フリーランスは圧倒的に不利!? 会社員とこんなに違う社会保障
配信日: 2019.05.16 更新日: 2024.10.10
その1つが「もしものときの保障の手薄さ」です。手厚く守られた会社員とは雲泥の差です。詳しく見てみましょう。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表
自身が過去に「貧困女子」状態でつらい思いをしたことから、お金について猛勉強。銀行・保険・不動産などお金にまつわる業界での勤務を経て、独立。
過去の自分のような、お金や仕事で悩みを抱えつつ毎日がんばる人の良き相談相手となれるよう日々邁進中。むずかしいと思われて避けられがち、でも大切なお金の話を、ゆるくほぐしてお伝えする仕事をしています。平成元年生まれの大阪人。
フリーランスには雇用保険も労災もない
会社員なら、会社を辞めて仕事がなくなったときは雇用保険、仕事が原因でケガや病気になったときは労災(労働者災害補償保険)で、公的な補償が受けられます。
でも、フリーランスは違います。仕事がなかろうが、仕事で事故が起ころうが、すべては自己責任ですから、自力でなんとかするしかありません。
再起不能なほどのダメージを負うと、事業が継続できなくなってしまうので、手元にしっかり現金を残しておく。もしくは、民間や業界団体の保険などを検討するのも一案です。自分で対策しましょう。
健康保険も違う! フリーランスだともらえないお金
会社員なら、「全国健康保険協会(協会けんぽ)」や「○○健康保険組合」などの健康保険に加入しています(どこの健康保険かは保険証に書いてあります)。フリーランスは基本的に「国民健康保険」に加入します。
この3つの健康保険は、医療費が3割負担で済む、高額療養費制度(自己負担が高額になる場合、上限を設けて負担を軽くするしくみ)がある、などは同じです。
ただ、国民健康保険には、ケガや病気で働けない時の保障である「傷病手当金(最長1年6ヶ月まで給与の3分の2程度を支給)」がありません。
今後出産する可能性があるフリーランスの女性の方は、特に注意が必要です。会社員であればもらえる「出産手当金(産休の期間に対し、給与の3分の2程度を支給)」がもらえません。
フリーランスには産前産後休業も育児休業も、もちろん有給休暇もありません。「育児休業給付金(最長で子どもが2歳になるまで、給与の約50~67%)」も、雇用保険に加入している人が対象なので、フリーランスだともらえないのです。
将来もらえる年金も少ないかも
フリーランスの年金は「国民年金」だけですが、会社員なら「厚生年金+国民年金」のダブルになります。フリーランスは老後にもらえる年金が少なくなりやすいうえに、退職金もありません。
稼げるうちにしっかり稼いでおく、「定年がない」というメリットを活かして長く働き続ける、国民年金基金、個人型確定拠出年金(iDeCo)、小規模企業共済など、自分で退職金や年金を用意できるしくみを利用するなどして、老後の保障の少なさをカバーしましょう。
フリーランスは大変! でも……
現在フリーランスで働いている方や、これからフリーランスを目指す方は、自分の守りが手薄になりやすいことを知ったうえで、それを克服する工夫や「足りない分は自力で稼ぐ!」くらいの気合と実力も必要かもしれません。
実際、こういったデメリットのあることがわかっていても、フリーランスになろうとする方は増え続けていますし、フリーランスという働き方に満足している方もたくさんいます。
フリーランスと会社員、どちらにも良い面・悪い面があります。両方しっかり見て自分に合う方を選び、良い面を活かし、悪い面は補って、あなたの理想の暮らしを実現させましょう。
執筆者:馬場愛梨(ばばえり)
ばばえりFP事務所 代表