親の「500円玉貯金」が“子どもの進学”で損!? 善意の「現金貯金」が奨学金の対象外に…知っておきたい“落とし穴”とは
ところがこの“善意の現金貯金”が、思わぬ形で子どもの進学支援制度を遠ざけてしまうことがあるのを知っているでしょうか。
日本学生支援機構(JASSO)の給付型奨学金や授業料減免制度では、収入だけでなく世帯の資産も判定対象になります。預金や現金として積み立てたお金も「資産」としてカウントされ、基準を超えると支援制度が利用できなくなってしまうのです。
今回は、気づかないと損してしまう“現金貯金の落とし穴”と、教育資金をより賢く準備するための考え方を紹介します。
FP2級、日商簿記2級、建設業経理士1級、衛生管理者
500円玉貯金が足かせに? 思わぬ“合算方式”の落とし穴
奨学金や授業料減免を利用できるかどうかは、世帯の収入だけでなく資産額でも判断されます。2025年度からは「世帯資産が5000万円未満」という基準が設けられており、銀行口座の預金はもちろん、家庭で積み立てた現金も原則として合算されます。
「500円玉を5000万円分も貯めるなんて現実的にあるの?」と思う人もいるでしょう。実際、500円玉貯金だけでそこまで到達することは考えにくいです。ただし油断は禁物です。退職金や親からの相続といった大きな入金が、日々積み立ててきた現金や500円玉貯金と重なれば、資産額が基準を超えてしまうこともあるのです。
子どもの将来を守るには工夫が必要
備えは“扱い方”を意識しましょう。教育費のために貯めたお金であっても、奨学金や授業料減免の判定では必ず「世帯の資産」として合算されます。
「教育資金用の口座にしておけば大丈夫なんじゃないの?」と思う人も多いですが、それは誤解です。制度は“用途”ではなく“世帯が持つ総資産額”を基準にするため、名目では区別されません。
先述のように、退職金や親の相続などで一時的に大きな資産が加わったとき、長年コツコツと積み立ててきた500円玉貯金が「とどめ」となり、基準を超えることもあり得ます。
こうした事態を避けるには、「制度上どう扱われるか」を理解して資産を管理することが欠かせません。退職金や相続を受け取った直後に奨学金を申し込むと不利になる可能性もあるため、申し込みのタイミングを見極めたり、将来の出費に合わせて計画的に動いたりといった工夫が必要です。
まとめ
500円玉貯金や現金での積み立ては多くの家庭で行われている方法ですが、「制度利用の壁」となるリスクがあります。特に奨学金や授業料減免制度を考えている家庭では、現金よりも資産の対象とならない学資保険など「制度上有利な資産の形」で備えることが大切です。
教育資金は“貯める場所”によって結果が大きく変わります。せっかくの努力をムダにしないように、“どう備えるか”まで気を配っておきたいですね。
出典
独立行政法人 日本学生支援機構 進学後(在学採用)の給付奨学金の家計基準
執筆者 : 里見るい
FP2級、日商簿記2級、建設業経理士1級、衛生管理者
