老後資金として貯めた「2000万円」を銀行に預けています。万が一銀行が倒産した場合、“全額”守られるのでしょうか?
今回は、ペイオフ制度の仕組みや2000万円がどう扱われるのかを解説し、安全に資産を守るための工夫についてご紹介します。
ファイナンシャルプランナー
FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。
編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。
FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。
このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。
私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。
目次
銀行が倒産したら預金はどうなる? ペイオフ制度の仕組み
万が一、銀行が経営破綻した場合、私たちの預金は「預金保険制度(ペイオフ制度)」によって守られます。ペイオフとは、銀行が倒産したときに預金者を保護する仕組みのことです。日本では「預金保険機構」という公的機関が運営しており、全国の銀行や信用金庫、信用組合などが加入しています。
ただし、すべての預金が無条件で全額守られるわけではありません。制度上は以下のように分けられています。
・決済用預金(当座預金・利息の付かない普通預金など) → 「全額」保護される
・一般預金(利息の付く普通預金・定期預金など) → 「合算して元本1000万円までとその利息」が保護対象
つまり、普段使っている利息の付く普通預金や定期預金は、1つの金融機関ごとに1000万円までしか保護されません。
2000万円の預金は“全額保護”される? されない?
では、老後資金として2000万円を銀行に預けている場合、どうなるのでしょうか。
仮に1つの銀行に2000万円すべてを預けていたとすると、ペイオフ制度で守られるのは1000万円までとその利息です。残りの1000万円は、銀行の財産整理状況に応じて一部しか戻ってこない可能性があります。つまり、2000万円すべてが保証されるわけではありません。
一方で、次のような工夫次第では全額守ることも可能です。
・2000万円を「利息の付かない普通預金(決済用預金)」に預ける
・複数の銀行に分散して預け、1つの銀行あたり1000万円以下にする
したがって、2000万円を1つの銀行にまとめるのではなく、複数の銀行に分けるか、全額保護される決済用預金を活用することで、より安心して資金を守ることができます。
預金を安全に守るためにできる工夫とは?
老後資金のように大切なお金を守るには、制度を理解したうえで工夫することが重要です。
まずは、複数の銀行に分けて預けること。例えば2000万円を2つの銀行に1000万円ずつ分ければ、いずれの銀行が倒産してもペイオフの範囲内で全額保護されます。
また、必要に応じて決済用預金の利用も検討できます。利息が付かない代わりに全額保護されるため、「当面使う予定のない大きな資金を安全に置いておきたい」という場合に向いています。
さらに、老後資金の一部は預金以外の資産で持つことも選択肢です。例えば国債や投資信託などを組み合わせることで、銀行倒産リスク以外にもインフレリスクに備えられます。ただし、投資商品には元本割れリスクもあるため、慎重に検討しましょう。
まとめ:2000万円を守るには分散と制度の理解が大切
老後資金として銀行に預けた2000万円は、万が一銀行が倒産しても「必ず全額が守られる」わけではありません。一般的な普通預金や定期預金では、1つの金融機関ごとに1000万円とその利息までが保証されるのがルールです。
安心して資産を守るためには、複数の銀行に分けることや決済用預金の活用がポイントとなります。老後資金は生活の安心そのもの。制度を正しく理解し、賢く分散して管理することが、万が一に備える最も確実な方法といえるでしょう。
出典
預金保険機構 預金保険制度の概要
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
