現職を退職しますが、“有休”をすべて消化できません…。退職時の残った有休はどうなる? 買い取ってもらえないの?

配信日: 2025.08.27
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現職を退職しますが、“有休”をすべて消化できません…。退職時の残った有休はどうなる? 買い取ってもらえないの?
退職を控えたとき、有給休暇がすべて消化できずに残ってしまうことがあります。そのような場合、「この分は買い取ってもらえないの?」「そのまま消えてしまうの?」という不安を抱く人も多いでしょう。
 
実は、退職時の有給休暇は法律でしっかりと権利が守られており、原則としてすべて取得できます。一方で、買い取りには制限があり、必ずしも現金化できるわけではありません。本記事では、退職時に残った有給休暇の扱いと、買い取りの可否について解説します。
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退職時の有給休暇は原則すべて取得できる

労働基準法により、有給休暇(年次有給休暇)は労働者の権利として付与されます。
 
会社は業務に支障がある場合、有給休暇の取得時期を変更できる「時季変更権」を持っていますが、退職日が決まっている場合はこれを行使できません。つまり、退職時には原則として残っている有給休暇をすべて取得できるのです。
 
ただし、注意点もあります。有給休給の取得の申し出は、退職日から逆算して行う必要があります。引き継ぎや業務整理に影響が出ないよう、できるだけ早めに有給取得の申請することが望ましいでしょう。
 

残った有休の「買い取り」は原則できない

有給休暇は労働基準法で労働者の権利として保障されており、本来「取得して休む」ことが目的です。したがって、在職中に有給休暇を買い取りすることは原則禁止されています。これは、労働者の健康や生活のための制度であり、現金化して労働を続けることは想定されていません。そのため、退職日までに有給休暇をすべて消化するのが基本です。
 
ただし、例外的に「退職により有給休暇を取得できなくなる場合」に限り、会社の任意で買い取りが認められることがあります。この場合は法律上の義務ではなく、あくまで会社側が応じるかどうかによります。
 

退職時に残った有給休暇が家計に与える影響

退職時に有給休暇を消化できるかどうかは、家計にも大きな影響を与えます。
 
例えば、月給30万円・所定労働日数20日の場合、1日あたりの日給は1万5000円です。仮に10日分の有給休暇が残っていれば取得して休む、つまりは消化することで約15万円の収入を得られる計算になります。
 
特に、退職後は収入が一時的に途絶えるケースが多いです。そのため、有給休暇の計画的な取得が生活資金の余裕にも影響してきます。
 
このように、有給休暇は単なる休みではなく、退職後の家計を支える「実質的なお金」として有効活用することが重要です。
 

有休消化をスムーズに行うためのポイント

退職時に有給休暇を有効活用するには、計画的な取得が不可欠です。以下のポイントを押さえておくと、スムーズな消化が可能になります。
 

・退職の意思表示と同時に有給休暇の消化の計画を伝える
・引き継ぎスケジュールを早めに確定し、業務整理を円滑に行う

 
まずは退職日から逆算して取得日を決め、早めに上司や人事に相談しましょう。引き継ぎ作業は、有給休暇消化前に終えられるよう調整することが望ましいです。
 

有休が消化できないときの対応策

有給休暇の消化を申し出ても、業務の都合や人手不足を理由に会社が認めない場合があります。しかし、退職日が決まっている場合は時季変更権が使えないため、原則として会社側に拒否権はありません。それでも消化を拒否された場合は、以下の方法を検討します。
 

・書面に申請内容(申請日、取得予定日、残日数など)を記載して会社に提出する
・労働基準監督署や労働相談窓口へ相談する
・退職日を延ばす交渉を行い、有給休暇の消化の期間を確保する

 
有給休暇取得の申請日、取得予定日、残日数を書面に記載し、会社に提出します。口頭だけでは証拠が残らないため、後の交渉が難しくなることを避けるためです。
 
有給休暇の取得を拒否された証拠を労働基準監督署等の窓口へ提示すれば、会社に是正勧告が行われる場合があります。業務の引き継ぎのために取得が難しい場合、退職日を延ばして有給休暇を消化する方法もあるので検討しましょう。
 

退職時の有休は早めの計画で確実に消化を

退職時の有給休暇は、原則としてすべて取得できます。買い取りは例外的に認められるケースもありますが、法律上の義務ではなく会社の任意対応に依存します。
 
残日数を無駄にしないためには、退職の意思表示と同時に有給休暇の消化の計画を立て、早めに申請・調整することが重要です。退職前の準備をしっかり行い、スムーズな有給休暇の消化を目指しましょう
 

出典

デジタル庁 e-GOV 法令検索 労働基準法(第39条 第5項)
厚生労働省 全国労働基準監督署の所在案内
厚生労働省 総合労働相談コーナー
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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