電気代明細をよく見たら「再エネ賦課金」で“年間約2万円”…。これって一体なんですか?
本記事では、再エネ賦課金とはなにか、その金額の決まり方や制度の背景を解説します。
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目次
「再エネ賦課金」ってなに? 電気代に上乗せされる理由
再エネ賦課金(正式名称:再生可能エネルギー発電促進賦課金)とは、再生可能エネルギー(太陽光・風力・バイオマスなど)で発電された電気を、電力会社が高めの価格で買い取る制度(固定価格買取制度=FIT)を支えるための費用です。
この制度では、国が定めた価格で電力会社が再生可能エネルギーによって発電された電力を買い取りますが、そのコストをすべて電力会社が負担するわけではありません。その差額分を、全国の電気利用者が「再エネ賦課金」として電気料金に上乗せして負担しています。
つまり、私たちが毎月支払う電気料金には、「再生可能エネルギーの普及・促進を支えるための費用」が含まれているというわけです。
年間2万円超えも? 負担額の計算方法と実際の影響
再エネ賦課金は、使った電力量(kWh)に応じて請求される従量課金です。1kWhあたりの単価は毎年、経済産業省によって見直され、2025年度(2025年5月~2026年4月)の賦課金単価は3.98円/kWhと設定されています。
たとえば、月に400kWh使う家庭では、1ヶ月あたりの負担額は1592円、年間に換算すると1万9104円になります。
さらに、電力消費が多い家庭や夏冬の冷暖房を多く使う季節などを考慮すると、年間2万円を超えるケースも珍しくありません。
なぜ私たちが払うの? 制度の背景と目的を解説
この制度の背景には、再生可能エネルギーの普及を促すという国の方針があります。
2012年にFIT制度が始まって以来、太陽光発電などの導入が急速に進んでいます。
しかし、再生可能エネルギーは、初期費用が高い・安定供給が難しいといった課題があり、電力会社が採算だけで購入するには不利な側面があります。そこで、国が一定の価格での買い取りを義務付け、その財源をみんなで少しずつ負担するという仕組みが取られているのです。
一方で、「電気代が高くなった」「負担感が大きい」との声も多く、制度の見直しや縮小も議論されています。2022年には「FIP制度」への移行も始まり、今後は市場価格と連動した柔軟な支援策に変わっていく見込みです。
まとめ:仕組みを知ってムダのない節電を意識しよう
「再エネ賦課金」は、電気を使えば誰でも支払っている費用です。その正体は、再生可能エネルギーの普及をみんなで支えるために、分担して支払っている費用でした。
毎月の電気代のなかでは見落とされがちですが、年間で1万円~2万円と決して小さくない金額になります。
この仕組みを理解したうえで、「電気の使用量を見直す」「ムダな電力を減らす」「電力会社や料金プランの見直しを検討する」といった工夫で、家計の負担を減らすことも可能です。
知らないうちに支払っていた「再エネ賦課金」も、意味を理解すれば、納得感を持って節電に取り組めるようになるかもしれません。
出典
経済産業省 再生可能エネルギーのFIT制度・FIP制度における2025年度以降の買取価格等と2025年度の賦課金単価を設定します
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
