40代の共働きで世帯年収800万円。子ども2人を私立大学に入れたら「貯金0円」になりそうです。老後の生活はどうすればいいでしょうか?
本記事では、私立大学の実際の費用、老後に必要な生活費の目安、そして制度活用や家計設計のコツまで、数字に基づいて整理します。
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私立大学×2人の教育費はどれくらい?
文部科学省「私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果」によると、私立大学(学部)の初年度納付金(授業料・入学金・施設設備費などの合計)平均は約147万7000円、授業料の平均は年約95万9000円です。
入学金は初年度のみで約24万800円、施設設備費は年約16万5000円が目安です。つまり、初年度は約148万円、2年目以降は年およそ112万円前後が平均像になります。
この水準をもとに単純計算すると、4年間の学費(授業料+施設等)で1人あたり概ね410〜500万円程度。2人分なら800~1000万円程度に達するケースも珍しくありません。
さらに自宅外通学なら住居費や食費などの生活費が上乗せされ、家計の負担は一段と高まります。数字を大まかにでも把握しておくことで、無理のない資金計画が立てやすくなります。
老後はいくら必要?
公益財団法人・生命保険文化センターが総務省「家計調査(2024年平均)」を踏まえて示す目安では、65歳以上の夫婦のみ無職世帯の可処分所得は月約22万2000円、消費支出は約25万7000円で、毎月約3万4000円不足しています。
老後は基本的に年金が主な収入ですが、年金だけでは不足しやすいことが分かります。必要額は住居や生活水準で変わりますが、まずは「毎月の不足額をどう埋めるか」を基準に逆算するのが実務的です。
教育費のピークが去ると家計に再び余力が生まれることが多いので、大学卒業後に貯蓄ペースを引き上げ、退職までに貯め直す発想が重要です。ピーク期と挽回期を分けて考えると、過度に悲観せずに済みます。
教育費と老後資金を両立する具体策
教育費と老後資金の両立は難題に見えますが、手順を整理すれば実行可能です。ここでは、今から取り組める順番に具体策を紹介します。
固定費の圧縮を最優先
通信・サブスク・保険・住宅ローンなど、毎月出ていく固定費を見直します。固定費1万円の削減は、年12万円の確実な収入増と同じ効果です。教育費ピークの数年間だけでも圧縮できれば、貯金ゼロのリスクを下げられます。
進学費用の初年度ピーク対策
入学時はまとまった費用が集中します。定期積立(進学用)や入学前の一時金準備で山を低くしておくと、キャッシュフローが安定します。授業料減免・給付型奨学金の該当可否を事前に確認し、申し込み期限を逃さないことが肝心です。
奨学金・教育ローンは返済計画とセットで
貸与型奨学金や教育ローンを利用するなら、卒業後の初任給や世帯手取りから無理のない返済比率になるよう、毎月返済額の上限を先に決めてから借ります。返済が長期に及ぶと、親の老後準備と競合するため、在学中のアルバイト・学内奨学金も併用して総借入額を抑えるのが基本です。
NISAで非課税の土台をつくる
NISAは非課税期間が無期限、年間投資枠は最大360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)、生涯非課税枠は1800万円(うち成長投資枠上限1200万円)です。教育費ピーク期は少額でもつみたて投資枠で習慣化し、卒業後に増額して老後資金を育てる戦略が有効です。
卒業後5年を挽回の勝負期間に
子どもが社会人になったら、空いた教育費相当額をそのまま貯蓄・投資へ振替します。ボーナスや昇給分も生活に入れずに回せば、退職までの不足を埋めやすい設計になります。
まとめ
世帯年収800万円でも、私立大学2人分の学費は重く、入学時の初年度負担が家計を直撃します。まずは正確な金額と時期を把握し、減免・給付の制度を最大限活用。ピーク期は固定費圧縮とキャッシュフロー管理を徹底し、NISAで非課税の土台を途切れさせないことが、老後不安を和らげる近道です。
卒業後は貯め直しフェーズに切り替え、教育費分をそのまま老後資金へ。計画を前倒しで実行すれば、「貯金0円」の不安は具体的な行動で小さくできるでしょう。
出典
文部科学省 私立大学等の令和5年度入学者に係る学生納付金等調査結果について
生命保険文化センター 老後の生活費はどれくらい?
執筆者 : FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー
