「AIは膨大な電力を使う」と聞いたのですが、“家庭の電気代”に影響するレベルなのでしょうか?
本記事では、AIが使う電力の実態から、私たちの電気代に与える影響、将来的な変化の可能性について解説します。
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目次
AIは本当に電気を大量に使っている?実際の消費量とは
AIが大量の電力を使うという話は事実です。特に、ChatGPTのような「生成AI」は、大規模なサーバー(データセンター)で動いています。このデータセンターの電力消費量は年々増加しています。
国際エネルギー機関によると、データセンターの電力消費量が、2030年までに約9450億kWhまで倍増すると言われています。実際に、AIの裏側では、以下のような想像以上のエネルギーが使われているのです。
・AIモデルの学習(何百万回ものデータ処理)
・サーバーの冷却(特に夏場)
・ユーザーからのリクエストへの応答(リアルタイムで応答するには高性能な計算が必要)
今のところ、家庭の電気代に直接影響はあるの?
現時点で、日本の一般家庭の電気代に直接AIが影響しているとは言えません。AIを使うといっても、スマホやパソコンで利用する分には、電力消費はごくわずかです。
また、AIによる電力消費は主に大規模なデータセンターが対象なので、個人がAIを使うことが原因で電気代が跳ね上がる心配はありません。
しかし、アメリカなどではすでに一部の地域で電気代が上がっている事例もあります。特に、AI向けの巨大データセンターが進出した地域では、電力需要が急増し、電力会社が料金の引き上げを申請するケースが出てきています。
将来的に電気代が上がる可能性は? その背景とは
将来的には、AI関連の電力需要が全体の電気代に影響する可能性は十分あります。
たとえば、日本では半導体工場やAI向けデータセンターの建設が進んでいます。経済産業省の試算によると、2034年には2025年と比べて最大13倍の電力需要が生まれるとされています。
電力需要が急増すれば、それをまかなうための発電所建設や送電設備の増強が必要となり、そのコストが電気料金に反映されることが予想されます。
つまり、家庭でAIを使うことが直接的な原因ではなく、社会全体としてAIが普及することで、電力インフラへの負担が増し、結果的に電気代が上がる可能性があるというわけです。
ただし、電力料金は政府の規制の対象であり、急激な値上げは制御される仕組みも整っています。今後は、大量電力を使う企業への負担を見直す制度も議論されていくでしょう。
今できることと、これから意識すべきポイント
AIは確かに多くの電力を消費していますが、今の段階で、家庭の電気代に大きな影響が出ているわけではありません。しかし、今後AIの利用がますます広がる中で、電力インフラへの負荷は高まることが予想されます。それに備えて、以下のポイントを意識するとよいでしょう。
・AIが使われているサービスの背景を知る(便利さの裏にあるコストを理解する)
・節電意識を持つことで、家計への影響を最小限にする
・政府や電力会社の発表をチェックして、変化に備える
今後の社会では、便利さと持続可能性のバランスを取る姿勢がますます重要になります。私たち一人ひとりが、情報を知り、選択する力を持つことが、生活の質を守るカギになるのです。
出典
国際エネルギー機関 Energy and AI(一般社団法人日本原子力産業協会)
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
