電車が“運転見合わせ”に! タクシーで出社し「8000円」かかりました。この交通費は会社に請求できますか?
そこで本記事では、会社にタクシー代を請求できるのかどうかについて、就業規則や制度の観点から解説します。
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目次
電車が止まってタクシー通勤に…… この費用は自己負担?
通勤中の電車が事故や点検などで運転を見合わせた場合、それは不可抗力であり、個人の責任ではありません。しかし、やむを得ず使ったタクシー代は必ずしも会社が払ってくれるとはかぎりません。
基本的に、交通費の支給は会社ごとの就業規則や通勤手当規程に基づいて行われます。そのため、「公共交通機関が止まった際の代替交通手段の費用を会社が負担する」といった明確なルールがある場合を除き、タクシー代は自己負担となるケースが一般的です。
実際、国の法律では通勤手当の支給は義務ではなく任意とされており、企業が自由に決めてよいとされています。したがって、会社側にタクシー代を支給する義務はありません。
就業規則に明記があれば、請求できる可能性も
とはいえ、すべてのケースでタクシー代が請求できないわけではありません。
会社によっては、就業規則や通勤手当規程に、「公共交通機関の大規模な運休時」「台風や大雪などの自然災害時」「深夜早朝など他の手段がない時間帯」といった、やむを得ない事情でのタクシー利用を認める条文がある場合もあります。
こうした状況において、上限金額付きでタクシー代を支給するといった取り決めを設けている企業もあります。そのような記載がある場合は、8000円のタクシー代のうち一部または全額が支給される可能性があります。
また、これまでに同じような状況でタクシー代が支給された前例があるなら、それは「労使慣行」として認められ、請求が通る可能性もあるでしょう。
請求が通りやすくなるポイントとは?
やむを得ずタクシーを利用した場合、以下のようなポイントを押さえることで、会社への請求が通りやすくなります。
1. 運行停止の事実を記録する
利用していた路線の運転見合わせ情報を、スクリーンショットで保存したり、駅のアナウンスを録音したりしておくと、事情を説明しやすくなります。
2. タクシーの領収書を保管する
日付・金額・乗車区間が明記された領収書は、経費精算において必須です。
3. 事前に総務や上司に相談する
突発的な状況でも、出社前や出社後すぐに連絡し、事情を説明して了承を得ておくと、後の申請がスムーズです。
4. 申請書には詳細な理由を書く
「◯◯線が何時何分から運転見合わせとなり、他の手段も見つからず、やむを得ず利用した」など、背景を具体的に記載しましょう。
これらの準備をしておけば、会社側も判断しやすく、結果的に交通費の一部が返ってくる可能性が高まります。
今後のために備えておきたいこと
今回のようなトラブルは、いつ起きてもおかしくありません。だからこそ、日ごろから以下のような備えをしておくと安心です。
1. 自分の会社の就業規則・通勤手当のルールを確認する
想定外の出費を防ぐには、制度を正しく知っておくことが大切です。
2. 代替経路を事前に調べておく
電車が止まったとき、他の路線やバスで通えるかを知っておくだけで選択肢が広がります。
3. 会社と柔軟に交渉できる関係を築いておく
突然の事態にも対応しやすいよう、日ごろから情報共有を心掛けましょう。
タクシー代の請求はルールと対応次第
電車の運転見合わせでタクシーを使って出社し、高額な出費が発生しても、必ずしも会社に請求できるとはかぎりません。しかし、就業規則に特別な記載がある場合や、過去の実績・状況によっては、一部または全額が支給される可能性もあります。
まずは、自社の就業規則や通勤手当規程を確認することが第一歩です。そして、今後同じような状況が起こったときに備えて、証拠を残す、事前に相談する、といった冷静な対応を心掛けましょう。
自分の負担を最小限に抑えるためにも、会社のルールは知っておきたいものです。いざというときに備えて、今のうちに確認しておくことをおすすめします。
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
