保育施設で人手不足が深刻化…低賃金や休みづらさが原因? 保育士が「安定収入」を目指す方法はある?
しかし今、保育士が安心して働き続けられる仕組みが少しずつ整備されています。本記事では、保育士の給与や労働環境について解説します。
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なぜ今、保育施設で人手不足が深刻化しているのか?
保育士不足は長年の課題ですが、近年はさらに深刻化しています。こども家庭庁によると、2025年1月時点で保育士の有効求人倍率は3.78倍と高水準です。
これは、1人の求職者に対して3.7件以上の求人がある状態を意味し、他職種と比べても人手不足が際立っています。
背景には、保育の需要増と供給不足のミスマッチがあります。共働き家庭の増加に伴い保育ニーズは高まる一方、保育士資格を持つ人の約半数が現場に就業していないのが現状です。
さらに、就業者の多くも5年未満で離職してしまう傾向があり、経験豊富な人材が定着しにくい環境が問題を加速させています。
保育士が離職・就業をためらう主な理由は低賃金と休みづらさ?
厚生労働省の調査によれば、保育士職への就業を希望しない理由の上位は「賃金が希望と合わない」(47.5%)や「休暇が少ない・休暇がとりにくい」(37.0%)といった職場の労働条件によるものが目立ちます。
賃金面では、厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均給与額は約27万円(残業代を含まない)、年間賞与額などは約74万円で、他の職種と比べて低い傾向にある状況です。
また、シフト制勤務による不規則な休日や、有給休暇の取得率の低さも指摘されています。子どもや保護者対応が中心のため、突発的な業務変更が生じやすく、休暇の計画取得が難しい現場も多いのが現実です。
保育士が収入を上げるための具体的な方法とは?
人手不足を補うため、国や自治体は保育士の待遇改善策を進めています。これらを積極的に活用することが「安定収入」への第一歩となります。
(1)処遇改善等加算の活用
処遇改善等加算では、キャリアアップ研修を受講し、専門リーダー職や副主任保育士に就くと、月額5000円~4万円程度の処遇改善手当が支給されます。資格取得や研修を重ねながら継続的に勤務することで、収入アップが期待できるでしょう。
(2)公立保育所への転職
公務員として採用されることで、年功序列的な昇給、退職金、充実した福利厚生を得られるでしょう。平均年収は民間より高い傾向にあり、安定性を求めるなら有力な選択肢です。
(3)自治体の支援制度の利用
多くの自治体が、保育士の確保に向けて助成を行っています。例えば、東京都では「宿舎借り上げ支援事業」により、一戸あたり月額最大8万2000円の家賃補助を実施しています。大阪市では離職防止策として、勤続年数に応じて10万~20万円の一時金を支給しています。
このほか、企業内保育所やベビーシッター事業など、柔軟な働き方で高収入を得る方法もあります。特に個人事業としてベビーシッターを始めれば、顧客獲得次第では年収1000万円を目指すことも可能かもしれません。
まとめ
保育士の人手不足は、低賃金や休暇の取りにくさといった待遇面の課題が大きな要因です。しかし、国や自治体による処遇改善策や支援制度、公務員採用枠の活用など、安定収入を実現できる手段は増えています。
現場での働き方を見直し、スキルアップや制度活用を戦略的に進めれば、収入の安定と職業継続は十分に可能でしょう。保育士という仕事の社会的意義は大きく、安定した待遇を得ながら長く働ける環境を整えることは、保育士自身だけでなく、子どもや家庭、社会全体にとってもプラスとなるはずです。
出典
こども家庭庁 保育士の有効求人倍率の推移(全国)(1ページ)
厚生労働省 保育分野における人材不足の現状(4ページ)
e-Stat政府統計の総合窓口 令和6年賃金構造基本統計調査 一般労働者 職種 表番号1 職種(小分類)別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額(産業計)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
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