退職が決まったので「有給」を買い取ってほしい!「年収460万円」の場合、10日分でいくらになりますか? 買取が“認められる・認められない”ケースはあるのでしょうか?
余った有給休暇は無駄にせず会社に買い取ってもらいたいところですが、実は有給休暇の買い取りは、法律上、原則として認められていません。とは言え、全てのケースで買い取りが不可能というわけではなく、例外的に認められるケースも存在します。
本記事では、40歳・年収460万円というモデルケースをもとに、有給の買い取りは可能なのか、そして可能な場合はいくらになるのか解説します。
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目次
原則として有給休暇の買い取りはNG
有給休暇の目的は労働者の心身の回復であるとされています。そのため、会社が有給を金銭で精算することは原則として禁止されています。
つまり、労働者側から「お金で払ってくれませんか?」と求めたり、会社が「忙しいからお金で済ませよう」としたりすることは、本来の趣旨に反するため許されていません。
例外:退職時には買い取りが認められることも
原則として有給休暇の買い取りは認められませんが、全てのケースで買い取りができないわけではなく、例外として認められるケースもあります。とくに多くの人に該当するのが、退職時に有給が余っている場合です。
退職日が決まっており、それまでに全ての有給を消化できない場合には、未消化分を金銭で精算することが例外的に認められています。これは、退職日を過ぎればその有給休暇は消滅してしまうため、会社側が補償の意味で支払うことが許されているのです。
ただし、これは会社に義務づけられたものではなく、任意での対応です。つまり、会社が認めれば有給の買い取りは可能ですが、認めなければ買い取ってもらえないということになります。
就業規則や人事担当者への確認が必須
有給の買い取りができるかどうかは、会社ごとの就業規則や運用方針によって異なります。
就業規則に「退職時の未消化有給休暇は買い取りに応じる」などと明記されている場合は、比較的スムーズに進むでしょう。また、規則上は明記されていなくても、過去に前例がある場合などは交渉の余地があるかもしれません。
そのため、退職が決まったらできるだけ早めに人事担当者に相談し、有給の扱いについて確認しておくことが重要です。
有給10日分、買い取ってもらえたらいくら?
仮に、退職時に有給が10日分残っており、それを買い取ってもらえる場合、どのくらいの金額になるのでしょうか?
有給の買い取り金額に関する法的なルールはありませんので、実際には会社の決まりにのっとって金額は決まります。よくあるのは、平均賃金をもとに算出する方法です。例として年収460万円の場合で見ていきましょう。
まず、年収460万円を月収に換算すると約38万3333円です。(460万円÷12ヶ月)
続いて、月の勤務日数を20日とすると、1日あたりの賃金は次のとおりです。
・38万3333円÷20日=1万9167円
したがって、有給10日分の買い取り額の目安は約19万1670円となります。(1万9167円×10日)
まずは有給休暇の消化を考えよう
退職によって消化しきれない有給休暇については、会社によって買い取ってもらえる場合もあれば、不可能な場合もあります。どちらにせよ、まずは有給をしっかりと使い切ることを考えたいところです。
引き継ぎの状況や就業ルールにもよりますが、退職日を調整したり、残務整理を早めに進めたりすれば、全休や半休で有給をしっかり活用できるケースもあるでしょう。
まとめ
有給休暇の買い取りは原則として禁止されていますが、退職時については、例外的に認められるケースがあります。買い取りが可能かどうかは会社によって異なるため、まずは就業規則の確認と人事担当者への相談を行いましょう。
ただ、基本的に有給は買い取ってもらうことより、使い切ることを考えるほうがよいです。退職後に「有給がこんなに余っていたのに、活用できなかった」と後悔しないためにも、早めの準備と確認が大切です。
出典
e-Gov法令検索 労働基準法
厚生労働省 年次有給休暇とはどのような制度ですか。パートタイム労働者でも有給があると聞きましたが、本当ですか。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
