今すぐ「給与明細」の確認を! 9月の給与明細を見ると社会保険料が「5000円以上」も高くなっていた!? 給料は先月と変わらないのになぜ…?

配信日: 2025.09.29
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今すぐ「給与明細」の確認を! 9月の給与明細を見ると社会保険料が「5000円以上」も高くなっていた!? 給料は先月と変わらないのになぜ…?
社会保険料は基本的に、給与や手当に応じて決まります。しかし、先月と給料は変わっていないのに、社会保険料が上がることがあるのはなぜなのでしょうか。
 
本記事では、社会保険料が決まる仕組みと給与が前月と変わらないのに社会保険料が上がる理由、等級が上がった場合の社会保険料額を解説します。
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毎年9月~10月は「社会保険料」が変わる時期

社会保険料は、必ず年に1回見直される決まりです。実際の報酬と標準報酬月額との間にギャップが生じないように、4月・5月・6月の報酬月額を基に標準報酬月額が見直されます。
 
標準報酬月額とは、報酬月額を一定の等級に分けたものを指します。報酬月額とは、会社から受ける基本給に、各種手当を加えた1ヶ月の総支給額です。決定された標準報酬月額に応じて、その年の9月から翌年8月までの社会保険料が決まります。
 
この手続きを定時決定といい、毎年7月1日に実施される仕組みです。新たな社会保険料は当月控除の会社は9月の給与から、翌月控除の会社は10月の給与から適用されます。そのため、給料が前月と変わらなくても、この切り替わりの時期で社会保険料が高くなるケースがあるのです。
 

4月~6月に残業しすぎると9月以降の社会保険料が高くなる可能性がある

日本年金機構によると、標準報酬月額の対象となる報酬は「労働の対償として経常的かつ実質的に受けるもの」です。経常的とは、常に一定で変わらないことを指し、就業規則や雇用契約書で決められた基本給や各種手当がこれに当てはまります。
 
また、実質的とは金銭に限らず経済的な利益になるものです。例えば、通勤定期券や食券、社宅などがこれに当てはまります。
 
残業手当や通勤手当なども報酬に含まれるため、算定期間の4月~6月に残業しすぎると報酬月額が高くなるケースがあります。そのため、標準報酬月額の等級が上がり、9月以降の社会保険料が高くなることがあるのです。
 

「標準報酬月額の等級」が上がるとどのくらい「社会保険料」が高くなる?

ここでは、東京都にある会社に勤め、全国健康保険協会(協会けんぽ)管掌の健康保険に加入する50歳の方を例に、等級が上がった場合の社会保険料額がいくらになるのかみていきましょう。なお、ここでいう社会保険料とは健康保険料と厚生年金保険料です。
 
全国健康保険協会の保険料額表を基に、報酬月額が30万円から32万円と34万円に上がった場合の1ヶ月の社会保険料額とその差額を表1にまとめました。
 
表1

報酬月額 等級 1ヶ月の社会保険料(折半額) 報酬月額30万円の場合との差額
30万円 22(19) 4万4700円
32万円 23(20) 4万7680円 2980円
34万円 24(21) 5万660円 5960円

※筆者作成
 
報酬月額が30万円から34万円に上がった場合、社会保険料(折半負担額)が月額5960円高くなる可能性があるようです。実際の等級適用や保険料率の適用開始時期などは、勤務先の給与締め日や支払いの形態により異なるため、ご自身の給与明細で確認することをおすすめします。
 

まとめ

社会保険料は標準報酬月額によって決定され、標準報酬月額は4月・5月・6月の報酬月額を基に毎年見直される仕組みです。そのため、算定期間の4月~6月に残業しすぎると9月以降の社会保険料が高くなる恐れがあります。
 
標準報酬月額の増加はデメリットだけではありませんが、社会保険料を抑えたいのであれば算定期間中は残業を控えるなどの対策をとったほうがよいかもしれません。
 

出典

日本年金機構 Q 標準報酬月額の対象となる報酬とは何ですか。
全国健康保険協会ホームページ
 
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー

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