「働く時間を増やしたい」と思っていますが、社会保険料の負担が不安です。私の周りは扶養内で働く人が多いのですが、扶養内で働く方がお得なのでしょうか?
本記事では、扶養内・扶養外それぞれのメリットとデメリットを整理し、最新の制度改正も含めて、「あなたにとって得な働き方はどちらか」を考えるための材料を提供します。
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目次
扶養とは何か? 社会保険・扶養の基本の仕組み
まず「扶養」の制度が何を意味するかを見ておきましょう。
被扶養者とは、配偶者・子ども・親などが「扶養対象」とされ、扶養する人(通常は配偶者、あるいは親など)が所属する健康保険組合や協会けんぽ等の社会保険で、その扶養対象者として登録されることで、自分で健康保険料・国民年金保険料を負担しなくて済む制度です。
被扶養者になるためには、収入や勤務時間の条件などが決まっており、これらを超えると扶養から外れて自分で社会保険料・年金保険料などを支払う必要が出てきます。
また、「社会保険」とは主に次のものを指します。
●健康保険(傷病・医療給付)
●厚生年金(年金・将来の老後給付)
●雇用保険などの労働保険関連(休業補償など)
扶養内だと、これらのうち“被扶養者分の保険料”“国民年金・国民健康保険”などの負担が減る、あるいは免除されるものがあります。
扶養内で働くメリットと扶養を外れるときの負担の変化
「扶養内で働くかどうか」は、収入の金額だけでなく、“手取り”や“将来の保障”にも関わってくる重要なポイントです。ここでは、扶養内で働くメリットと、扶養を外れた場合の負担の違いを整理してみましょう。
【扶養内で働くメリット】
・社会保険料を払わなくて済む
健康保険や年金の保険料を自分で支払う必要がなく、その分手取りが高くなります。
・税金面での優遇がある
配偶者控除や配偶者特別控除などを受けられることで、世帯全体の税負担が軽くなります。
・勤務時間や責任が比較的軽い
パートタイムや短時間勤務のままでいられるため、家事や育児との両立がしやすい点も魅力です。
【扶養を外れるときの主な負担】
・社会保険料の自己負担が発生
厚生年金や健康保険に加入すると、保険料が給与から差し引かれるようになります。月1〜2万円程度かかる場合もあります。
・税金の負担が増える
扶養を外れることで、配偶者控除などが使えなくなり、所得税・住民税が増える可能性があります。
・手取り額が減るケースがある
一時的には「働く時間を増やしたのに、手取りが減った」と感じることも。とくに、年収が扶養の“壁”を少しだけ超える場合に起きやすいです。
負担が増えることは確かですが、次のような“得られるもの”もあります。
・将来の年金額が増える
厚生年金に加入すると、将来もらえる年金額が上乗せされます。これは長期的に見れば大きなメリットです。
・傷病手当金や出産手当金などの制度が使える
社会保険に加入していると、ケガや病気、出産などで働けないときの給付が受けられる場合があります。
・キャリアアップや収入増が期待できる
扶養内に縛られず働くことで、パートからフルタイム勤務へ、さらには正社員登用やスキルアップの機会も広がります。
揺らぎの“壁”:扶養の収入・勤務条件と制度改正のポイント
扶養内で働けるかどうかは、「収入」や「勤務時間」によって決まります。ただし、最近の制度改正でその基準が少しずつ変わってきているため、注意が必要です。
・103万円の壁
所得税の配偶者控除が使える上限。これを超えると、控除が減り、配偶者の税負担が増える可能性があります。
・106万円の壁
従業員51人以上の企業で、週20時間以上などの条件を満たすと社会保険に加入が必要になります。
・130万円の壁
配偶者の健康保険の扶養を外れ、自分で保険料を払う必要が出てくる基準です。
現在、2022年からの改正で、社会保険の適用対象が拡大しています。以前は大企業に限られていた条件が、中小企業でも適用されるケースが増えました。
つまり、「これまでは扶養内だった人」でも、条件次第で社会保険に加入しなければならないケースが増えているのです。
扶養内と扶養外、どちらが自分に合っている?
扶養内で働くことは、現在の手取りを最も高く保つための合理的な選択肢です。ただし、それは「扶養の壁(年収や勤務時間)を超えない限り」「将来の年金額や保障がある程度少なくても良い」という前提が必要です。
もしあなたが「働く時間を増やしたい」「収入を増やしたい」「保障・年金を将来的にしっかり確保したい」と考えているのであれば、扶養から外れることを含めて、どこからどれだけ負担が増えるのかを明確にして、収入の増加分がその負担の増加を上回るかどうかを見極めるのが肝心です。
出典
全国健康保険協会 被扶養者とは?
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
