大学生でバイト代“9万円”から「所得税」が引かれました。友達に「8万5000円までなら引かれない」と聞いたのですが、損をしてしまったのでしょうか?

配信日: 2025.09.11
この記事は約 3 分で読めます。
大学生でバイト代“9万円”から「所得税」が引かれました。友達に「8万5000円までなら引かれない」と聞いたのですが、損をしてしまったのでしょうか?
大学生としてアルバイトをしている皆さん、「今月バイト代からいきなり所得税が引かれた…」「友達には『月8万5000円までは非課税』って聞いたのに、どうして? 」などと戸惑った経験はありませんか?
 
本記事では、なぜ月9万円未満でも税金が引かれたのか、その背景や年収ベースでの非課税制度、源泉徴収された税金を取り戻す方法までを整理して解説します。
FINANCIAL FIELD編集部

ファイナンシャルプランナー

FinancialField編集部は、金融、経済に関する記事を、日々の暮らしにどのような影響を与えるかという視点で、お金の知識がない方でも理解できるようわかりやすく発信しています。

編集部のメンバーは、ファイナンシャルプランナーの資格取得者を中心に「お金や暮らし」に関する書籍・雑誌の編集経験者で構成され、企画立案から記事掲載まですべての工程に関わることで、読者目線のコンテンツを追求しています。

FinancialFieldの特徴は、ファイナンシャルプランナー、弁護士、税理士、宅地建物取引士、相続診断士、住宅ローンアドバイザー、DCプランナー、公認会計士、社会保険労務士、行政書士、投資アナリスト、キャリアコンサルタントなど150名以上の有資格者を執筆者・監修者として迎え、むずかしく感じられる年金や税金、相続、保険、ローンなどの話をわかりやすく発信している点です。

このように編集経験豊富なメンバーと金融や経済に精通した執筆者・監修者による執筆体制を築くことで、内容のわかりやすさはもちろんのこと、読み応えのあるコンテンツと確かな情報発信を実現しています。

私たちは、快適でより良い生活のアイデアを提供するお金のコンシェルジュを目指します。

なぜ月9万円でも所得税が引かれたのか?

株式会社マイナビが行った「大学生のアルバイト調査(2023年)」によると、大学生のアルバイト手取り収入は1ヶ月あたり平均6.10万円でした。大学生に限らず、アルバイトをすると税金が引かれることがあります。
 
アルバイトの給料から所得税が引かれるのは、「源泉徴収(げんせんちょうしゅう)」という仕組みがあるからです。これは、国があらかじめ税金を天引きしておく制度です。
 
実は、アルバイト先に「給与所得者の扶養控除等申告書」を出していない場合、月収がたとえ9万円以下でも「乙欄(おつらん)」という高めの税率で税金が引かれてしまいます。この乙欄では、月8万8000円を超えると約3%の所得税が自動的に引かれることになります。
 
つまり、税金が引かれたのはバイト先の間違いではなく、申告書を出していなかったことが原因である可能性が高いのです。
 

「8万5000円までは非課税」というのは本当?

「8万5000円までは所得税がかからない」という話は、完全に間違いというわけではありませんが、条件つきの話です。正しくは、次のようになります。
 
・アルバイト先に「扶養控除等申告書」を提出している場合
 
→ 月の給料が8万8000円以下なら所得税は引かれない
 
・申告書を出していない場合(=乙欄)
 
→ 給料が少なくても、原則として所得税が引かれる
 
つまり、友達が言っていた「8万5000円まで非課税」というのは、申告書を提出している前提での話なのです。もしまだ出していない場合は、すぐにアルバイト先に提出することをおすすめします。毎年提出が必要な書類なので、年度が変わったら更新も忘れずに行ってください。
 

年収103万円以下なら、税金は戻る可能性もある

実は、月収ではなく年収で見たときに、あるラインを下回っていれば、所得税はかからないことになっています。そのラインとは103万円です。この金額の内訳は以下の通りです。
 
・給与所得控除
 
→55万円
 
・基礎控除
 
→48万円
 
合計で103万円までは非課税になります。
 
つまり、年間のバイト代が103万円以下なら、たとえ途中の月で税金が引かれていても、確定申告をすることで払いすぎた税金が戻ってくる「還付」を受けられるのです。
 
確定申告の方法もそこまで難しくありません。源泉徴収票や身分証、銀行口座などを用意して、国税庁の「確定申告書作成コーナー」から手続きすればOKです。
 

損していないか?今後どうすればいいか

今回のケースのように、「月9万円稼いだら所得税が引かれたけど、本当に損したの? 」という疑問を持つ大学生は多くいます。でも、実際には以下のような点を押さえれば、必要以上に損することはありません。

・税金が引かれたのは「乙欄」になっていた可能性が高い
 
・「8万5000円まで非課税」というのは、申告書を出している場合に限られる
 
・年間収入が103万円以下なら、確定申告で税金が戻る可能性がある

つまり、税金が一時的に引かれても、後で返ってくることが多いのです。まずは、扶養控除申告書を出しているか確認して、出していない場合はすぐに提出しましょう。そして、年末に源泉徴収票をもらったら、確定申告をして払いすぎた税金を取り戻すことを忘れないようにしてくださいね。
 
税金の仕組みを少し知るだけで、安心してバイトができるようになりますよ。
 

出典

株式会社マイナビ 大学生のアルバイト調査(2023年)
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

  • line
  • hatebu
【PR】 SP_LAND_02
FF_お金にまつわる悩み・疑問