【比較】「家賃6万円+プロパンガス」「家賃7万円+都市ガス」実際どっちがお得なの?“ガス代込み”で支出を試算
本記事では、東京都で「家賃6万円+プロパンガス」と「家賃7万円+都市ガス」という2つのケースを比較し、実際にどちらが得なのかをガスの使用量と価格データをもとに試算します。物件選びで損をしないために、ガス代の差や入居前に確認すべきポイントを見ていきましょう。
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
プロパンと都市ガス、家賃込みでどちらが安くなる?
プロパンガスの相場は、一般社団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センターが偶数月の価格を公表しています。2025年4月の東京都の相場は以下の通りです。
・5立方メートル:5138円
・10立方メートル:8338円
・20立方メートル:1万4685円
※基本料金1903円を含む
都市ガスの代金は、以下の計算で求めます。
・都市ガス(東京ガス 一般契約料金 2025年7月検針分)
・20立法メートルまでの場合:759円(基本料金)+1立方メートルあたり176.13円
・20立法メートル~80立法メートル:1056円(基本料金)+1立方メートルあたり161.28円
なお、プロパンガスは都市ガスの2.23倍のエネルギーを持つため、プロパンガス10立方メートルは、都市ガス22.3立方メートルに相当します。都市ガスを22.3立方メートル使ったときの料金は4652円です。
同じ熱量を持つプロパンガス10立方メートルの料金8338円との差額は3686円となります。つまり、プロパンガス換算で月のガス使用量が10立方メートルの家庭の場合は、「家賃が1万円安いプロパンガスの物件」を選んだほうがよいのです。
ちなみに、かなり前のデータですが「プロパンガス消費実態調査(平成18年度)」によると、関東地区の2人以下世帯の平均プロパンガス使用量は月8.3立方メートルとなっています。一人暮らしや子なしの夫婦の家庭はこれに当てはまる可能性が高いでしょう。
プロパンガス換算で20立方メートルの都市ガス(44.6立方メートル)を使った場合の料金は8249円となります。これでも差額は6436円で、まだまだ「家賃が1万円安いプロパンガスの物件」のほうがお得に住めるのです。
前記の調査で、関東地方の5人家族の平均ガス使用量は月間14.4立方メートルとなっています。プロパンガスの料金が平均的なものであれば、使用量が極端に多くない限り、1万円以上の差がつくことはなさそうです。
プロパンガス価格はばらつきが大きいので確認が重要
プロパンガスの料金は、物件ごとに大きく異なることには注意が必要です。先ほどの試算はあくまでも平均的な価格を前提としたものであり、実際には都市ガスとの差がさらに広がるケースもあります。
というのも、プロパンガスは業者が自由に料金を設定できるため、相場より極端に高く設定されている可能性もあるのです。例えば、プロパンガス10立方メートルで1万5000円という高い料金が設定されていた場合、同じ熱量の都市ガス(22.3立方メートル)の料金4652円との差額は1万円を超えてしまいます。
「家賃に1万円差があるからプロパンガスでも大丈夫」とは限りません。料金が相場から大きく逸脱していないか事前に確認することが大切です。
家賃+ガス代で総合的に判断を
プロパンガスは、相場通りの料金設定であれば都市ガスとの支出差は月に数千円程度に収まります。家賃が1万円安い物件であれば、むしろお得になるケースがほとんどでしょう。
しかし、プロパンガスは地域や物件ごとに料金のばらつきが大きいのが実情です。設定が相場から外れていると、月1万円以上ガス代が高くなる可能性もあります。
物件を選ぶ際は、家賃だけでなくガス代を含めたトータルコストで判断し、プロパンガスの料金体系は必ず事前に確認することが大切です。
出典
一般社財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター 最新価格情報
一般社財団法人日本エネルギー経済研究所 石油情報センター 平成18年度プロパンガス消費実態調査 報告書
東京ガス ガス料金表(家庭用/業務用・工業用 共通)
執筆者 : 浜崎遥翔
2級ファイナンシャル・プランニング技能士
