実家から「合併で消えた銀行」の通帳が出てきました。「残高100万円」は諦めるしかないですか? 払い戻しは受けられるでしょうか?
「このお金はもう引き出せないのではないか?」と不安になるかもしれませんが、結論から言えば、銀行の合併や統廃合によって預金が消えることはありません。ただし、残高を払い戻すには、本人確認や相続手続き、休眠預金の確認などいくつかの手続きが必要です。
本記事では、古い通帳を見つけたときに確認すべきことや、具体的な払い戻し方法、注意点について解説します
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合併で消えた銀行でも預金は守られている
銀行は、これまでに数多くの合併や再編を行ってきました。例えば都市銀行では、第一勧業銀行・富士銀行・日本興業銀行が合併してみずほ銀行になったケースや、東京三菱銀行とUFJ銀行が合併して現在の三菱UFJ銀行になったケースがありますが、合併前の銀行への預金は、新しい銀行が承継しました。
地方銀行や信用金庫が合併・再編した際も同様に、金融機関の名称が変わっただけで、預金はそのまま承継されています。
預金は法律で保護されている
会社法に基づき、合併に伴い消滅する銀行の権利義務はすべて新銀行が承継します。そのため、旧銀行の通帳でも預金は消滅しておらず、払い戻しや解約が可能です。さらに、万一銀行が破綻した場合も「預金保険制度」により、元本1000万円とその利息までは保護されます。
休眠預金になっていても請求できる
10年以上動きのない口座は「休眠預金」として扱われ、社会的事業に活用される仕組みとなっています。しかし、これは「10年以上経つと預金が返ってこない」という意味ではありません。預金者や相続人が金融機関で所定の手続きをすれば問題なく払い戻されます。
払い戻しを受けるための基本手続き
古い通帳を見つけた場合、まずは「その銀行がどこに承継されているか」を調べてみましょう。
多くの銀行は公式サイトで合併・統合の経緯を公表しており、問い合わせ窓口も設けています。例えば、三菱UFJ銀行などは合併の歴史を公開し、旧通帳を持っている人向けに手続きの案内を行っているので、確認してみてください。
必要書類
実際に払い戻しを受ける際には、以下のような書類が必要です。
・古い通帳やキャッシュカード
・届出印(変更されている場合は改印手続きが必要)
・本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカード、パスポートなど)
銀行窓口では、本人確認をしたうえで解約や払い戻しの手続きを進めます。もし届出印が分からない場合には改印手続きが必要となり、追加の証明資料を求められることがあるため、事前の確認がおすすめです。
口座名義人が亡くなっている場合
口座名義人がすでに亡くなっている場合には、相続手続きが必要です。その場合、戸籍謄本、遺産分割協議書、相続人全員の印鑑証明などが求められます。
なお、相続人が複数いる場合は全員の同意が原則必要で、代表相続人が単独で払い戻すことはできないので、注意してください。100万円程度の残高であっても、相続人全員に確認をとり、正式な遺産分割協議書を作成しなければならないこともあるため、早めの対応が安心です。
手続きで困ったときの相談先
古い通帳を解約・払い戻ししようとすると、思いがけず手続きが複雑になることがあります。名義人が亡くなっていて相続人が複数いる場合や、印鑑・本人確認書類が見つからない場合には、以下の相談先を活用すると安心です。
承継先の銀行窓口へ相談
古い通帳を見つけたときは、まずは承継先の金融機関に相談しましょう。
公式サイトには「合併の歴史」「旧通帳の取り扱い」などが掲載されていることが多く、問い合わせ窓口も設けられていることが一般的です。窓口に通帳や本人確認書類を持参すれば、必要書類や流れを具体的に案内してもらえます。
専門家へ相談
相続人間で意見がまとまらない場合や、必要書類の準備が難しい場合には、弁護士やファイナンシャルプランナーなどの専門家へ相談してみてください。
弁護士は相続手続きの代理が可能で、相続争いに発展した案件でも解決に導いてくれます。ファイナンシャルプランナーの場合は、金融実務に詳しい立場から「どの窓口にどう問い合わせればよいか」を整理してアドバイスしてもらえるでしょう。
諦める前に確認を! 古い通帳からでも払い戻し可能
古い通帳が出てきて、銀行が合併や統廃合を経ていたとしても、預金が消えることはありません。銀行は預金者保護の観点から新銀行が権利義務を引き継ぎ、休眠預金でも請求すれば払い戻されます。
手続きの際に必要なのは、通帳・印鑑・本人確認書類、相続の場合は戸籍関係書類などです。届出印の不一致や相続人間の調整などで時間がかかることもありますが、正しい手順を踏めば確実にお金が戻ってきます。
「古い通帳だからもう使えない」と諦める前に、まずは承継先の銀行や金融庁の案内を確認し、早めに手続きしてください。
出典
e-Gov 法令検索 会社法 第二条 二十七
金融庁 預金保険制度
金融庁 長い間、お取引のない預金等はありませんか?
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
