「国産にこだわる妻」と「節約したい夫」。野菜を外国産にすると、実際どれくらい出費が変わるのでしょうか?
家計を考えると、つい安い外国産に目がいくこともあるでしょう。家族の間でも「節約を優先したい」と「国産を選びたい」で意見が分かれることも少なくありません。
国産と外国産ではどれくらい価格差があり、年間の出費はどの程度変わるのでしょうか。
本記事では、データやシミュレーションをもとに、両者のメリットとデメリットを整理します。
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目次
国産野菜と外国産野菜、どれくらい価格差がある?
農林水産省「主要野菜の生産供給動向と国産切替えの推進に向けた課題」によると、野菜の価格は季節や天候で大きく変動しますが、同じ品目でも国産と外国産ではおおむね1.5~2.5倍程度の差がつくことがあります。たとえば、令和4年度の価格差は、にんじんだと約2.5倍、ねぎは約2倍とされています。
実際、スーパーの店頭でも「国産は198円、外国産は128円」といった差を目にしたことがある人は多いでしょう。このように、野菜によっては数十円から100円以上の差がつくことがあり、積み重なれば家計に影響を与えます。
なぜ国産は高く、外国産は安いのか
国産野菜が高めになる背景には、日本の農業事情があります。土地が狭く農家は小規模経営が多いため、大量生産によるコスト削減が難しいのです。また、人件費が相対的に高いことも価格に反映されます。さらに台風や猛暑など気候の影響を受けやすく、供給量が減ると価格が一気に上がることもあります。
一方、外国産野菜はアメリカや中国など広大な土地で大規模に栽培されるため、生産効率が高く、人件費も安価です。加えて、船やコンテナによる大量輸送で物流コストを下げられるため、結果的に店頭価格も低くなります。つまり「国産=鮮度・品質」「外国産=安さ・安定供給」という構図が成り立ちやすいのです。
家庭の食費でどれくらい差が出るかシミュレーション
ここで、4人家族の野菜購入額を仮定してシミュレーションしてみましょう。
・週に野菜を7品目購入(キャベツ・にんじん・たまねぎ・トマト・きゅうり・ほうれん草・なす)
・国産の場合:1週間分の買い物で2500円
・外国産を中心に選んだ場合:価格は国産の約7割(=1750円)
・1ヶ月(4週)あたり:2500円 × 4回 = 1万円
・1年間:12万円
・1ヶ月(4週)あたり:1750円 × 4回 = 7000円
・1年間:8万4000円
・外国産を選ぶと、年間で3万6000円の節約になる計算です。
もちろん、これは単純化した例で、実際には「国産と輸入を組み合わせる」「季節ごとに価格が変わる」ため差額は前後しますが、数万円単位で家計に影響する可能性があることがわかります。
値段以外で考えたい、国産と外国産の違い
野菜選びは値段だけでなく、鮮度や品質、栽培基準、環境への配慮なども関わります。
・鮮度・味
国産は輸送距離が短いため、採れたてに近い状態で店頭に並びます。食感や甘みで差を感じる人もいます。
・安全性
輸入品も日本の基準に沿って検査されており、安全性は確保されています。一方で、農薬の使用基準が国ごとに異なることから、国産を選ぶ方が安心と感じる人もいます。
・環境への配慮
輸入品は長距離輸送によるCO2排出が伴います。地産地消を意識する人にとっては国産を選ぶ理由になります。
・旬との関係
国産は季節によって価格が上下しますが、輸入品は安定して供給されることが多いので、食卓に並べやすいメリットもあります。
まとめ:家族で選び方の基準を共有しよう
野菜を外国産に切り替えると、年間で数万円の節約になる可能性があります。一方で、国産野菜の鮮度や品質、国内基準に沿った栽培環境といった価値は、お金だけでは測れない部分があります。
大切なのは、「どの場面で国産を選びたいか」「どの野菜は外国産でもよいか」を家族で話し合い、優先順位を決めることです。たとえば、子どもがよく食べる葉物野菜は国産、保存のきくたまねぎやにんじんは外国産、といった組み合わせも可能です。
国産と外国産のどちらが絶対によいということではなく、価格と品質のバランスをどう取るかが大切です。家族の考え方を共有しながら、納得できる買い方を選ぶことが、家計にも気持ちにも無理のない方法といえるでしょう。
出典
農林水産省農産局園芸作物課 主要野菜の生産供給動向と国産切替えの推進に向けた課題等
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
