来年下の子が大学生に上がるので42歳でパートを始めます。貯金は「300万円」ですが、「老後」までに「いくら」ためればよいですか?
この記事では、公的なデータや中立的な情報を基に、貯金300万円から老後に向けてどのように備えるべきか、具体的な金額や方法を交えながら解説します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
現在の貯蓄水準はどう?
まず、現在の貯蓄額300万円が世間一般と比べてどの程度なのかを確認しておきましょう。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)」によると、2人以上世帯の貯蓄平均額は40歳代で889万円、中央値は220万円となっています。
このデータから、貯金額300万円は平均には届かないものの、中央値は上回っているため、必ずしも悲観する状況ではなく、今後の計画や取り組み次第では老後資金を準備していける可能性があります。
老後に必要な資金はどれくらい?
では実際、老後に必要な金額はいくらなのでしょうか。公益財団法人生命保険文化センターによると、夫婦2人が老後を送るうえで必要と考える「最低限の生活費」は月額約23万円、「ゆとりある老後生活」のためには月額約38万円が必要とされています。
この金額を基に老後の支出を試算すると、65歳から90歳までの25年間で必要な生活費の総額は、最低限でも6960万円、ゆとりある生活を望む場合は1億1400万円にのぼります。
今の貯金額と目標額との差はいくら?
もっとも、これらの金額すべてを自力で準備する必要はありません。実際には、一定の年金収入があるため、年金で賄えない不足分を貯蓄で補うことになります。
日本年金機構の「令和6年4月分からの年金額等について」によると、夫婦2人で受給する公的年金の標準額は月およそ23万円です。したがって、最低限の生活費の場合は年金でほぼ賄える一方、ゆとりある生活を希望する場合は毎月約15万円が不足する計算となります。
ゆとりある老後を目指す場合、不足する月15万円を25年間補うには、約4500万円の準備が必要となります。ここから現時点の貯金額300万円を差し引くと、今後65歳までに準備すべき金額は約4200万円です。42歳から65歳までの23年間でこの金額をためるには、年間でおよそ183万円、月額にして約15万円の貯蓄が必要です。
パート収入でどこまで賄える?
ここで重要になってくるのが、42歳から始めるパート勤務の収入の使い方です。
例えば、月に手取り15万円のパート収入が得られ、これをすべて貯蓄に回すことができれば、老後資金として必要な額を賄えることになります。夫の収入を生活費に充て、パート収入はすべて老後資金に充てるという方針でライフプランを設計すれば、貯蓄のスピードは格段に高まるでしょう。
42歳から効率よくためる方法
効率よく貯金を殖やすには、毎月発生する「固定費」の見直しが非常に有効です。例えば、通信費や家賃、光熱費、保険料などは、一度見直すだけでその後も継続的に節約効果が期待できます。不要なサービスを解約したり、より安いプランへ切り替えたりすることも、着実な貯蓄につながります。
また、iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)のつみたて投資枠といった非課税制度を活用することで、税制面のメリットを生かしながら効率的に資産形成を進めることも有効です。iDeCoは今から始めても20年近く運用期間があるため、無理のない範囲での積み立てを検討してみるのもよいでしょう。
今日の行動が、老後の安心をつくる鍵に
42歳からのパート勤務は、家計を支えるだけでなく、将来への備えを始める絶好のタイミングです。大切なのは、現状を冷静に把握し、無理のない計画を立てて実行していくことです。小さな一歩が、大きな安心につながります。今日からできることを少しずつ始めて、豊かで安心できる未来を築いていきましょう。
出典
金融広報中央委員会 知るぽると 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査](令和5年)
公益財団法人生命保険文化センター 2022(令和4)年度 生活保障に関する調査
日本年金機構 令和6年4月分からの年金額等について
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
