夫が「冷感シーツ」「氷枕」などの“ひんやりグッズ”を使ってエアコン代を節約したいと言います。ひんやりグッズ代の元を取れるくらいの節約になりますか?
一度買えば電気代がかからずに使えるため、「これでエアコン代を浮かせられるのでは?」と期待する人も少なくありません。果たして、本当にグッズ代の元を取れるほどの節約になるのでしょうか。
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エアコン代はどれくらいかかる?
まずはエアコンの電気代を確認してみましょう。
電気代は「1時間あたりの消費電力(kW)×使用時間(時間)×料金単価(円/kWh)」で求められます。
経済産業省資源エネルギー庁「省エネ性能カタログ電子版」によると、シャープ「AY-25PXE1(8畳)」の冷房使用時の消費電力は500Wとされています。料金単価は公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会が定めている目安単価31円/kWhを用いて算出すると、電気代の目安は以下のとおりです。
・1時間あたり:0.5kW×1時間×31円/kWh=15.5円
・1日8時間使用した場合:15.5円×8時間=124円
・1ヶ月(30日)使用した場合:124円×30日=3720円
夏の3ヶ月で合計1万円を超える計算です。家庭の電気代の大きな部分を占めるのも納得ですね。
ひんやりグッズの種類と価格
次に、よく使われるひんやりグッズの価格帯と効果を見てみましょう。
・冷感シーツ:2000~6000円程度
・氷枕やジェルマット:1000~6000円程度
・冷却スプレーや扇風機に取り付ける冷却アイテム:数百円~
これらのグッズは電気代がほとんどかからず、冷感素材や氷の効果により体感的に涼しく感じられます。寝苦しい夜に氷枕や冷感シーツを使えば、エアコンを強めに効かせなくても眠りやすくなる効果が期待できます。
節約効果をシミュレーション
では、これらのグッズが「節約」につながるのかをシミュレーションしてみましょう。
一般的に冷房の設定温度を1℃上げるだけで電気代は約10%削減できるとされています。
たとえば、1日8時間使用して月約4000円かかっている場合、1℃上げれば約400円の節約が見込めます。
仮に3000円の冷感シーツを購入したとしても、2シーズンほどで元が取れる計算になります。さらに複数のグッズを併用したり、エアコンの使用時間が減ったりすることで、1シーズンで元が取れる場合もあるでしょう。
健康・快適面の注意点
ただし注意すべきは、「ひんやりグッズだけでは部屋の気温は下がらない」という点です。真夏の室温が30℃を超えると、いくら冷感シーツや氷枕を使っても、熱中症のリスクは避けられません。特に高齢者や子どもは、体感温度だけでは十分に体を守れないため注意が必要です。
快適さという面でも、室内全体の温度が高ければ熟睡は難しくなります。結果的に睡眠不足となり、健康を損ねてしまっては本末転倒です。
まとめ:上手に併用して節約しよう
結論として、ひんやりグッズだけでエアコンを完全にオフにして「元を取る」ほどの節約をするのは現実的ではありません。しかし、グッズを使って冷房の設定温度を1~2℃上げられれば、数千円規模の節約につながる可能性は十分にあります。
つまり、ひんやりグッズは「エアコンを我慢する代わり」ではなく「エアコンを少しだけ弱める工夫」として使うのが正解です。無理に我慢せず、快適さと健康を守りながら、賢く節約していきましょう。
出典
経済産業省資源エネルギー庁 省エネ性能カタログ電子版
公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会 よくある質問 Q&A
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
