貯金が500万円を突破! 一つの銀行口座に全額預けているけれど、これって最善策ですか?
本記事では、預金保険制度の仕組みにも触れながら、“1口座集中”のリスクと分散のメリット・注意点について解説します。
CFP(R)認定者
大学を卒業後、保険営業に従事したのち渡米。MBAを修得後、外資系金融機関にて企業分析・運用に従事。出産・介護を機に現職。3人の子育てから教育費の捻出・方法・留学まで助言経験豊富。老後問題では、成年後見人・介護施設選び・相続発生時の手続きについてもアドバイス経験多数。現在は、FP業務と教育機関での講師業を行う。2017年6月より2018年5月まで日本FP協会広報スタッフ
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銀行が破綻したら?!
銀行が万一破綻した場合に備えて、日本では「預金保険制度」がありますので、一定額までの預金は保護されます。
保護対象となるのは、普通預金・定期預金・貯蓄預金など、保護限度額は1金融機関あたり、一人につき元本1000万円+利息までとなっています。ただし、無利息・即時払い戻し可能な決済用預金は全額保護されます。
ここで、聞きなれない「貯蓄預金」という言葉が出てきたので軽く触れておきます。貯蓄預金とは、普通預金よりも金利が高く設定されることがある預金口座で、主に「貯金目的」で使われるタイプの預金です。出し入れは自由ですが、公共料金の引き落としや給与の受け取りなどの決済機能としては利用できません。
数字を入れて預金保険制度についてまとめますと、例えば、一つの銀行に1500万円を預けていた場合、保護されるのは1000万円+利息までで、残りの500万円は保護対象外になるということです。
1口座に集中させるのはリスク?
本章では、一つの銀行口座に預金を集中させたことによるリスクについて、詳しくみていきましょう。
銀行の破綻リスクは低いとはいえ、ゼロではありません。過去には、地方銀行や信用金庫の破綻事例もあります。先に述べたとおり、預金保険制度の上限である元本1000万円プラス利息を超える部分は保護されないというのが、真っ先に浮かぶリスクといえるでしょう。
そのほか、システム障害が発生した場合、システムメンテナンスなどでATM停止時に資金の引き出しができなくなるというのもリスクです。また、ある金融機関では提供されているけれど、自分が利用している金融機関では提供されていない場合もあるなど、金利やサービスの選択肢が限定されるというのもデメリットとなります。
分散のメリットと注意点
これらを考えると、ある程度の水準にまで残高が積み上がっていくと、複数の金融機関に分散して預けることは賢明だといえます。何より、預金保険制度の保護枠を最大限に活用できます。
例えば、A銀行には生活費用として300万円、B銀行では将来の備えとして200万円、定期預金や金利重視の資産形成用としてC銀行といったように目的別に口座を分けておくと、管理もしやすくなります。特に、ネット銀行を活用すれば手数料を抑えつつ、金利の高い商品を選ぶことができるでしょう。
一方で注意点として、口座数が増えるとパスワードの管理が煩雑になることがあげられます。アプリを活用するなど、自分にとって継続して利用しやすい工夫が必要になります。
まとめ
仮に貯金が500万円を超えた場合、一つの銀行口座に全額預けるのは必ずしも最善策ではありません。預金保険制度では1金融機関あたり1000万円までしか保護されないため、資産を複数の銀行に分散することでリスクを軽減できます。
金融教育支援を行う自治体もあるため、地域の制度も活用しながら、安心・効率的な資産管理を心がけましょう。資産が増えた今こそ、預け方を見直すいい機会だといえるでしょう。
出典
預金保険制度 預金保険制度の基礎知識
金融庁 預金保険制度
執筆者 : 柴沼直美
CFP(R)認定者
