定期代が出ているけれど”自転車”で通っている同僚。定期を使っていないのに定期代をもらうのってアリですか?

配信日: 2025.08.06
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定期代が出ているけれど”自転車”で通っている同僚。定期を使っていないのに定期代をもらうのってアリですか?
会社から定期代(通勤手当)が支給されているのに、実際には自転車で通勤している同僚がいる——。そのような状況を目にして、「それって問題ないの?」「不正にならないの?」と疑問に思ったことはある人もいるでしょう。
 
本記事では、法律や就業規則上のルール、モラル的な観点から、このようなケースが「アリ」なのかどうかを解説します。
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自転車通勤でも通勤手当が支給されることはある?

通勤手当とは、会社が従業員の通勤にかかる費用を補助するために支給するお金です。多くの場合、公共交通機関の定期券代が基準になりますが、実は自転車での通勤にも手当を支給する企業は存在します。
 
法律上も、自転車は「交通用具」に分類されており、通勤手当の非課税対象に含まれています。国税庁が定める基準によると、自転車通勤でも片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合は、月額3500円までは非課税で支給できるとされています。
 
つまり、自転車通勤だからといって、必ずしも通勤手当が出ないとはかぎりません。支給するかどうかは、各企業の就業規則や賃金規程でどのように定めているかによって異なります。
 
例えば、「公共交通機関を利用している場合にのみ支給」と明記している企業であれば、自転車通勤は対象外になります。一方で、通勤手段を問わず一定の金額を支給している会社であれば、自転車通勤でも問題なく受け取れる仕組みになっています。
 
このように、通勤手当の支給対象かどうかは通勤手段そのものではなく、会社がどう定めているかによって変わるのです。
 

定期券を買っていないのに定期代をもらうのは不正?

本来、定期券を購入することを前提に支給されている通勤手当を、実際には購入せずに受け取っているとしたら——これは不正受給にあたる可能性があります。
 
例えば、就業規則に「通勤手当は実際に購入した定期券代を支給する」といった記載がある場合、定期を買っていないのに受け取ることはルール違反です。その場合、後から発覚すると、会社から返金を求められたり、就業規則違反として注意・処分を受けたりすることもあります。
 
また、会社によっては、通勤経路を申告し、それに基づいて自動的に定期代を支給するケースがあります。こうした仕組みのなかで、実際には公共交通機関を利用していないのに、申告通りの経路で通っていることになっている場合、それは虚偽申告とみなされかねません。
 
ただし、会社が「通勤手当は一律支給」としている場合や、通勤方法を問わず支給している場合は、定期を買わなくても受け取ることがルール上問題ないケースもあります。つまり、会社の規定に違反していないかどうかがポイントなのです。
 

モラルとしてはどうなの? 同僚の目が気になる理由

たとえ会社の規定上問題がなかったとしても、定期を購入せずに通勤手当を受け取っていることが、モラルの面で疑問をもつ人もいるでしょう。特に、自分が実費で通勤しているのに、他の社員が実際には使っていない定期代をそのまま受け取っていると知ると、不公平感を覚えるのも無理はありません。
 
また、会社によっては、従業員全体の通勤手当の予算をまとめて組んでいる場合もあるため、不正受給が横行すると組織全体の信頼性にも影響します。さらに、「バレなければOK」という考え方がまん延してしまうと、職場全体のモラル低下にもつながりかねません。
 
こうした事態を防ぐために、会社側は領収書の提出や定期券購入の証明を求めるなど、制度面での整備が重要です。このような仕組みがないまま、従業員の良心に頼るだけではトラブルが発生しやすくなります。
 

結局、“アリ”かどうかは会社のルール次第

ここまで見てきたように、定期代を支給されながら自転車通勤していることが問題になるかどうかは、会社の就業規則や通勤手当の支給ルールに従っているかどうかで判断されます。


・会社が「実際に定期券を購入したことを条件」としている場合 → ルール違反
・会社が「通勤経路に応じて一律で定期代を支給」としている場合 → ルール違反ではない
・会社が「自転車通勤は対象外」としているのに申告していない場合 → 虚偽申告の恐れあり

つまり、「使っていないのに受け取るのはおかしい」と感じる人はいるかもしれませんが、実際にはそれが適切かどうかは会社の規定によって判断されます。
 

ルールを確認し、公平で健全な職場環境を

定期代を支給されているのに自転車通勤している人がいると、「ズルい」と感じるかもしれません。しかし、その行為が本当に不正かどうかは、会社の就業規則や通勤手当のルールに沿っているかどうかによって変わります。
 
公平で健全な職場を保つには、会社はルールを明確にし、従業員はその内容を理解したうえで行動することが大切です。お互いの信頼を守るためにも、まずは制度の中身を正しく知ることから始めましょう。
 

出典

国税庁 No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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