一人暮らし・身寄りなしの58歳です。病気や入院、介護など“万が一”に備えて、いくら貯蓄があれば安心できると思いますか?

配信日: 2025.09.27 更新日: 2025.09.29
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一人暮らし・身寄りなしの58歳です。病気や入院、介護など“万が一”に備えて、いくら貯蓄があれば安心できると思いますか?
現在58歳の方は、昭和42年生まれ前後ですので、いわゆる“バブル世代”に属します。若かりしときにきらびやかな時代に育ち、還暦を前にした今、一人暮らしで身寄りもなく、少し孤独と寂しさを感じているのかもしれません。
 
いくら貯蓄があれば安心とのご質問ですが、人が「安心」を感じる水準は、それぞれが置かれている現状での環境や主観で決まるものであり、いくら貯蓄があればとの標準的な物差しで測ることは困難であると感じます。本記事では、老後資金の在り方について考えてみましょう。
高橋庸夫

ファイナンシャル・プランナー

住宅ローンアドバイザー ,宅地建物取引士, マンション管理士, 防災士
サラリーマン生活24年、その間10回以上の転勤を経験し、全国各所に居住。早期退職後は、新たな知識習得に貪欲に努めるとともに、自らが経験した「サラリーマンの退職、住宅ローン、子育て教育、資産運用」などの実体験をベースとして、個別相談、セミナー講師など精力的に活動。また、マンション管理士として管理組合運営や役員やマンション居住者への支援を実施。妻と長女と犬1匹。

元気であれば働いたほうがよいのでは?

「高年齢者雇用安定法」は、働く意欲がある高年齢者がその能力を十分に発揮できるよう、高年齢者が活躍できる環境の整備を目的としています。
 
現状において、事業主は65歳までの雇用機会を確保する義務の履行に加え、70歳までの就業機会を確保するよう努める必要があります。つまり、65歳までは義務化、70歳までは努力義務として、意欲ある高年齢者に対して雇用機会を提供するための環境整備が必要となっています。
 
将来的な病気や介護などを少々悲観的に心配する気持ちは理解できますが、50歳代後半の段階で過度に老後の不安だけを心配する傾向には賛同しかねます。
 
近い将来に、70歳までの雇用機会の提供は、企業としての努力義務から義務へと移行する可能性もあり、少なくとも元気なうちは最低70歳ぐらいまでは、自ら働くことが当たり前の時代が訪れるでしょう。
 
働いて得た収入によって自らの毎月、毎日の生活費は全て賄い、将来受給する老齢厚生年金(70歳までの加入可能)の年金額も増額させることができる可能性があります。
 

自ら実践し、自ら学び、金融リテラシーを高める!

少し失礼な表現かもしれませんが、一定年齢以上の高齢者の方の多くは、IT技術などを使いこなすことが不得手で、AIやSNSなどの最新ツールを敬遠する傾向があると思われます。
 
しかし、現在58歳の方がそのようなことを言っている場合ではないでしょう。
 
仮に会社員として過ごしてきた方の多くは、パソコンやインターネットを活用することが当たり前の環境にいたと思われます。金融に関するリテラシーについても同様です。NISAやiDeCoなどの投資支援策をはじめ、不動産投資、金投資などさまざまな投資方法がありますが、これらのメリット・デメリットを理解することは重要です。
 
また、つい最近の新聞報道では、「タンス預金が60兆円超」との記事がありました。タンス預金(現金を金融機関等に預けず、自宅などで保管すること)について、全てを否定することはできませんが、貯蓄額を増やすという観点からも、将来的な相続対策という観点からも、全面的にお勧めできる方法とはいえません。
 
58歳の方は、まだまだ新たなことにチャレンジし、実践できる年齢です。常に最新の情報を把握し、金融リテラシーを高め、実践していく姿勢は、今後より一層必要となるものと思われます。
 

預貯金だけではなく、適切な保険で賄うことも選択肢の一つ

本記事のタイトルの「いくらぐらい貯蓄(預貯金)があれば、将来的な病気や介護に対して安心なのか」という考えですが、将来的な不安を低減する方法は、「通帳の残高」の多さだけではありません。
 
例えば、代表的な対処方法となる選択肢の一つに、「適切な保険への加入」という備えがあります。保険の最大の目的は、将来起こり得る漠然とした不安に対する処方せんとなる可能性があることです。
 
「老後資金は貯蓄だけで賄えるのか?」「もしも、働けなくなったら?」「万が一、大けがや大病をしたときに治療費がかさんだらどうしよう?」など、さまざまな不安を少しでも和らげるためにも、適切な保険に加入することは有効な手段といえるでしょう。
 
それによって、「必要なときに必要となる保障を受け取ることができる」という安心感を得ることができます。
 
つまり、保険料の負担は、このような安心感を購入する必要コストといえるかもしれません。
 

まとめ

日本の人口ピラミッドの年齢別構成を見ると、40歳代後半から50歳代の構成が最も多くなっています。学生時代や就職期には多くの同年代の人々のなかで育ち、競争を生き抜いてきた世代です。このような世代の方々が、そろって過度に老後(将来)だけを憂う傾向は、あまり好ましいものといえないと感じます。
 
まだまだ現役時代は10年以上残っています。健康で働けるうちは積極的に働き、自分の生活費ぐらいは給与収入で賄うこと、常に新しい情報を取り入れ、自ら実践していくことが重要となるでしょう。
 

出典

厚生労働省 高年齢者雇用安定法の改正~70歳までの就業機会確保~
 
執筆者 : 高橋庸夫
ファイナンシャル・プランナー

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