市営住宅に引っ越してきた人の車が“レクサス”です。高級車を所有していても市営住宅に住むことは問題ないのでしょうか?
家賃が抑えられていることから利用しやすい一方で、「入居者は経済的に厳しい人なのでは」という先入観を持たれることもあります。そのため、駐車場に高級車が止まっていると、「制度上問題はないのか」と疑問を感じる人もいるでしょう。
本記事では、市営住宅の入居条件と車の所有に関するルール、入居後に収入や資産が変わった場合の取り扱いについて解説します。
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目次
なぜ「高級車=市営住宅にふさわしくない」と思われるのか?
市営住宅は、住宅に困っている人が安心して暮らせるよう整備された公的住宅です。収入が一定以下であることや、持ち家がないことなど、入居にあたってはいくつかの条件があります。
そのため、レクサスやベンツなどの高級車を所有している姿を見ると、「車にお金をかけられるなら、なぜ市営住宅に?」と感じる人がいても不思議ではありません。特に「税金で運営されている住宅」という側面から、公平性に疑問を持つ人もいるのです。
とはいえ、車を持っているからといって必ずしも裕福とは限りません。ローンを組んでいたり、中古で安く購入していたり、家計の中で車を優先している場合もあります。外から見ただけでは生活状況を判断できないのが現実です。
市営住宅の入居条件と車所有の扱い
市営住宅の入居条件は「公営住宅法」と各自治体の条例によって定められています。主な条件は以下のとおりです。
・世帯の所得が一定基準以下であること
・持ち家がないこと
・反社会的勢力に属していないこと
所得基準は自治体ごとに異なりますが、多くの場合「政令月収15万8000円以下」といった目安が設けられています。この基準を超えると入居はできません。
一方で、車の所有自体を禁止している自治体はほとんどありません。駐車場を利用する場合は申請が必要で、世帯ごとに1台までなどのルールはありますが、「高級車だから不可」とする規定は一般的ではありません。
つまり、レクサスなどの高級車を所有していても、所得基準などの入居条件を満たしていれば、市営住宅に住むこと自体は問題ないのです。
入居後に収入や資産が増えた場合の取り扱い
市営住宅は入居後も定期的に収入申告が必要です。もし収入が基準を超えた場合、自治体は「収入超過」として取り扱い、状況に応じて家賃の引き上げや退去勧告を行うことがあります。
公営住宅法では「5年以上入居していて、収入超過が2年連続で続いた場合、自治体は明け渡しを請求できる」と定められています。ただし、すぐに退去を迫られるわけではなく、猶予期間を設ける場合や、経過を見ながら対応する自治体もあります。
まとめ:高級車を持つこと自体は違法ではないが、条件次第で影響も
市営住宅の駐車場にレクサスなどの高級車が止まっていても、それだけでルール違反になるわけではありません。市営住宅の入居において重視されるのは「所得基準」であり、車種や価格は原則として直接の条件には含まれません。
ただし、入居後に収入が増えて基準を超えた場合や、自治体が資産状況を確認した際に不適格と判断されれば、家賃が引き上げられたり、退去を求められたりする場合があります。
見た目だけで「おかしい」と断じることはできませんが、公営住宅制度の趣旨である「住宅に困っている世帯を支援する」という目的に沿って運用されていることは確かです。利用する側も、ルールを理解して正しく利用することが大切です。
出典
デジタル庁 e-Gov法令検索 公営住宅法
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
