格上昇の要因となった食材のほか、食費の負担を軽減するための工夫もご紹介します。
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カレーライス物価指数とは
カレーライス物価指数とは、家庭でカレーライスを作る際の材料費や光熱費などの価格を基に、1食当たりのトータルコストを示す値のことです。
この指標は、物価高が家庭の食卓に与える影響を可視化するために、企業信用調査会社の株式会社帝国データバンクが独自に作成・公表をしています。
日常的に親しまれている料理の費用を基準としているからこそ、多くの人が実感しやすい物価の「ものさし」といえるでしょう。
指数を算出する基準
カレーライス物価指数の基準は、市販のカレールー半箱を使用して6食分を調理する状況を想定しており、総菜ではなく家庭での調理を前提とした費用です。なお、カレーライスに入れる原材料だけでなく、調理にかかる水道光熱費なども考慮されています。
各月のカレーライスにかかる費用を基に、2020年の平均価格を「100」として算出します。具体的な計算式は、以下の通りです。
カレーライス物価指数=(当月の指数-前年同月の指数)÷前年同月の指数×100
なお材料の価格は、総務省が発表する「小売物価統計調査」の全国平均値を参照しています。
2024年度の指数は過去10年で最高値に
2024年度のカレーライス物価指数は、過去10年間で最も高い数値となりました。カレーライス1食あたりの平均費用は365円で、前年の309円から56円の増加となり、この価格を基に算出した2024年度平均のカレーライス物価指数は133.6で、前年度より18.4%上昇しています。
この結果は、物価の上昇が家庭の食卓に与える影響の大きさを示しており、日々の暮らしにおける家計への負担増がうかがえます。
指数を押し上げた食材
2024年度のカレーライス物価指数を押し上げたおもな食材は、主食であるお米や、野菜、肉などのカレーの基本食材です。ここでは、特に影響の大きかった食材について確認します。
最も値上がり幅が最大だったのは「お米」
カレーライス物価指数の上昇において、最も値上がり幅が最大だったのは「お米」でした。ごはん1食分の価格は131円と、前年の90円から41円も上昇しています。2024年夏以降に深刻化したお米の供給不足により、価格が跳ね上がったことが大きな要因と考えられます。
最も高いのは「ジャガイモ」や「肉」などのカレー具材
カレーに欠かせない具材類も、物価指数の押し上げに大きく影響しているといえるでしょう。とくにニンジンやジャガイモ、タマネギなどの野菜が猛暑による生育不良の影響を受けて、1年を通して価格が高騰しました。
さらに「輸入牛肉」も円安の影響で高値が続き、カレー具材全体の平均コストは206円(前年度比+16円)と、輸入牛肉に関しては過去10年で初めて200円を超えました。こうした要因が、カレー1食あたりのコスト上昇につながっています。
また「カレールー」も、食用油やルー本体の価格高騰の影響を受け、25円(同+1円)に値上がりしています。
食費の負担を減らすコツ
物価の上昇が続く中、食費の負担を少しでも軽くするには、日々の買い物や食材の使い方に工夫を凝らすことが重要です。
例えば特売日を活用したり、根菜類など日持ちする食材をまとめ買いして冷凍保存したりすれば、購入単価をおさえやすくなります。
また、牛肉を鶏むね肉や豚こま肉に置き換えたり、タマネギが高騰している時期にはキャベツで代用したりといった工夫によって、食材の価格高騰にも柔軟に対応できるでしょう。
まとめ
カレーライス物価指数は、物価上昇の影響を私たちの食卓に反映する指標として注目されています。2024年度は、お米の供給不足による価格高騰に加え、野菜や肉などの価格上昇も影響し、過去10年で最も高い指数を記録しました。
こうした状況でも、食材のまとめ買いや代用品の活用などといった日々の工夫によって、食費の負担を軽減できます。身近な指標を通して、家計との向き合い方を見直すきっかけになるでしょう。
出典
株式会社帝国データバンク 「カレーライス物価指数」調査―2024年度・2025年3月分
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
