職場から毎月「在宅勤務手当4000円」が支給されます。これで1ヶ月のエアコン代は「全額補てん」できますか? 1ヶ月の電気代を試算してみた
しかし、夏場の在宅勤務ではエアコンを長時間使うことになり、電気代が気になるという人も多いでしょう。在宅勤務手当4000円で、1ヶ月分のエアコン代を本当にまかなえているのか、具体的な数値で検証してみましょう。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
定格消費電力から試算するとどうなる?
家庭用のエアコンのカタログを見ると、消費電力が書いてあるはずです。まずは「定格消費電力」に基づいて計算してみます。
ここでは、6畳用エアコン(定格消費電力570ワット)を使用、1日9時間、月20日間稼働させた場合を想定、電気代の単価は全国家庭電気製品公正取引協議会が定める目安単価である、1キロワットアワーあたり31円を用います。計算をすると以下の通りです。
・1時間あたりの電気代=0.57キロワット(570ワット)×1時間×31円=17.7円
・1日(9時間)の電気代=17.7円×9時間=159.3円
・20日あたり(1ヶ月稼働日数)の電気代=159.3円×20日間=3186円
在宅勤務手当が4000円なら、十分元がとれることが分かります。
ただし、定格消費電力とは、あくまでJIS規格の標準条件下での連続運転時の出力です。エアコンは、設定温度に近づくと自動的に出力を下げて省エネ運転を行います。ずっと最大出力で動いているわけではないのです。
したがって、現実にはこの金額よりも電気代が抑えられるケースが多いと考えられます。
期間消費電力量ベースで見るとさらに小さい
次に、「期間消費電力量」をベースに考えてみましょう。前記したエアコンの、期間消費電力量(冷房期間)を確認すると222キロワットアワーとなっています。
これは5月23日から10月4日までの135日間、27℃設定で1日18時間(6時から24時まで)使用した際の合計消費量の目安を示す数字です。電気代の単価を同様に31円とし、1日9時間、20日間使い続けた場合の電気代を計算すると以下の通りとなります。
・冷房期間(18時間×135日間=2430時間)の電気代=222キロワットアワー×31円=6882円
・1時間あたりの電気代=6882円÷2430時間=2.8円
・1日9時間、20日間使ったときの電気代=2.8円×9時間×20日間=504円
JRAIA(一般社団法人日本冷凍空調工業会)は、「運転時間が少なくなっても、その時間帯によっては消費電力は比例して少なくなりません」としているため、必ずしも504円になるわけではありません。むしろこの9時間は、日中の暑い時間帯の運転となるため、この数字よりも電気代は高くなることが予想されます。
それでも4000円の在宅勤務手当で、十分まかなえることは明らかでしょう。
在宅勤務手当で冷房代は十分カバー可能
今回の2通りの試算を通じて、在宅勤務中にエアコンを9時間使用した場合でも、4000円の手当で電気代をまかなえる可能性が高いことが分かりました。
電気代は地域や契約プラン、使用しているエアコンの性能によっても変わるため、気になる場合は実際の電気代の単価とエアコンの仕様を見て試算してみるとよいでしょう。もちろん外気温や設定温度などによっても電気代は変わるので、試算通りに行くわけではないですが、1つの目安となるはずです。
とはいえ、夏場の冷房代を加味しても4000円という金額はある程度現実に即した妥当な支援といえそうです。
出典
公益社団法人全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問Q&A
三菱重工サーマルシステムズ株式会社 よくあるご質問 ルームエアコン「機能・性能」
一般社団法人日本冷凍空調工業会(JRAIA) 期間消費電力量を省エネ性の目安にお選びください
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
