子どもの教育費に「5000万円」!? AIに聞いた“リアルな家計シミュレーション”とは
今回は、AIを使ってマネープランをシミュレーションしてみましょう。
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
“東京都出身。2008年慶應義塾大学商学部卒業後、三菱UFJメリルリンチPB証券株式会社に入社。
富裕層向け資産運用業務に従事した後、米国ボストンにおいて、ファイナンシャルプランナーとして活動。現在は日本東京において、資産運用・保険・税制等、多様なテーマについて、金融記事の執筆活動を行っています
http://fp.shitanaka.com/”
AIを使った教育マネープランのシミュレーション
早速、AIを使ってマネープランをシミュレーションしてみましょう。AIにはさまざまな種類がありますが、今回はChatGPTを使います。例えば以下のような条件の場合、いくら貯蓄が必要なのかを聞いてみます。
<ChatGPTへの質問>
40歳です。38歳の妻、小学3年生と小学1年生の子どもがいます。子どもたちには、私立の大学まで学費を準備してあげたいと考えています。また、それぞれ月2万円くらいを限度に、習い事や塾にも通わせてあげたいです。子どもたちが自立するまでにかかる教育費を計算してください。
<ChatGPTの回答>
文部科学省や日本政策金融公庫などのデータを元にした、一般的な教育費の目安です。
教育段階公立/私立年間学費(目安)
幼稚園(済)私立約50万円×3年(参考)
小学校私立約160万円×6年
中学校私立約140万円×3年
高校私立約100万円×3年
大学(文系)私立約140万円×4年
合計(1人あたり)
・小学校:160万円×6年=960万円
・中学校:140万円×3年=420万円
・高校:100万円×3年=300万円
・大学:140万円×4年=560万円
◎学費合計:約2240万円/人
習い事・塾代(1人あたり)
・月2万円×12ヶ月×小1~高3(12年間)=288万円
■教育費総額(2人分)
学費合計約2240万円×2人=4480万円
習い事・塾代約288万円×2人=576万円
合計約5056万円
■ポイントと補足
・大学で自宅外通学(仕送りなど)が必要になる場合、+1000万円近くかかる可能性があります。
・教育費は、インフレや進路選択によって変動します。中学・高校・大学が国公立であれば、かなり削減できます。
・習い事の費用を中学以降塾中心に切り替える場合、多少前後します。
AIに質問をすると、このような具体的なマネープランを計算して回答してくれます。子どもが医学部に行く場合、一人暮らしをする場合など、さらに細かい条件を提示すれば、AIが行う計算もより信頼性が高くなるでしょう。
老後のマネープランをAIに聞いてみよう
次に老後のマネープランについても、AIに質問してみましょう。
<ChatGPTへの質問>
50歳です。48歳の妻と二人暮らしをしています。毎月生活費として30万円くらいを使っています。老後の収入源は、厚生年金と会社からの退職金です。退職金は1500万円を10年間かけて年金形式で受け取ります。65歳で仕事を退職する場合、それまでにいくら貯蓄をしておけばよいでしょうか。
<ChatGPTの回答>
老後資金を試算するために、以下のような前提でシミュレーションを行います。
■前提
現在年齢:あなた50歳、奥さま48歳
退職年齢:65歳(ご夫婦とも)
退職後の生活費:月30万円(年間360万円)を90歳まで想定
年金受給開始:65歳(厚生年金)
厚生年金収入:夫婦合計で月20万円(年240万円)と仮定
退職金1500万円を10年で年150万円ずつ受給(65~74歳)
退職後のインフレ考慮・運用利回り0%(保守的に)
■老後の資金収支シミュレーション(65〜90歳)
65~74歳:+30万円(黒字)×10年→+300万円
75~90歳:-120万円×16年→-1920万円
■老後不足額の合計
・65~74歳:退職金により年+30万円→10年間で+300万円
・75~90歳:年▲120万円の赤字→16年間で▲1920万円
・不足総額:▲1920万円-300万円=約▲1620万円
■目標貯蓄額の試算
あなたが65歳時点で備えておくべき貯蓄は、最低でも1620万円
これに加えて、医療・介護費などの予備資金(300~500万円)、旅行・レジャー・住宅修繕費などを考慮すると、2000~2500万円が現実的な貯蓄目標になります。
■補足
・厚生年金がご夫婦で月20万円より少ない場合は、さらに多くの貯蓄が必要になります。
・逆に年金額が月25万円程度なら、退職金と併せて老後資金の赤字はもっと小さくなります。
このようにAIを活用すれば、年金や退職金を考慮して老後に必要な貯蓄額を計算してくれます。年金や退職金に関する知識がなくても、すぐに回答が得られるので大変便利です。
AIと私たちのマネープランのよい関係
今まで、金融機関の営業員や、ファイナンシャルプランナーに、教育資金や年金について質問をしたり、マネープランを相談したりしていた人も多いでしょう。しかし、このようにAIも瞬時に回答することが可能です。
もちろん、AIの計算が本当に正しいかどうかを検証する必要がありますが、どのくらいのお金が必要になるのかなどのざっくりとした見積もりを知るには十分活用できると考えられます。
自身のマネープランを計算してみたいと考えている人は、ぜひAIに質問してみてはいかがでしょうか。
執筆者 : 下中英恵
1級ファイナンシャル・プランニング技能士(資産設計提案業務)、第一種証券外務員、内部管理責任者
