派遣会社の倒産が相次いでいる!? いっそのこと「正社員」になった方がいい? 毎月の給料はどのくらい変わるか解説
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目次
派遣会社倒産59件、前年同期比で55%増! 2025年1~8月の衝撃的数字
株式会社帝国データバンクの「労働者派遣業の倒産動向(2025年1-8月)によれば、2025年1~8月までに「労働者派遣業」で発生した倒産は59件ということです。
前年同期の38件と比べ、約55.3%増という激増ぶりが見て取れます。このペースが続くと、通年では90件前後の倒産が見込まれており、過去の記録(2013年1~8月の61件など)に迫る水準となるでしょう。
さらに、規模別の特徴としては、小規模な倒産(負債5000万円未満)が32件(全体の約54.2%)と半数以上を占めています。負債1億円以上の倒産も16件(約27.1%)あり、中堅規模の派遣会社でも経営が厳しくなっている状況であるといえるでしょう。
地域的にも関東(東京都含む)が23件で最多、近畿が13件、九州6件、東北4件と、地方でも倒産増加の兆しがあります。特に近畿はこれまでの最多件数と同数となっており、地方企業のリスクも高まってきています。
正社員と派遣(非正社員)の平均年収差は約328万円! 最新の国税庁データから読み解く
では、仮に派遣(非正社員)から正社員になると、給料面でどれほどの違いがあるのでしょうか。国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」のデータを参照すると、非常に具体的な差が見えてきます。
まず、「1年を通じて勤務した給与所得者」の平均給与は460万円です。そのうち正社員(正職員)の平均年収は530万円、正社員以外(非正職員など)の平均年収は202万円でした。つまり、正社員と非正社員では約328万円の差があるということが分かります。
月収ベースで換算すると、例えば年収202万円は月あたり約16万8000円、年収530万円は月あたり約44万2000円です。月収の差は約27~28万円という試算になります。この差は生活の質や将来設計に大きく影響します。
「倒産増+人手不足」のこの状況で派遣で働き続けるリスクとは?
派遣会社の倒産が増えてきている背景には、ただ競合が激しいというだけでなく、人手不足・人件費高騰・派遣人材の確保難など構造的な要因があります。「派遣人材の確保が困難」である事業者が多く、市場ニーズに応えきれない業者の淘汰が進んでいる状況のようです。
また、同社が行った「人手不足に対する企業の動向調査(2025年7月)では、「正社員の人手不足を感じている企業」の割合が50.8%に達しており、非正社員の不足感も28.7%で高止まりです。
派遣・紹介業界では、正社員・非正社員双方で人材確保が難しい状況が続いており、派遣での契約・待遇が不安定なだけでなく、働き続ける環境そのものが揺らいでいるという見通しもあるようです。
まとめ
派遣から正社員になることで収入・安定性の面で大きなメリットが得られます。とはいえ、業界・企業・職種によっては正社員登用が少ない、景況感が厳しい、勤務地や労働条件の制約などがあります。
また、正社員採用されるには準備と戦略が必要です。派遣会社の倒産が急増する今、「正社員になるかどうか」をあらためて考えてみるいい機会かもしれません。
出典
株式会社帝国データバンク
労働者派遣表の倒産動向(2025年1-8月)
人手不足に対する企業の動向調査(2025年7月)
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
