都内「年収560万円」の会社員だけど、満員電車がストレス…転職して「年収350万円・地方移住」でゆっくり過ごしたいけど、収入を犠牲にするのは“損”ですか?
しかし、物価や家賃の高さ、仕事の忙しさを考えると、「いっそ年収が下がっても地方に移住してゆっくり暮らしたい」と感じる人も少なくありません。
本記事では、都内で年収560万円を得る場合と、地方で年収350万円となる場合の生活の違いを比較し、収入が減っても移住するメリットとデメリットについて整理します。
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
都内で「年収560万円」の会社員が感じるモヤモヤとは
都内で年収560万円を得ていると、生活は安定しているように見えます。国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査では、日本人の給与所得者の平均給与は460万円とされています。このため、年収560万円は全国平均を上回る水準と言えます。
しかし、都内で暮らす場合、住居費・交通費・娯楽費・外食費などの生活コストが高く、実際に手元に残る可処分所得は地方に比べて少なくなるケースもあります。
さらに、長時間労働や満員電車での通勤ストレスが積み重なり、収入はあっても心の余裕がないと感じることも多いでしょう。その結果、収入よりも落ち着いた生活や余暇の時間を優先したいと考える人が増えるのも自然な流れです。
都内で年収560万円と地方で年収350万円はどう変わる?
では、年収560万円から350万円へと下がった場合、生活はどのように変化するのでしょうか。まず、年収560万円は日本人の平均460万円を約100万円上回る水準です。一方、350万円となると、25~29歳の平均394万円をやや下回り、都内で生活するには厳しくなるでしょう。
ただし、地方では家賃や食費などの生活コストが都内よりも低いため、支出の総額は小さくなることが考えられます。特に、地域ごとの差が顕著に表れるのが住居費です。
全国賃貸管理ビジネス協会の「全国家賃動向」によると、東京都で2部屋の物件の平均家賃は9万513円ですが、地方では5万円を下回るところもあります。例えば、鳥取県では4万8923円と、東京都に比べて4万円以上安くなります。年換算すると50万円近い差が生じる計算です。
つまり、額面の収入差だけでなく支出の減少分を考慮すると、実際の生活水準は必ずしも大きく変わらない可能性があります。
収入が下がっても地方移住するメリットとデメリット
地方移住には、収入減を補って余りあるメリットがあります。まず、生活費が下がることで家計に余裕が生まれやすくなります。
次に、自然環境の豊かさや広い住居空間、近隣住民との人間関係といった、都内では得にくい生活の質の向上があります。また、満員電車での通勤から解放されることは、精神的な安定にも大きく寄与するでしょう。
一方で、デメリットも存在します。年収が下がることで老後資金等の積み立て余力は減り、将来の安心感に不安が残るかもしれません。また、都市部ほど求人が多くないため、キャリアアップや転職の機会は限られます。
さらに、医療・教育・交通などの社会インフラ面で不便さを感じる場面もあるかと思います。地方移住は心のゆとりを得られる一方で、経済的余力やキャリアの安定を犠牲にするリスクを伴う選択と言えます。
まとめ
都内で年収560万円を得ていても、生活コストの高さや仕事の忙しさから「もっとストレスなく暮らしたい」と感じるのは自然なことです。年収350万円に下がると聞くと不安に思うかもしれませんが、地方では支出を抑えられるため、実際の生活水準は必ずしも大幅に変わるわけではありません。
大切なのは、収入を優先するのか、暮らしや心のゆとりを優先するのかという価値観の選択です。移住を検討する際は、老後資金やキャリア形成の見通しを冷静に考えながら、自分や家族にとって最適なライフスタイルを描くことが求められます。
出典
国税庁 令和5年分民間給与実態統計調査結果
全国賃貸管理ビジネス協会 全国家賃動向
執筆者 : 金田サトシ
FP2級、WEBライター検定3級、情報処理安全確保支援士、ネットワークスペシャリスト
