タンス預金「100万円」の価値! 物価が上がると「10年後」にどのくらいに目減りする?

配信日: 2025.08.07
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タンス預金「100万円」の価値! 物価が上がると「10年後」にどのくらいに目減りする?
米、食料品、日用品、ガソリンなど、身の回りであらゆる物の価格が上昇しています。
 
この傾向は、特にコロナ明けの2023年ぐらいから顕著となり、ロシアのウクライナ侵攻も相まって物価上昇=インフレーションの状態が継続しています。
 
本記事ではより身近な話題として、一定の物価上昇がこのまま継続すると、お金の価値にどのような影響が出るのか、確認していきます。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

物価はどのようにして決まる?

基本的に、物価は需要と供給のバランスによって決まります。つまり、物を欲しい人がどれくらいいるのか、市場にどれくらい物があるかということです。
 
例えば、1個100円で買えたレタスが150円に値上がりした場合、これまでどおり100円を持ってレタスを買いに行ったとしても購入できなくなります。この状態は、お金の価値(100円で買える価値)が下がってしまったともいえます。
 
このように、物の値段が上がり、お金の価値が下がりつづける状態を「インフレーション」といいます。逆に、物が安くなり、お金の価値が上がり続ける状態を「デフレーション」といいます。タイトルの「タンス預金100万円」も、インフレーションが続けば、10年後には価値が下がってしまうことが想定されます。
 

物価の変動を示す「消費者物価指数」の推移

日本銀行は、2013年1月に、「デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について」という共同声明において、「日本銀行は、物価安定の目標を消費者物価の前年比上昇率で2%とする」という目標を示しています。
 
図表1 2020年を100とした場合の消費者物価指数

図表1

出典:独立行政法人労働政策研究・研修機構「早わかり グラフでみる長期労働統計 VI 物価、家計 図1 物価」(総務省統計局「消費者物価指数 1947年~2024年 年平均」参照)
 
図表1のグラフの数値に大きな変化が見られるのは、縦拡大図の部分の1990年以降2000年ぐらいまでの推移です。
 
これまでの成長曲線から全体的に横ばい(各年微妙に上下変動)傾向となった、いわゆるデフレーションの30年間を見て取ることができます。第2の大きな変化としては、令和に入り2022年ぐらいからは明らかに上昇傾向(インフレーション)の傾向に転じた点を、顕著に見ることができます。
 

10年間、毎年2%物価が上昇しつづけると仮定すると……

現在の価格が100万円の車を想定してみましょう。物価が毎年2%ずつ上昇しますので、10年後には、価格が「100万円×(1+0.02)10≒122万円」となります。
 
車の購入のためにためていたタンス預金100万円だけでは、残念ながら10年後には車を購入することができません。条件設定には少し無理がありますが、全く同じ(車種、グレード)の車(物)を購入するためのお金の価値が10年間で22万円下落したため、10年後には車を手に入れることができなくなったことになります。
 
また、考え方は同じですが、銀行の定期預金金利1%で100万円を運用した場合であっても、約110万円にしかならず、車の購入には不足が生じます。一つの考え方として、物価上昇率を上回るリターンを得ることができる投資(資産運用)することで10年後にも同じ車(物)を購入することが可能になります。
 

まとめ

一般的には、物価上昇に相まって、賃金上昇率も上昇することとなります。物価とは、経済成長とともに上昇していくことが基本です。それに伴い収入(賃金)も上昇することで、経済活動が活発化され、国全体のさらなる経済成長につながることになります。
 
その一方で、昨今の物価上昇の要因は以前と少し変化してきており、局地的な紛争激化などによる地政学リスクの悪化や、主要国の過度な自国中心主義への偏重なども、大きな要因となっています。
 
このような状況を嘆くだけではなく、常に正しい情報を入手し、「自らの資産は自分で守っていく」という姿勢がより重要となるのかもしれません。
 

出典

内閣府、財務省、日本銀行 デフレ脱却と持続的な経済成長の実現のための政府・日本銀行の政策連携について(共同声明)
独立行政法人労働政策研究・研修機構 早わかり グラフでみる長期労働統計 VI 物価、家計 図1 物価
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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