トイレットペーパーのまとめ買いは“損”になる!? コスパを見極めるポイントとは?

配信日: 2025.09.02
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トイレットペーパーのまとめ買いは“損”になる!? コスパを見極めるポイントとは?
トイレットペーパーのような日用品を「お買い得」と感じて買いだめすることは、多くの人が経験することです。しかし、それが必ずしも節約につながるとはかぎりません。この問題について考えてみましょう。
新納康介

MS&ADインターリスク総研 主席研究員、東北大学大学院国際文化研究科招聘講師、英Cardiff Business School MBA

専門領域:食料安全保障、マイクロファイナンス、超高齢社会

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トイレットペーパーはつい買いだめしてしまうアイテム

トイレットペーパーは、「家に十分あるのについ買いだめしてしまうもの」の代表格です。オイルショックや東日本大震災、コロナ禍では、品薄が不安をあおり、パニック購買の対象にもなりました。このため、不要な買いだめを控えるよう注意喚起されることもある商品です。
 
近年では、トイレットペーパーの価格が上昇傾向にあります。その背景には、パルプや古紙といった原材料費の高騰、製造時のエネルギーコストや物流費、人件費の上昇が挙げられます。このような状況下では、安く賢く購入したいと思うのも当然でしょう。しかし、価格だけを見て大量に購入することにはリスクも潜んでいます。
 

トイレットペーパーのコスパを見極めるために

トイレットペーパーには、厚めの紙が1枚のもの(シングル)と、薄めの紙が2枚のもの(ダブル)の2種類があり、価格に差があります。株式会社ユアサ(兵庫県西宮市)が運営する「湯浅紙店」によると、2024年5月時点での1m当たりの小売価格は以下の通りでした。
 

・シングル:約0.9円/m
・ダブル:約1.7円/m

 
その他にもトイレットペーパーには、芯の有無、凹凸加工、香りなど、さまざまな仕様があります。価格が安い商品でも、自分の好みに合わないものや、トイレットペーパーホルダーに合わないものであれば、結局ずっと使わずに置いておくことになりかねません。
 
そこで、自分好みのトイレットペーパーの仕様を把握し、ネットで最近の価格を確認しておけば、売り場でその商品が本当にお買い得かどうかを正しく判断できます。
 

大量の買いだめの「落とし穴」

まとめ買いをすれば、単価を下げられるのは事実です。
 
例えば、業務用のトイレットペーパーを一度に100ロール購入することで、1ロール当たりのコストを大幅に抑えることは可能です。
 
しかし、この行動には落とし穴があります。それは、「在庫が多いと消費量が増える」という心理的な影響です。
 
一般社団法人日本トイレ協会によれば、1回のトイレ(大便)でトイレットペーパーを使用するときの長さの平均は女性が3.52m、男性が3.15mです。
 
しかし、この値には大きな個人差があり、最短で20cm、最長で12mとなっています。これを前述のダブルの1m当たり1.7円で換算すると、1回当たりのコストは0.34円/回から20.4円/回までの開きがあります。
 
トイレットペーパーの在庫が潤沢にあるのでたくさん使いすぎてしまうと、結果的に節約どころか無駄遣いになってしまいます。「安いからたくさん買う」と「たくさんあるからたくさん使う」という組み合わせは、節約を目指すうえで最も避けたいパターンなのです。
 

計画的な購入による節約

トイレットペーパーの大量の買いだめは、購入時にまとまった出費が必要になるだけでなく、大量の在庫が収納スペースを圧迫します。さらに、保管中に湿気や劣化の影響を受けるリスクもあります。
 
日々の生活において本当に必要な消費量を把握し、適切な量を計画的に購入することが、無駄のない消費行動につながります。必要以上の在庫を持たないことで、金銭的な負担を軽減し、スペースも有効活用できます。
 

トイレットペーパーの節約の実践方法

節約のためには、以下のような工夫を取り入れるとよいでしょう:
 
1. 通常の消費量を把握する
家族構成や使用頻度に応じて1ヶ月に必要な量を計算し、それに見合った購入を心掛けましょう。
 
2. セール品を冷静に評価する
セール価格と表示されていても、冷静に判断することが重要です。1m当たりの小売価格を参考に、お買い得かどうかを判断しましょう。
 
3. 保管スペースを考慮する
まとめ買いは一時的にお得に感じますが、収納場所が限られている場合はかえって負担になります。スペースを無理に確保する必要がない範囲で、購入を心掛けましょう。
 
4. 消費ペースを意識する
在庫が多いと使いすぎる傾向があるため、適度な使用量を心掛けることも節約につながります。
 

まとめ

トイレットペーパーをはじめとする日用品を安く買うことは、一見お得に感じますが、計画性が伴わなければ節約にはつながりません。通常時の消費量を見極め、必要な分だけを賢く購入することが、結果的に最も無駄の少ない方法です。
 
「安いからたくさん買う」ではなく、「必要な分を必要なときに買う」を心掛けることで、節約と快適な生活の両立が実現できるでしょう。
 

出典

株式会社ユアサ 湯浅紙店 トイレットペーパーの相場とは? 値上げの要因も開設
一般社団法人日本トイレ協会 トイレットペーパー、緊急時に備えて必要な分を必要な分だけ、計画的に備蓄しましょう
 
執筆者 : 新納康介
MS&ADインターリスク総研 主席研究員、東北大学大学院国際文化研究科招聘講師、英Cardiff Business School MBA

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