「ぜいたくしてもお金が減らない人」がやっていた“節約ではない方法”とは? 年収1000万円モデルでわかった「手取り50万円アップ」の節税テク
そんな生活を送っている知人がいたら、少しモヤモヤするかもしれません。でも実は、こうした人たちがこの生活を送れているのは、稼ぎだけではなく、「合法的に節税している」ことが秘訣(ひけつ)になっているのかもしれません。
節約には限界がある一方、税金の知識を味方につければ、同じ年収でも年間で数十万円レベルの差がつきます。本記事では、年収1000万円モデルをベースに、ふるさと納税・iDeCo・住宅ローン控除といった節税テクを組み合わせた「年間50万円の手取りアップ」の実例と、その仕組みや実践方法まで分かりやすく解説していきます。
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年収1000万円の「手取り」は700万円台?
まず知っておきたいのは、ゆとりがありそうに思える年収1000万円ですが、実際に自由に使える手取り金額は約750万円程度にとどまるということです。理由は、所得税、住民税、厚生年金・健康保険などの税金や社会保険料が年収の25%ほどを占めるためです。
手取りを増やすには、昇給や副業も手段ですが、まず手をつけたいのは「控除の最適化」です。制度を使って課税対象となる金額を下げることで、結果として支払う税額を減らすことができます。このアプローチは、日々の生活費を削る節約よりも効果が大きく、実行するための負荷も少ないのが特徴です。
合法節税だけで「実質45万円」の手取り増も
ここでは、年収1000万円モデルをベースに、一般の会社員でもすぐに取り組める3つの制度を紹介します。制度を使うことで、支出が減ったり税金が戻ったりと、実質的な「手取りの増加」につながります。
[1]ふるさと納税
ふるさと納税は、上限額までは自己負担2000円で返礼品がもらえる制度で、支払った金額から2000円を差し引いた分が住民税から控除されます。年収1000万円の給与所得者で夫婦共働き、子どもが中学生以下なら上限額は約17万円です。
返礼品の還元率は70%や80%のものもあり、お米や肉など実生活で使える返礼品で還元率が70%の場合、17万円分のふるさと納税をすれば、約12万円相当の返礼品がもらえるうえ、節税効果も得られます。実質的に手取りが12万円増えると換算できます。
[2]iDeCo
iDeCoは、掛金が全額所得控除となり、将来の年金も作れる制度です。会社員で企業年金なしの場合、掛金は最大で月2万3000円まで拠出することができます。
掛金を上限まで拠出した場合、年間27万6000円の掛金で、所得税と住民税が合計約8万2000円軽減されます(課税所得700万円・税率30%で想定)。今の手取りを増やしながら、将来の備えにもなる一石二鳥の仕組みです。
[3]住宅ローン控除
住宅ローンを利用してマイホームを購入した人が対象の減税制度です。借入残高に応じて、毎年一定額が税金から控除されます。2024年に制度が変更され、新築住宅等に関しては、一定の基準を満たした購入者が優遇される制度になっています(図表1)。
図表1
国土交通省 住宅ローン減税
例えば、条件を満たした新築住宅で、借入残高が4500万円であれば、初年度は年間で約31万円、13年間で合計約340万円が所得税・住民税から控除されます。
住宅ローンはiDeCoと異なり、実際にかかる税額から控除される制度のため、本記事で想定しているモデルの場合は初年度31万円がそのまま還付されます。確定申告をすれば、翌年の春には還付金が振り込まれるため、家計にとっての影響は大きいでしょう。
これら3つの制度を活用した場合、手取りに換算して年間約50万円のインパクトが見込めます。面倒な節約をせずに、お金の「流れ方」を変えるだけで、家計の改善につながるのが魅力です。
節約より「手取りを増やす」発想を
年収1000万円でも、税金や社会保険料で大きく引かれ、さらに、昨今の物価高の中では、実際の生活感は「そこまで余裕がない」のが現実です。そんな中で、ふるさと納税・iDeCo・住宅ローン控除といった、誰でも使える制度を上手に活用することで、手取りに換算して年間50万円近い節税効果を得られる可能性があります。
節約だけでなく、制度を使いこなす力が、これからの時代の新しい家計術となるでしょう。まずは自分が使える制度を調べて、できることから始めてみてはいかがでしょうか。
出典
国土交通省 住宅ローン減税
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

