「同じ仕事なのに、夏休みは正社員だけ…」パートは休むと“減給”ですが、待遇に差があるのは問題ない?「見直しが必要なケース」も解説

配信日: 2025.08.03
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「同じ仕事なのに、夏休みは正社員だけ…」パートは休むと“減給”ですが、待遇に差があるのは問題ない?「見直しが必要なケース」も解説
フルタイムでパート勤務をしている人は、福利厚生の面で正社員との違いに不公平さを感じる場面もあるかもしれません。
 
特に、勤務時間や業務内容がほとんど変わらないのに、待遇に差があるとモヤモヤした気持ちになる人もいるのではないでしょうか。こうした声を受けて、厚生労働省は「同一労働同一賃金」という考え方を掲げています。
 
本記事では、その制度の概要や、パート労働者がどのような待遇を受けられるのかについて、解説します。
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「同一労働同一賃金」とは?

「同一労働同一賃金」とは、同じ企業・団体において、雇用形態の違いにかかわらず、職務内容が同一であるなら賃金も同一であるべきだという考え方です。2020年4月の「改正労働契約法」や「パートタイム・有期雇用労働法」施行により、本格的に導入されました。
 
この考え方の背景には、非正規労働者の増加と、それに伴う正社員との待遇格差への不満があります。特に、仕事内容や責任がほぼ同じにもかかわらず、給与や手当、休暇制度などで差があることが問題視されてきました。
 
例えば、正社員には夏季休暇や年末年始休暇といった「季節休」が有給の特別休暇として設けられている企業がありますが、パートにはこうした休暇がなく、休みづらいと感じるケースも少なくありません。こうした差も「同一労働同一賃金」の考え方の下で見直しが求められています。
 

同一労働同一賃金の根拠となる「パートタイム・有期雇用労働法」とは

前の章で紹介した「同一労働同一賃金」の考え方を、実際にルールとして形にしたのが、2020年4月(中小企業は2021年4月)から施行された「パートタイム・有期雇用労働法」(正式名称は「短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律」)です。
 
この法律の目的は、正社員とパート・契約社員の間に、仕事内容が同じなのに待遇に差があるようなケースを見直すことです。例えば、以下のようなポイントが対象になります。
 

・給与等の待遇の差別的な取り扱いの禁止(第9条)
・賃金の決め方(第10条)
・教育訓練の実施(第11条)
・福利厚生施設の利用(第12条)
・正社員への転換を進める仕組み(第13条)

 
また、パートや有期契約の労働者を雇ったときは、事業主が文書などで速やかに待遇内容を伝えることが義務づけられています。これは、働く人が自分の立場や条件をしっかり理解できるようにするための大切なルールです。
 

「待遇差」に合理的理由がなければ違法

仕事内容や責任の重さ、配置転換の有無などを踏まえ、合理的な理由があれば正社員との待遇差は認められると考えられます。例えば、正社員には全国転勤があるがパートにはない、あるいは責任範囲が明確に異なる場合などは、賃金や手当が異なっていても違法とはされません。
 
ただ、仕事内容や責任、勤務時間などが正社員とほぼ同じ場合、基本給や賞与、福利厚生、休暇制度などに明確な差があると「不合理」と判断される可能性があります。「夏休み」のような季節休暇も同様で、正社員のみに付与されていても、業務内容や雇用形態に照らして合理的な理由があり、それを企業が説明できれば問題にはなりません。
 
しかし、「正社員の夏休みは有給、パートの夏休みは無給」という待遇差は、それだけ見ればわずかな差かもしれませんが、年収や生涯賃金で考えると数十万円から数百万円単位の違いが生じるケースもあるでしょう。事業主が、この待遇差の理由や基準をはっきりと説明できない場合、「不合理な待遇差」と見なされる可能性があります。
 
つまり、「待遇差が許されるかどうか」は、業務の実態と、それに対する企業の説明責任が果たされているかにかかっているのです。
 
なお、「不合理な待遇差」等の違法行為が認められた場合でも、原則として当事者の自主的解決に委ねられます。ただし、都道府県労働局長が当事者から紛争解決の援助を求められた場合は、助言・指導・勧告などの公的権限を行使できる仕組みになっています。
 

まとめ

正社員と同じように働いているのに待遇が違う。そんな疑問を抱いたときは、遠慮せずに会社へ説明を求めてみましょう。「同一労働同一賃金」に基づき、説明を受ける権利は法律で定められています。納得して働くためにも、まずは相談してみることが大切です。
 

出典

厚生労働省 同一労働同一賃金特集ページ
e-Gov法令検索 時短労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律
厚生労働省 パートタイム・有期雇用労働法の概要
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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